「ハッ」と思わず目を奪われた。


 山種美術館の特別展、百花繚乱〜華麗なる花の世界〜でのことだ。

日本画の専門美術館 山種美術館(Yamatane Museum of Art)1966年に日本初の日本画専門の美術館として開館。2009年渋谷区広尾に移転。近代・現代日本画を中心に、古画、浮世絵、油彩画、6点の重要文化財を含む約1800点を所蔵し、年5~6回の展覧会にて順次公開しています。創立者・山﨑種二の「美術を通じて社会、特に文化のために貢献する」という理念を受け継ぎ、理想的な環境づくりと質の高い展覧会を通じて、日本画の魅力を発信…リンクwww.yamatane-museum.jp


 コロナ禍で緊急事態宣言が延長される中、いくつかの美術館が再開されたと聞きいそいそと訪れた。不敏なことに私は山種美術館をいまだに訪れたことがない。初めて入ったそこは程よい小ささで、観覧にくたびれる恐れがなさそうで好もしく思える。しかもあっさりしていそうな花鳥風月ばかりである。


 「一回りだけしてすぐ帰ろうか」


と思いながら入り口を入った途端、目に入ったのが蓮だった。しかも花ではなく、葉のみどりにだ。

 展示を見て周りながらも「すっすっ」とみどりが目に飛び込む。なに?と思い見ると皆古径であった。

 古径のみどりはキラキラしていない、沈みもない。何と言うこともない。ミルクを混ぜたような、パステルカラーだ。それが美しい。

 萌え出たばかりのギボウシの葉の色が幾分近いだろうか?


 何度か会場をぐるぐる回り他の画家の緑と固形を比べてみた。牧進の明り障子という絵の水仙が近い他はあのみどりは見当たらない。


 心奪われるほどのみどりに出会えた。

 それだけで今日は幸せな日となった。


小林古径「蓮」