久しぶりに茶の稽古へと出かけた。初夏の花に、夏めいた主菓子が彩りを添えている。
灰型とは風炉の中に灰で作る美しい山並みのことだ。
本当は写真を撮りたかったのだが、茶道の稽古中に写真を撮るのは、禁止行為である。ご勘弁願いたい。
なぜ灰の造形を釜の中に作るのか?その答えは、
「炭が良く燃えるように」
ということだ。
風というのは障害物があると加速する。例えば室内の空気を淀ませないようにするには、部屋の中央に衝立を置くと効果的だ。バーベキューなどで着火に苦労するのは、一つにはバーベキュー焜炉の構造の悪さにある。七輪などは慣れれば新聞紙二、三枚で着火する。それは風の通りが計算されているからだ。
師が丁寧に灰をなでつけ形を作っていく。
「押しつけてはいけません。灰の中の空気を残すようにふわりとおさえるのです」
灰中の空気を使って炭が燃えるからという。
手前に前瓦を置き、中央のくぼみに灰匙で ☵と、八卦の水の卦をしるす。
「火に対して水を置くことでバランスをとります。昔の人はそれほど火の力を恐れていたのです」
炭点前が始まるとすぐに火が回り、部屋中に沈香の香りが満ちた。
「火に対して水を置くことでバランスをとります。昔の人はそれほど火の力を恐れていたのです」
炭点前が始まるとすぐに火が回り、部屋中に沈香の香りが満ちた。
師が白檀を切らしているとわびた。
「沈香は油が出て風炉を傷めるので、本当は白檀がいいのです」
灰型から心を込めて点ててくださった茶は、ことのほか薫り高い気がした。
「沈香は油が出て風炉を傷めるので、本当は白檀がいいのです」
灰型から心を込めて点ててくださった茶は、ことのほか薫り高い気がした。