非日常 | さやみる推しのNMB妄想小説 別館
なんとなくの話

(ゆーりさんご飯の用意が)

「ありがとうございます
いただきます」

栄養バランス完璧な朝ごはん
綺麗で広い部屋
何不自由ない生活
何不自由ないのに窮屈な生活

パパとママの会社は知らない人がいないほどの
大企業で生まれた時からお嬢様やった
パパとママのことは嫌いじゃないけど
愛された記憶はない
愛されていたのかもしれない
でも分からなかった
いつもいるのはお手伝いさんたまに会えるのは
パーティーの時だけ
決められた習い事に学校食事
とても窮屈だった

学校から出て
迎えの車が見える
いつから待ってるんやろ
もし私が出てこなかったから
いや、やめよ…お手伝いさんに迷惑がかかる
彼らも仕事なわけで生活がある
私は決まった毎日を過ごすだけやった
車まで行こうとした時すごい勢いの自転車が
前を通ってそして

ガシャーーーン!!

「えっ」

電柱にぶつかって倒れた
思わず駆け寄った

「だ、大丈夫ですか?」

「いってぇぇ…」

「あ、、救急車」

「え?いや大丈夫大丈夫!ごめんな
わざわざありがと」

そう言って頬から血を流した女の人
立ち上がると私より少し小さい
整った顔立ちに長い髪の毛
近くの高校の制服を着てる

「バイト遅れそうで慌ててたら
ハンドル間違えたわハハハッ!」

「いや、血が出てますし」

「っ…てぇ、、あーハンカチ汚れたで
そんなことせんでええってばー」

「でも、そんな血を」

「いつもの事やからさ」

「っ///」

ニコって笑った顔がかっこよくて綺麗で
胸がドキッてなった

「さてと、動くかなチャリ」

「あの、、良かったら車乗っていきますか?」

「…こら、君はいい子そうやけど
こんな知らん人乗っけたらアカンで」

「…」

「でも、ありがとうな」

「いえ、別に」

「ゆめり?なんて読むん?それ」

「あ、ゆうりです…」

「おっけゆーりな
わたしは彩!彩るって書いてさやか!
じゃーなゆーり」

そう言ってガタガタになった自転車を
押していってしまった



その日から…私は彩さんのことが
忘れられなくなった
今までの私は何を考えていたのか
忘れてしまうほどに彩さんでいっぱいだった
また会いたい、話してみたい
彼女が連れていってくれる不思議な感覚の世界に
でも、、、どうすることもできない

また一日が終わり
迎えの車が見える
家に帰って課題をして寝て起きてまた同じ
何も楽しくない…

「ゆーり!」

「…彩、さん?」

「お、覚えててくれた?
ごめんな遅なって!はいこれ」

「あ、これ」

「ハンカチ新しいの買ってみた
好きかわからんけどなんとなく
ゆーりぽかった」

渡されたのは淡い青色のハンカチ
こんなの初めて持つ
でもとても綺麗な色でこれを私っぽいと
言うてくれたことに嬉しさを覚えた

「あ、お金」

「何言うてんねんお礼やねんから
じゃあな」

「…あっ、、」

どうしようなんて言うたらいいんやろ
もう少し話したい
でも、そんなこと言える立場ちゃう
これで最後…もう繋がりもない
彩さんは自転車に股がって進み出した
こんな人にまた出会えるかな
その時にはもっと仲良くなれるように
自分も大人にならないと

家に帰って課題が終わった
あとは寝るだけ
何しよう、何もすることはない
退屈な毎日だな…

彩さんから貰ったハンカチを眺める

「綺麗…」

何度見ても綺麗でこれは飾っておこう
そう決めた時何かが見えた

「タグ?」

タグのところにはペンで書かれた
数字とアルファベット
手書きやし後から足したもの
これは彩さんが書いたんかな
それとも元々?…なんかの暗号?

sy0714n

んー、、、わかんない
なんの記号なんだろうか
その日1日必死に考えたけど
暗号は解けなかった



(太田さん課題進んだ?)

「あぁまぁ少し次はグループだね」

(そうそういいの作らないと
成績落とされちゃいそうだからさ)

「頑張ろ」

(あーそうだグループLINEつくろ
こまめに話した方がいいし
LINE教えて)

「あぁ、はい…えっとどーやったら」

(うそ、太田さん交換したことないの)

「全部お手伝いさんに任してたから」

(あぁそうかウチもそうだったけど
やっぱり自分でしたくて
貸してーID打つわ)

友達に携帯を渡しID検索とやらをして
友達追加をした
便利だなぁそんなふうにするんだ

学校が終わり家に帰って課題をする
グループLINEも活発で早く課題が終わりそう
あんまり携帯触らないからなぁ…

あれ、、、
ふと昨日の暗号を思い出した
もしかして、、これって…

半信半疑で友達がやってた動作を真似る
昨日の暗号を入れて検索したら

「うそ…」

山本彩

ひとつの連絡先が出た

((彩るって書いてさやか!!))

「彩さん、、やんな?
じゃあこれってLINE教えてくれてたってこと?」

思わず追加を押した
メッセージ…なんで送ろう


タラララッラン…♪

「電話っ!!」

今メッセージを送ろうとしたとこやのに
電話って、、

「もしもし…」

「あ、ゆーり?よかった気づいてくれたんや」

「あ、えっと彩さん」

「そうそう
家厳しそうやからさ普通に連絡先渡しても
無理かなーと思って」

「あぁ、、なるほど」

「なんとなく仲良くなりたくてさ」

「わ、私もっ!」

「え?ホンマに嬉しいわ」

「はい…」

そこからお互いに自己紹介をした
高校三年生、バイトはコンビニでしているらしい
ワンちゃんを飼っててとっても可愛くて
名前はネオン

「やば、こんな時間や
そろそろ寝やんとやなぁ」

「あ、、はい」

「…寂しいん?」

「…」

「あぁごめんごめんそんなわけ…」

「さみしいです、、すごく」

「っ…」

「彩さん?」

「いや、あっごめん
ずるいわほんま」

「ずるい…?」

「なんもないこっちの話
えっとそーやな…うん、、、
また電話していい?」

「はいっ!」

「おぉ…じゃあするわ
とりあえず今日はおやすみ」

「おやすみなさいっ…」

また電話してくれる
いつだろうな
出来るだけ早くがいいなぁ

初めて知った非日常にどこかドキドキして
その日はなかなか眠れなかった
この非日常が
恋と気づくのは…まだ先の話