痔の漢方薬(加藤久幸)薬事日報掲載

 

 

 薬事日報・4月13日の紙面に、漢方薬・乙字湯(おつじとう)の記事を載せてもらいました。

 

  今回で40回目、月に1~2度のペースで、記事掲載されています。

 

 掲載紙面を見ると、やはりうれしく思います。

 

 

 

 何より分かりやすく説明することを、心掛けています。

 漢方薬それぞれの、性質・用い方・どの様に効果が出るのかを、分かりやすく説明する様に心がけています。

 

 漢方・生薬で、皆様が笑顔になっていただく事を願っています。

 

 (以下の文は、掲載原稿とは異なりますが、やはり分かりやすくなるように説明を書きます)

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 

痔の漢方薬(加藤久幸)薬事日報掲載

 

 

【 漢方薬・乙字湯(おつじとう)の説明 】

 

 家業が薬局でしたので、幼い頃父母に連れられ、同業の多くの店舗を訪れました

 ウサギやカエルなど、製薬企業のマスコット・キャラクターの愛らしい指人形をいただき、うれしかったのを覚えています。

 

 そして、複数の店舗で目にしたのが、白地に、赤の筆文字で「ぢ」と踊るように書かれたポスターです。

 何しろ目をひくので、印象に残っています。

 

 今回は、痔の治療薬・乙字湯(おつじとう)を取り上げます。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

痔の漢方薬(加藤久幸)薬事日報掲載

 

 痔疾のかた以外は、具体的な症状を思い浮かべにくいものです。

 

 痔とは、肛門とその周辺に起きる病変の総称です。

 

 

 なかでも『いぼ痔(痔核)』が多く、これは肛門近くにしこり(うっ血性の腫瘤)が出来ることです。

 「痛み・出血・脱肛(腫瘤が肛門外に出てしまう)」の不調が起きます。

 しこりが体内にあるものを内痔核、肛門周辺の皮膚にあるものを外痔核と呼びます。

 

 

 『きれ痔(裂肛)』では、「出血・痛み」の不調が起きます。

 便秘傾向のかたで硬い大便が出るとき、肛門部を傷つけ出血することが多いものです。

 

 

 『あな痔(痔ろう)』では、「炎症(腫脹)・痛み・うみ(排膿)」の不調が起きます。

 

 

 診察に恥ずかしさを感じるためでしょう、痔に苦しむかたが薬局・薬店で一般用医薬品を求め治療することが、昔から多くありました。

 おもに、漢方薬・軟膏が用いられています。

 

 

 

 痔の代表薬のように言われる乙字湯は、どんな不調に用いるのでしょう。

 

 興味深いことに、いままで挙げた不調のほとんど、「脱肛」「痛み」「止血」の改善に役立ちます。

 

 痔を誘発する便秘も和らげるため、痔に悩むかたには、まず試していただきたい漢方薬です。

 

 症状改善すれば10日程(~1ヶ月)で服用を止めてよい頓服薬、食間に温湯での服用をおすすめします。

 

 

 

 漢方薬の効能を知るには、配合生薬を確認します。

 

 脱肛治療のため、下垂部を持ち上げる生薬サイコ・ショウマが配合されます(寒性の昇提作用)。

 

 これは止血にも役立ちます。

 

 

 

 鎮痛のため、血流を改善する生薬トウキが配合されます。

 

 固定箇所の刺痛・疼痛は、血流改善で快方に向かうからです。

 

 血流改善から、うっ血も治まります。

 

 

 

 抗炎症のため、クールダウンの生薬オウゴン・ダイオウが配合されます。

 

 便秘が病状悪化を招くので、下剤でもあるダイオウを少量添えています。

 

 

 

 乙字湯の製品効能は、「体力中等度以上で、大便がかたく、便秘傾向のあるものの次の諸症:痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘、軽度の脱肛」です。

 

 痔の養生には、毎日の入浴など、血流を良くすることが大切です。

 

 漢方の理解では、「目の酷使」も血流を悪化させます。

 

 痔に苦しむかたは、スマホやPCの使用時間を短くしてください。

 

(痔の痛みが治まったら、乙字湯には下剤の配合もありますので、服用をやめてください。)

 

 

 

 痔に用いることが多い、他の漢方薬の説明をします。

 

 漢方薬・きゅう帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)には、「痔出血」の製品効能があります。

 

 これは、配合されるヨモギ(艾)の止血効果です。

 

 

 軟膏・紫雲膏(しうんこう)を、肛門部や患部に塗るのも良いことです。

 

 

 鮮紅色で比較的多い量の下血が続くときは、医療機関での精密検査をおすすめします。

 しかし、大きな病変がなかったとき、漢方薬・槐角丸(かいかくがん)をお試しください。

 

 

 

 痔治療のための生薬製剤も、多く市場にあります。

 

 乙字湯は、日本で原南陽によって作られた処方です。

 

 甲字湯(血液循環改善)・丙字湯(排尿不調改善)などの薬も、文献に記されます。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

漢方講演会を行います(6月)

 

 分かりやすく、漢方の世界を説明いたします。

 興味をひかれるかたは、どうかご参加ください。

 

 

 6月のズーム講演会 (参加無料)

  (気象病:低気圧頭痛、梅雨~夏の体力低下)

 現在、1つのテーマで60名を超えるかたが聴講くださっています。

 

開始30分前まで、参加申込みのメールを確認します。

(1回目は、6月15日の朝9時半から開始します)

(2回目は、週末・6月17日のお昼13時半から開始します)

 

 

 

 

 

メールにてお申込みください(薬草講演会希望とお書きください)。

 メールアドレス

 h-kato(アットマークをここにはさんでください:アットマークとは、@のことです)matsuura-gp.co.jp

 

無料講演会であること、参加者には販売を目的としたメールを送らないことを、お約束いたします。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

【 薬事日報に掲載された記事 】

 

 

第40回 痔の治療薬・乙字湯(2022年4月13日)

 

第39回 飲む目薬・杞菊地黄丸(2022年4月6日)

 

第38回 めまいに良い苓桂朮甘湯(2022年2月7日)

 

第37回 熱性感染症の基本対応薬? 銀翹散(2021年12月6日)

 

第36回 リンパ・扁桃腺が腫れる時、おたふくカゼに、駆風解毒酸(2021年11月27日)

 

第35回 ストレス初期対応、香蘇散 (2021年11月17日)

 

第34回 発熱に、ワクチン接種後の発熱に、地竜エキス (2021年10月11日)

 

第33回 膀胱炎に、五淋散 (2021年9月3日)

 

第32回 膀胱炎に、猪苓湯 (2021年8月17日)

 

第31回 汗をかく状況に、生脈散 (2021年8月6日)

 

第30回 夏のクールダウンのため使いたい、白虎加人参湯(2021年7月19日)

 

第29回 夏の体調管理(食欲が減退・身体が重い、を改善)に、藿香正気散(2021年7月12日)

 

第28回 気象病を治療?「雨の日の頭痛」を抑える五苓散(2021年6月25日)

 

第27回 心を落着かせる 桂枝加竜骨牡蛎湯 (2021年6月14日)

 

第26回 ノドの痛み、セキに 麻杏甘石湯 (2021年6月9日)

 

第25回 手術後には、十全大補湯を服用して欲しい! (2021年5月24日)

 

第24回 手術後には、なぜ大建中湯を服用するのか? (2021年5月17日)

 

第23回 高血圧は治らないのか? 釣藤散(2021年5月14日)

 

第22回 産後女性の人生を守る きゅう帰調血飲第一加減(2021年4月26日)

 

第21回 鼻詰まりの鼻炎に、辛夷清肺湯(2021年4月16日)

 

第20回 鼻水の鼻炎に、麻黄附子細辛湯(2021年 3月31日)

 

第19回 関節痛・神経痛に、疎経活血湯(2021年 3月8日)

 

第18回 夜、おしっこで起きてしまう、八味地黄丸(2021年 2月18日)  

 

第17回 カゼがこじれた時、小柴胡湯(2021年 2月15日) 

 

第16回 元気薬の代表、補中益気湯(2021年2月12日)

 

第15回 しもやけ治療に、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(2021年2月8日) 

 

第14回 かゆい・かゆいを止める、当帰飲子(2021年1月22日) 

 

第13回 不安神経症・パニック障害に、加味帰脾湯②(2021年1月8日) 

 

第12回 不眠を改善、加味帰脾湯①(2020年12月11日) 

 

第11回 片頭痛を治療、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)(2020年11月27日) 

 

第10回 チクチク痛いを治す、桂枝茯苓丸 (2020年11月4日) 

 

第9回 流れる鼻水を速攻ストップ、小青竜湯(2020年10月28日)

 

第8回 声枯れ・空ゼキに、麦門冬湯(2020年10月21日)

 

第7回 イライラを治す、加味逍遙散(2020年10月12日)

 

第6回 ヒステリー球を治す(ストレス性のノドの詰まり)、半夏厚朴湯(2020年9月23日)

 

第5回 認知症を治す? 抑肝散(2020年9月16日)

 

第4回 もうひとつのダイエット薬、防己黄耆湯(2020年9月4日)

 

第3回 こむら返りの速攻治療、芍薬甘草湯(2020年8月26日)

 

第2回 寒気カゼを速攻治療、葛根湯(2020年8月19日)

 

第1回 ダイエット薬として有名、防風通聖散(2020年8月7日)