君に想いを伝えられたら 終 | さやみる推しのNMB妄想小説 別館
「彩お疲れ!」

「ありがと」

「ホンマにすぐ行っちゃうん?」

「ライブのリハが向こうであるねん
もうちょい大阪に居たいけど
仕事やしな」

「ちぇーんじゃ
また帰ってきたら
飲みに行こうや
高校の時約束してたやろ?」

「そーやったな
わかった
帰ってきたら連絡する」

まーちゅんにそう言って
バスで空港まで向かう
出発しようとするけど
ファンに囲まれなかなか動けない
いつもならメンバーとふざけて
話し合ったりするけど
今日はそんな気分じゃない
イヤホンを付けて
窓に頭を寄せた
カーテンの隙間から人が見える
警備の人が道を作ってくれてる

(もう戻ってこーへんやん)

確かにそのつもりや
大阪には戻ってこーへん
大阪に来たら未練が大きくなって
成長できひんから
美優紀はそれ見抜いてた
相方やから
どれだけ年月が経っても
考えは丸わかりみたいやな

「美優紀...ん?」

(キャー!!!)
(彩ー!!!)

カーテンの隙間から
気になるのが見えて
開けて見てみると美優紀やった
切なそうにファンの大群を見て
少し笑って
背中を向けて歩いていく
あの時みたいや
卒業式のあの日あの時
私が伝えられなかった時と
姿がリンクする

     また、伝えへんの?

伝えたい...伝えたいっ!

バタンッ!!

(キャー!!!)
(彩やぁー!!!)

「ちょ、ちょっとごめん!!」

ファンの間を必死に走る
そしてその後ろ姿を追いかけた

「美優紀!!!!」

「彩ちゃんっ!?」

「...すぅ

好きや!!!!」

「え?」

「アンタが好きや
コンビになったあの日からずっと
アンタが好きやった
笑った顔も怒った顔も全部
漫才以外全然合わへんのに
気づいたらアンタの顔が浮かんで
ずっと伝えたかったけど
弱い私は言われへんかった
それでこんなにも月日が経った
また再会して気持ちは変わらへん
私は美優紀が好きなんや!」

「アホちゃう?
今更何いってんの?
散々ほったらかしにして
それやのに
もう戻ってこーへんのやろ!
向こうに行くんやろ!
それやのに
そんな無責任なこと言わんとって!」

「それは...」

「最低...」

「っ...

責任とればええんやな」

「は?」

「美優紀、私と一緒に来てくれ」

「え...」

「結婚とかはできひんし
美優紀に仕事辞めさすことに
なるけど
でも私は美優紀といたい
この先ずっと
あの時言われへんかったから
より一層そう思ってる
...アカンか?」

「...ホンマに自分勝手
ずっとそうや
相手のこと考えへんで」

「...」

「彩ちゃん」

「...ん」

「私許さへんから
あの時気持ち伝えてくれんかったこと
私に仕事やめさせること」

「そっ、か」

「だから
一生かけて謝って」

「え...」

「死ぬまでずっと
私の側で謝り続けて」

「美優紀...」

「彩ちゃんが好きっ」

そう言った美優紀を抱きしめた
安心させるように
誰にも取られないように
そして

君に想いが伝わるように

END