七夕が近づき馬込ゴルフガーデンのクラブハウスにもしつらえがなされた。
乞巧奠(きっこうてん、きこうでん)の古式に則り、五色の糸に梶の葉と短冊を添える。
かつては芋の葉の露で墨をすり、梶の葉に歌を書いて上達を願ったものだという。
梶の葉?と、ここまで来てむらむらと私のいつもの癖が湧き上がった。何事も試してみないと気がすまないのである。
梶の木は昔船の梶(舵)に使ったからなどといわれているが、あまり使い道もなく、きれいな花が咲くわけでも、というかどんな花が咲くかも印象がない地味な木だ。地味な割には(いや、地味だからか)繁殖力が強く、都会でもそこら中に生えている。
「梶の葉に和歌だと?」梶の葉はゴワゴワしていて、墨で字が書けるとも思えないが、早速試してみよう。
左は筆ペン。真ん中と右は墨汁
おぉ!書けるではないか。葉の表面の細かい毛が筆のノリにちょうど良く、滑りすぎず止まりすぎずである。欲を言えば葉脈の凹凸がなければさらに良い。筆ペンでも墨汁でも問題なしだ。
せっかくカメラに収めるので達筆なところを披露したかったが、小さな葉に細かい字を書く自信がなく、天の川、七夕などと小学生の習字のようになってしまったのが悔やまれる。おまけに織女の糸偏を耳偏に書き間違えてぐしゃぐしゃとごまかしたので、見苦しさはあくまで実験ということでお許し願いたい。
梶の葉や 願い書きもれ 葉も尽きし