伊吹山、山頂の風景 ①
画面中央辺りに、琵琶湖が見えています。
(朝は霧で視界が隠されるようでしが。午後は、青空が見え始めました)
伊吹山、山頂の風景 ②
ヤマトタケルノミコト像、撮影スポットです。
伊吹山、山頂の風景 ③
たくさんの人々が、家族連れが、山頂を訪れています。
わたしの大好きな場所が、伊吹山です。
7月16日に、山頂を訪れました。
(滋賀県・岐阜県の県境にあり、山麓には、歴史のエピソードを抱えた、関ケ原・姉川・桃配山・上平寺・太平寺の地があります)
「花を見たい」の気持ちから23年前に初めて訪れ、以後毎年、年に10度程は訪れています。
住まいが名古屋なので、車では山麓まで1時間かからず行くことが出来、比較的近いと言えます。
15年前には、自費出版で(山頂の山小屋・えびすやさんとの協力で)、「伊吹山花のガイドブック(200ページ以上/)」を出しました。
原稿と画像を揃えるのに、毎日一生懸命でした。
今も引き続き、えびすや さんで、販売してもらっています。
伊吹山の花 ①
紅色あざやかな、ミヤマコアザミの花。
トゲが鋭く、触れると痛いです。
伊吹山の花 ②
可憐な、カワラナデシコの花。
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《大切なこと/お伝え》
7月中旬に、伊吹山登山道の7合目辺り、大規模がけ崩れが起きました。現在、山麓から、登山道を経て、山頂へ行くことは出来ません。
登山道の回復は、当面難しいと聞いています。
以後も、状況を伝えて行きたいと思います。
しかし山頂には、危険のない方法で行くことが出来ます。
別ルートの自動車専用道路(有料/ETCは使えず、山麓ゲートで現金支払い)を使えば、山麓から9合目まで行くことが出来ます。
そこからは徒歩です。
最短コース(中央遊歩道/階段状の通路)で徒歩20分程、ややゆるやかな西遊歩道で徒歩40分程で、山頂に行くことが出来ます。
危険は、ないと言って良いと思います。
大規模崩落の原因は、シカです。
暖冬が続くためと思われますが、山域で怖しいほどに増殖したシカが、集団で山肌の草木を食べ尽す勢い、集団で登山道を踏み崩しています。
その2点による山肌の保水力低下から、大雨を引き金に、大規模崩落が起きたと、結論付けられました。
滋賀県・三日月知事が、この日、伊吹山山頂を訪れていました。
三日月知事、どうか、滋賀県の宝(地元のかたの生活の場としての宝であり、観光の宝でもある)である伊吹山を、今まで以上に愛してください。
予算を投入していただき、シカ排除・大規模な金属製の柵を設置してください。
心より、お願いいたします。
《植物学者の牧野富太郎先生も、この地を何度の訪れ、多くの植物たちが我が主役とばかり美しい花を咲かせると、とても良い場所だと、愛されました》
現場の登山道を目にしたことがあるかたなら、シカが原因であることに、納得されるはずです。
近年目に見て、山環境が悪化していました。
※シカの食害は、伊吹山だけのことではなく、日本全土で言えることです。
山頂に設置された、シカについての説明看板
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《7月16日 伊吹山を訪れました》
・ドライブウエイ経由で、山頂を訪れました。
(登山道は、がけ崩れのため、山頂まで行けません)
・お客様を迎えるため、事前準備(花の状況観察)として、山頂を訪れました。
・山頂のえびすやさんで、ご主人の松井 純典(じゅんすけ)さんとお話ししました。
(もう28年以上も、お世話になっています)
・松井さんたちが私費で設置した山頂の山野草・薬草保護柵内で、ヨモギ・イタドリの摘み取り(間引き)を、1時間程お手伝いしました。うれしかったです。
(生命力の強い草を間引きしないと、大繁殖し、他の山野草の命を奪ってしまいます)
《どのくらい時間がかかるか/目安》
約10分/関ケ原ICから、伊吹山ドライブウエイの山麓入口(自動車)
関ケ原IC・出口が、大変混雑し、時間がかかることもあります。
早い時間での移動を、おすすめします。
約40分/ドライブウエイ走行(自動車)
山麓(ドライブウエイゲート) → (つづら折りの山道、注意/道路幅は広い) → 9合目駐車場
約20~40分/徒歩で山頂を目指す
9合目駐車場 → 山頂遊歩道(中央遊歩道で約20分、ただし階段状の急坂/西遊歩道で約30~40分、中央に比べなだらかな坂道)
※山頂部には5件程の山小屋があり、食事・おみやげ購入・アイスやビールや冷飲食物も購入出来ます。雨合羽もあります。
※山頂は、平地である山麓より、8度程気温が低いです。
※標高は1,300m程で、そんなに高い山ではありませんが、そこはやはり山域。
急に天候悪化することもあります。ご注意ください。
※伊吹山は冬場の強風と石灰岩質のため、木立がほとんどありません。
陽射しをさえぎるものがないため、帽子を持参してください。
※山頂では、ほとんど蚊もおりません。
※山頂では、今までほとんど目にしたことはありませんが、シカが持ち込んだために、ヒル目撃報告もあります。ダニも、いる可能性があります(28年通って、1度だけダニ被害にあいました/草原に寝転がって山野草写真を撮ったときに)。
伊吹山ドライブウエイの終点、9合目駐車場
ここからは、徒歩で山頂を目指します。
中央遊歩道なら20分程で山頂に着きます(階段状のコース)。西遊歩道なら30~40分程で山頂に着きます(比較的なだらかなコース)。
西遊歩道の風景 ①
朝霧が、山辺を隠しています。
西遊歩道の様子 ②
「登山道、通行不可」の説明看板です。
西遊歩道の様子 ③
路面には、小石が敷かれています。
お子さん、高齢者も、(注意しながらですが)登って行ける道です。
西遊歩道の様子 ④
サラシナショウマショウマ が、花のつぼみをつけています。
8月末~9月上旬には、美しい白い花園が見られるでしょう。
(シカは好き嫌いがはっきりする偏食家です。ほとんどの草を食べますが、ごく少数、サラシナショウマ・キオン・マルバダケブキ・オオヒナノウスツボ などは、口をつけません/猛毒を持つトリカブト類でさえ、食べられています)
⇒ 伊吹山の秋/サラシナショウマの花園(2023年8月28日)
西遊歩道の様子 ⑤
晴れていれば、浅井長政が居城とした小谷山(おだにやま)が見えます。
西遊歩道の様子 ⑥
山頂につきましたよ。
お疲れさまです。
徒歩・約30~40分の、行程です。
西遊歩道の様子 ⑦
三角屋根は、山頂の伊吹山寺です。
このあと、山域は青空が見え始めました。
山頂の山小屋・えびすや を訪れ、松井純典(じゅんすけ)さんに、お会いしました。
山頂の山小屋・えびすや さんです。
ご主人の、松井純典(じゅんすけ)さんを 尋ねます。
ヤマホタルブクロ(山蛍袋/キキョウ科ホタルブクロ属)
愛らしい花。
清楚だと感じる花姿。
ちょうちんを思わせる、純白の花です。
(赤味を帯びた花も、伊吹山で見られます)
ヤマホタルブクロは、そろそろ花終期を迎えます。
ホタルブクロの名は、「火垂る(提灯の、古い時代の呼び名)に似ているから」であるとか、「ホタルを捕まえた子ども、親に見せ、ほめてもらおうと思い、この花に閉じ込めて家路を急いだ」などの状況から付けられたとされます。
山で見られる、ヤマホタルブクロという種があります。
この画像も、ヤマホタルブクロです。
低地で見られるのは(栽培されているものもあります)、ホタルブクロという種があります。
見分け方があります。
ヤマホタルブクロは、がく片の間が「山形に盛り上がる」特徴があります。
ホタルブクロは、がく片の間が「そり返る」特徴があります。
カワラナデシコ(河原撫子/ナデシコ科 ナデシコ属 多年草)
生薬名:クバク(瞿麦) ※全草を薬にします。 日本では、種子を好んで使います。
カワラナデシコが、山頂で花を見せていました。
ちょうど花の盛りの頃。
茎は細身の、愛らしい花です(花の径3cmほど)。
花言葉は、「純愛・才能」などです。
かっては、日本で広く見られましたが、今はあまり目にすることも出来ません。
里山や、ひとの暮らしている場所で、草刈りがひんぱんに行われないようになり、ナデシコのような草丈の低い野花たちは、姿を消してしまう事が多いのです。
(他の丈が高い草が成長してしまうと、太陽の光を浴びられなくなるためです)
秋の七草のひとつでもあります。
(オミナエシ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・フジバカマ・クズ・ハギ)
「カワラ」という名は。日当たりの良い河原近辺でよく見られるという意味であり、また、どこにでもある市井(しせい)のものという意味を兼ねる言葉です。
ヤマトナデシコは、日本女性の良き例えとして用いられる言葉で、サッカー女子日本代表は「ナデシコ ジャパン」と呼ばれています。
古くから日本に見られる植物で、ヤマトナデシコとも呼ばれています。
地上部をクバク(瞿麦)と呼び、膀胱炎で起こる「排尿痛」「血尿」に用います。
便秘改善にも良いものです。
尿をうまく出すための薬草で、クバク(瞿麦)と呼びます。
中国では全草を、日本では種子を用いる事が多いです。
薬草の記事を、ご確認ください。
【 クバク(瞿麦) 性味:苦、寒 帰経:心・小腸 効能:利水・通淋 】
【 クバクを用いた漢方薬: 八正散(はっしょうさん) など 】
※種子はクバクシ(瞿麦子)と呼ばれ、利尿作用の他に、通経作用を持ちます。
カワラナデシコの花 ①
カワラナデシコの花 ②
ヒメフウロ(姫風露/フウロソウ科フウロソウ属)
ヒメフウロが、小さな岩場に咲いていました。
花の直径1cmほどの、小さな花を咲かせます。
(植物名で、“ヒメ”とつくとき、それは“小さい”という意味を持ちます)
しかしその佇まい(たたずまい)は、凛として、美しく感じます。
伊吹山には、8種程のフウロソウの親類が住んでいます。
(ヒメフウロ、ゲンノショウコ・赤花、ゲンノショウコ・白花、グンナイフウロ、ミツバフウロ、ハクサンフウロ、エゾフウロ、イブキフウロ)
・6月に花を見せる グンナイフウロ(花の直径3cm程、柔らかなピンクの彩り)。
・6~8月に花を見せる ハクサンフウロ(花の直径は2cm程、昔は3合目に多く見られましたが、今はほとんど見られません)
・6~8月に花を見せる エゾフウロ(花の直径は2cm程、昔は3合目に多く見られましたが、今はほとんど見られません)
・6~8月に花を見せる ヒメフウロ(花の直径1cm程、伊吹山に棲むフウロソウ類で最小)
・7~8月に花を見せる イブキフウロ(花の直径2cm程、花びら外周が山形になり、全体で歯車のように見えます)
・6~9月に花を見せる ゲンノショウコ(直径2cm程、関東以北で多い白い花、関西以西で多い赤い花、両方が見られます)
・8~9月に花を見せる ミツバフウロ(花の直径2cm程、花びらに走る筋が枝分かれします)
ヒメフウロは、石灰岩地を好み、本州や四国の一部で見る事が出来ます。
一年草または、越年草です。
草には、塩を焼いたような香りがあるからと、シオヤキソウ(塩焼草)とも呼ばれます。
(花に出会うたび、何度も花の香りをかいで確認しますが、塩を焼くにおいは確認出来ません)
薬草・ゲンノショウコと 同じフウロソウ科なので、下痢止めの薬草として使われた時代もありました。
(草体が小さいので、必要量を採取するのが大変です。/現在は、希少植物のため保護すべきもの。採取しないでください)
外来種のヒメフウロが、春先に園芸店(ホームセンタなどの花木売場で見る事がある)で並んでいるのを目にする事があります。
日本で生きるヒメフウロとは、葉の形が異なります。
ヒメフウロの花
クサタチバナ(草橘/ガガイモ科)
「ミカンの花に似ているね」、そう思う白い花です。
《※ミカン果実が実るミカン科の植物のことを、タチバナと言うことがあります/動揺のこいのぼりの歌詞を思い出してください → いらかの波と 雲の波 かさなる波の 中空を たちばな香る 朝風に 高く泳ぐや 鯉のぼり 》
6月の山頂では、この花が広範囲に広がり、花の主役と言って良い植物です。
山頂~8合目辺に多く咲きます、
それより下では(登山口~8合目まで)、ほとんど目にすることがありません。
グンナイフウロと並び、6月の伊吹山山頂では、花の主役といってよいものです。
ミカンの樹の花を思わせる花の形。
ミカンを「タチバナ(橘)」と言い、樹ではなく草だから、クサタチバナの名になりました。
しかし、ミカン科ではありません。
おいしいミカンの果実もつきません。
ガガイモ科の、別種植物です。
種はまた面白い形、綿毛を使い、大空に飛び立ちます。
⇒ 伊吹山・山頂②(2023年7月16日) に つづく
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【 伊吹山 花紀行 】
⇒ 伊吹山 2023年の8月/毎週土曜・花ガイドをしようと思います(2023年7月17日入稿)
⇒ 緊急連絡/登山道が崩落しました(登山道からは山頂へ行けません)(2023年7月15日)
⇒ センブリの花、薬草の歳時記/伊吹山花紀行(2023年11月15日)
⇒ 冬に咲く花、センブリの花/伊吹山花紀行(2023年11月5日)
→ 美しいトリカブトの花/伊吹山花紀行(2022年10月20日)
⇒ 秋、天上の白い花園/伊吹山花紀行(2022年8月28日)
⇒ 春、伊吹山北尾根の花たち/伊吹山花紀行(2022年5月28日)
⇒ 春、伊吹山の花・3合目まで/伊吹山花紀行(2023年5月28日)
⇒ 3合目のセツブンソウ/伊吹山花紀行(2022年4月9日)
⇒ 伊吹山麓の春の妖精花・セツブンソウ/伊吹山花紀行(2023年3月19日)
⇒ セツブンソウの開化が遅れています/伊吹山花紀行(2022年2月26日)
※2023年7月現在、登山道はがけ崩れのため、登山できない状態です。
⇒ カタクリの花など、伊吹山の春の花/伊吹山花紀行(2021年4月10日)
⇒ 美しき春の妖精花・セツブンソウ/伊吹山花紀行(2021年2月27日)
⇒ 雪の伊吹山、1合目で撤退!/伊吹山花紀行(2020年12月24日)
⇒ 石田三成の居城・佐和山城から、伊吹山を見る(2013年6月10日)
⇒ センブリの花など/伊吹山花紀行(2020年10月29日)
⇒ 推理小説好きのあなた、トリカブトを見てみましょう/薬草の歳時記
⇒ 3合目の山野草観察会/伊吹山花紀行(2019年9月29日)
⇒ 長寿・回春を求めて、毒草トリカブトの、薬草使用/薬草の歳時記
⇒ 美しき天上の白い花園・サラシナショウマ/伊吹山花紀行(2020年8月29日)
⇒ 8月下旬~9月上旬、天上の白いお花畑/伊吹山花紀行(2016年8月23日)
⇒ ハクサンフウロなどの花/伊吹山花紀行(2019年8月22日)
⇒ 赤い花咲く伊吹山頂/伊吹山花紀行(2020年8月12日)
⇒ ウグイスの唄、山間に響く/伊吹山花紀行(2020年7月19日)
⇒ 百花、愉しげに囁く/伊吹山花紀行(2018年7月26日)
⇒ 夕暮れに咲く花、ユウスゲなど/伊吹山花紀行(2020年6月16日)
⇒ 織田信長の薬草園(ハーブ園)/伊吹山花紀行(2018年6月3日)
⇒ 初夏の花、ノビネチドリなど/伊吹山花紀行(2018年6月3日)
⇒ 山頂の春の花、ヤマシャクヤクなど/伊吹山花紀行(2020年5月14日)
⇒ ニリンソウの生薬名はジウ(地烏)、痛みの改善薬/伊吹山花紀行
⇒ イチリンソウ、ニリンソウ、どう違うの?(2017年5月23日)
⇒ 北尾根、ヤマシャクヤクの美しい花/伊吹山花紀行(2017年5月23日)
⇒ 北尾根の花、春の妖精花/伊吹山花紀行(2017年5月1日)
⇒ 伊吹山春の花、スハマソウ・ヒトリシズカなど/伊吹山花紀行(2017年4月)