昨夜、スピードスケート日本女子チームが、平昌オリンピックのパシュート競技で金メダルを取りました。

 

この競技は、3人が隊列を組んでコース62400mを速く走り切ったがチームが勝利するもので、3人の速いスケーターが必要です。決勝を争ったオランダチームの個々のスケーターの実力は、持ちタイムからも明らかに日本を上回っていましたが、勝者は日本チームでした。

 

勝敗を分けた主因が、空気抵抗であったことは明らかです。

 

50km/hで氷上を滑走するスケーターが受ける全抵抗の約70%が空気抵抗と言われているようで、隊列の2人目、3人目の抵抗を大幅に減らすには、前走スケーターの直後を同じピッチで隠れながら追走する必要があります。TV画面から、日本チームは他のどのチームよりコンパクトで同調した隊列を組んでいたことは確かです。

 

これを見て、現在、新東名高速で行われているトラックの隊列走行実証実験を想いました。

 

トラック隊列走行によるメリットの一つに、燃費改善があります。実際、3台の大型トラックが、車間距離4mで隊列を組み、80km/hで走行すると、先頭と尻尾の2台は20%、真中の1台は50%空気抵抗が低減することが分かっています(NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2013)。抵抗の70%が空気抵抗のスケーターとは違い、トラックの走行抵抗の中には、転がり抵抗があるため、空気抵抗の割合は約50%と相対的に小さいため、このケースでの3台平均の燃費低減率は約15%にとどまります。

 

トラック隊列で注目すべき点は、3台それぞれの空気抵抗低減率で、2台目が半分に減るのは当然として、先頭車も20%減ることです。これは、1台目の後流渦が、2台目が近接していることにより減ることに起因しています。

 

パシュートの話に戻ると、今回の決勝で、先頭を全長2400mの半分にあたる31200mを担当したのが、1500m個人競技で銀メダルをとった高木選手でした。半分を前走者の後ろで楽ができたのは当然としても、先頭でもトラックの例と同様に、空気抵抗低減の恩恵を受けていた可能性があります。

 

実際、公式記録を調べてみると、高木選手がパシュート競技で先頭を担当した前半200m600m400m区間タイムが27.23secであったのに対して、個人1500m競技の前半300m700m400 m区間タイムは28.53sec1.30sec遅かったことが分かりました。同じく後半の記録を比べてみても、同じようにパシュートの記録が上回っていて、パシュートの先頭でも空気抵抗が減少するのは確かなようです。