年間100冊の読書を目標にしています。

4月は17冊読みました。

累計で58冊になりました。


仕事復帰してから、さすがに進捗が滞っております…

出勤日はほぼ読めていません…

読書は義務ではなく、あくまで余暇の範囲で楽しむものなので、

寂しいけど仕方ない…魂が抜ける



4月に読んだ本の中で印象に残っているのが、

(個人的に)「母性」をテーマとしたこの3冊です。


  1. そういうふうにできている/さくらももこ
  2. マザーズ/金原ひとみ
  3. アンネの伝記/M.ミュラー


  ​そういうふうにできている

さくらももこさんの、妊娠〜出産までを綴ったエッセイです。


さくらさんらしい、ユーモアも随所に散りばめられつつ、

ところどころ、哲学的な表現にハッとさせられます。



“子どもはあくまで自分とは別個の人間であり、

自分から出てきたからといって、自分と子どもの間に優劣はない。


また、親子だからって、必ずしも自動的に愛情で繋がるとは限らない。


できれば、仲良くしたいな、とこちらは思っているけどね。”


というような、ある種、一線を引いた愛情には、

私もそうありたいものよ…と思わされます。


個を尊重した上での、不可侵の愛ね。



  マザーズ

「蛇にピアス」で芥川賞を受賞した鬼才、金原ひとみさんによる

壮絶な「母性」をめぐる小説です。


3人の、およそ「聖母」とは程遠い、

SNSだと炎上待ったなし!な母親たちが主人公です。


  • 孤独な育児のストレスで、一人息子を虐待してしまう「涼子」
  • 夫との不仲を言い訳に、ずるずると不倫を続ける「五月」
  • 自身の精神的な不安定さから逃れるために、クスリに頼る「ユカ」

特に、
まだ0歳の息子、一弥の泣き声に追い詰められ、
とうとう「ぎゃーっ」と発狂してしまった涼子の描写は、
読んでるだけでヒリヒリしてきます…


一弥はうわあっと声を上げ、私の膝によじ登った。
その時感じたことのない初めての快感が、体中をじんわりと包んでいく。
この子は私が恐ろしい時にも私しか頼るものがないのだ。


この閉塞感。
これほどまでに閉じ切った空間では、
涼子と一弥を救えるのは涼子本人以外におらず…

涼子は、自分の過ちを自分で認め、
自分で、我が子と自分を引き離す決断をしなければならないのです…


3人の中で一番、精神的に安定してそうな五月には、
後半、考えうる限りもっとも酷い災厄が降りかかります。

これほど「夢オチでありますように」と祈った小説は他にありません。

あまりに壮絶すぎて、
読み進めることが困難でしたが
それでも読んで良かったと思える小説です。

Kindle Unlimitedで読めます。


  アンネの伝記



「アンネの日記」は、

完全版と増補新訂版を買って読みました。



ホロコーストの凄惨さを今日に伝える、

非常に貴重な文献であると同時に、

13歳〜15歳の、不安定な思春期の少女の気持ちを、

ピュアに表現した書物として、

特に娘をもつ母親としては学ぶところが多いな、と思います。



アンネは、母親とはあまり折り合いが良くなかったようで、

日記には、かなり辛辣なことも書かれています。



「およそ母親らしくない」とか、

「女性として魅力的ではない」とか…


父親には母親の他に心から愛した人がいて、

だから母は永遠に、父の愛を本当には受け取ることができないのだ、とか…!


鋭い分析に、

思わずたじたじになってしまいます。


(後半、アンネが精神的に成熟してくるにつれ、やや軟化してゆくのですが)



今月読んだ「アンネの伝記」は、

「アンネの日記」に新たな視点を加えるものとなっています。


著者のミュラー女史は、

アンネの関係者40名以上に対して

綿密な取材を重ね、

アンネの日記の「失われた五ページ」を探し当てた人物。

(この五ページを追加したものが、「増補新訂版」。)



そして、

取材に基づき、

アンネ達の生い立ちや、

密告者によって隠れ家を暴かれ、収容所に連れて行かれた後の足跡などを

細かく綴ったのが、本書「アンネの伝記」です。



本書を読むと、

アンネの母が、実際はとても愛情深い人物であったことがわかります。



アンネとの関係が上手く行っていないことを自覚した上で、

「それでもアンネにはオットー(アンネの父)がいるから良かったわ」

と、あえて身を引いて見守ることに徹するとか。


(残念ながら、母のその姿勢は、アンネには「母親らしくない冷たい態度」と受け取られてしまうのですが…あー難しい!)



最後に送られた収容所では、

病に侵され衰弱していく中でも、

自分に与えられたパンに一切手をつけなかったと言います。


「これは子ども達と夫の分よ」

と言って、枕の下に溜め込み続けたのだとか…

亡くなるその日まで…



もし、

アンネの思春期に、隠れ家での閉鎖した生活ではなく、

ごく普通の、自由に外を行き来し、学校や仕事に行ける生活であったなら、

母娘の関係はどうだっただろう、と想像せずにいられません。