最近になって、着物に出来る黄色っぽい点々が「カビ」だと知りました。

着物のカビと聞いて思い出すことが・・・。

 

少し昔のことです。

 

リサイクルショップで、大島紬っぽい紬を購入しました。

 

地空きの多いあっさりした柄、

黒というより深い茶を含んだ地色、

サイズもちょうどよかったので、

 

一晩考えて、その紬を購入しました。

 

その大島紬に「カビ」が発生したのです。

 

それまで、カビを見たことがなかったので、

その凄まじい光景に驚くばかり。本当に凄い。

 

 

雪でも降ったかのように、

白いぼんやりとした点が

着物一面に広がっていて、真っ白になっていました。

 

 

眼にした瞬間、頭の中も真っ白に。

多分、呼吸も止まっていたと思います。

 

「なっ、何んだろ、コレ?」

「着物が白くなってる・・」

 

「もしかして・・・カビ?」

 

「カビって白かったっけ?」

 

「なっ、何で?・・・どーして?・・・」

 

何も解りません。

 

購入してから一度も着ていなかったのですが、

リサイクルショップに相談しても、どうにもならない気がして。

 

創業が呉服屋の百貨店なら相談を受けてくれるかもと思い、

呉服売り場に、持ち込みました。

 

百貨店で誂えた着物でないし、カビだらけだし、

居心地悪いやら、恥ずかしやらでしたが、見積もりをお願いしました。

 

 

待つこと、どのくらいだったか憶えていないのですが、

呉服売り場に再訪。

 

よ、よ、よんまんごせんえんですか?・・・

 

 

「はい、洗いとカビ取りと色掛けで4万5千円です。」

 

 

カビ取りをすると、地色が黒いため少々色が落ちるらしく、

それで、色を掛けないとならないのだそう。

 

 

「それから念のため言っておきますが、完治する保障はありません

7割の出来と思ってください。」と力強い、言い切り。

 

 

「また、カビが生えてくるんでしょうか?」

 

 

「保管状態が悪いとまた発生する可能性大です。」

 

 

「・・・」

 

 

「どうなさいますか?」

 

 

(ったって、このまま持って帰るわけにもいかないし・・・)

「お、お願いします。」

 

で、洗いとカビ取りと色掛けをお願いしました。

 

 

大島紬っぽい紬を買ったリサイクルショップでは、

扱っている全ての着物を「丸洗い・抗菌加工」しているそうなのですが、

 

呉服売り場の店員いわく、

カビは、丸洗いでは取れないらしい。

 

懲りたというより、恐れ慄き、

リサイクルショップで購入した正絹の着物は、これ一枚きり。

 

後日談

何年経っても着物はキレイなままです。百貨店に相談して正解でした。

 

 

ところで、

悉皆屋7割:百貨店3割すると、

実際に着物に掛かった金額は、31,500円。

自身が直接、悉皆屋にお願いできたらいいのになと思うのは、自然な思考。

でも、悉皆屋と百貨店とは壊せない信頼関係がありますが、

個人とはどうなんでしょう。

相対で悉皆屋とトラブルになったとき、

着物はそうなってしまった後なので、

取り返しがつかず、泣き寝入りするしかない気がします。

 

そうでない場合は、

どうせ素人だから判らないとばかり、ごまかしの処理をされているとか、

実は何もやってないとか。

 

自身でお願いする場合は、相手がプロフェッショナルでないと難しいかも。

日本に何人いるんだろうか。

着物素人が出会えるのだろうか。と思いますが、

今後のために探してみようかと。昔よりは、探しやすそうだしね。

 

 

備忘録

着物のメンテナンス

①丸洗い

 いわゆるドライクリーニング

 石油系溶剤を使用して洗濯するので、皮脂汚れが落ちる。

 ※汗汚れは落ちない

 ※リサイクル着物は、カビが発生しているものが多いので、丸洗いは意味がない。

 

②洗い張り

 着物を解いてから、水洗い

 その後は、

 ・着物に仕立て直す、

 ・着物以外に仕立て替える、

 ・そのまま保管。

 

③シミ取り、カビ取り

 シミとカビは、同義語で使われている印象がある。

 食事中に飲み物をこぼしてしまったら、すぐにシミ取りに出す。は鉄則だそう。

 カビ取りは、②と併用することもある。

 

 

湯のし、湯通し、水通しの違いが、わかりづらい。

「字の如く」がいいのだろうか。

 

④湯のし(のす→伸す・熨す)

 仕立てる前に蒸気を当てて、反物の幅を整える

 ※スチームアイロンかな

 

⑤湯通し

 仕立てる前にぬるま湯に浸して、糊を取る。

 ※生地が縮みそう

 

⑥水通し

 水に浸けて、生地を縮ませる

 ※⑤とは水温の違いかな

 ※ぬるま湯より、生地が縮みそうで、糊は落ちにくそう

 ※仕立てた後は自身で洗濯をするなら、仕立て前によく縮めておいた方がいい

 

⑤⑥の後は④かな。

④は、ハードにのしたら、縮めた意味がないので、塩梅が重要になるよね。

 

 

洋服地でも「水通し」「地直し(生地の歪みを整える)」とかあるけど、それと似たようなことだろう。

当たり前といえば、当たり前の下準備ですね。

 

 

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