今回のコラムは “お茶を濁した” と
後ろ指さされる内容だと、予めお断りしておきます。

「ネタ切れ」というより、「ネタ以前」の「ネタマゴ」が
うまく孵化しませんでした。

今回、孵化する予定だった「ネタマゴ」は、
こんな話題です。

 “村上春樹のリコメンドはなぜソソルのか?”
 “市場の細分化と製品の差別化の関係”
 “好きな広告、嫌いな広告”

次回更新にはいずれか1つを煮詰めて、
「煮タマゴ」として掲載する予定です。
しばしお待ちを。

それでは、改めてお茶を濁しつつ、
本題に入ります。

東大助教授であり、翻訳家でもある
柴田元幸のエッセイ集
「愛の見切り列車」(新潮文庫)に、
自身の「ロックンロール・オールタイム・ベストテン」を
紹介するくだりがあります。

今回は、そのエッセイに触発されて、
私個人のベストテンを選んでみました。

 Blue / THE JAYHAWKS
 Out The Blue / JOHN LENNON
 Love Comes To Everyone / GEORGE HARRISON
 Golden Slumbers ~ Carry That Weight ~ The End
  / THE BEATLES
 Have A Little Faith In Me / JOHN HIATT
 Here I Am / STEVE EARLE
 Almost Saturday Night ~ Rockin' All Over The World
  / GEORGIA SATELLITES
 One Too Many Mornings / BOB DYLAN
  ※ 『Hard Rain』収録バージョン
 Sip The Wine / RICK DANKO
 Your Bright Baby Blues / JACKSON BROWNE
 (順不同)

興味のない方には、
“なんのこっちゃわからん” 世界ですね。

気にせず話を進めますが、
私がもっとも好きなアルバム、
THE ROLLING STONES『Exile On Main St.』、
DEREK & THE DOMINOS『Layla』、
THE BAND『Northern Lights-Southern Cross』の
3枚から1曲も選ぶことができなかったのは、
高いトータル性ゆえと理解しています。

ちなみに、柴田氏のエッセイには
村上春樹選出のベストテンも収録されているので
ここで紹介します。

 Sweet Little Sixteen / CHUCK BERRY
 Breakin' Up Is Hard to Do / NEIL SEDAKA
 Return to Sender / ELVIS PRESLEY
 Fun, Fun, Fun / BEACH BOYS
 Patches / CLARENCE CARTER
 The Original Wrapper / LOU REED
 People Are Strange / DOORS
 What's Going On / MARVIN GAYE
 Born to Lose / RAY CHARLES
 Burning Down The House / TALKING HEADS
 (順不同)

「Born to Lose」は確かに名曲です。
“失うために生まれてきた”
これからの寒い時期、身に凍みて泣けます。

「クチコミでもっている派遣会社です。」

電車の中吊りや、駅のホームのポスターで最近見かける、
リクルートスタッフィングの広告が嫌いです。

アイキャッチとなる犬のキャラクターを配し、

シンプル且つキャッチーなコピーを
インプットさせる仕掛け。


屋外広告の好事例集に

取り上げられそうなポスターですが、

やっぱり嫌いです。


“クチコミでもっている” のなら、

“クチコミでもっている” ことも

クチコミで広めてみろ! と、
ヘリクツ垂れたい気分です。

“派遣登録者数ナンバー1” という

比較表現はその根拠を問われますが、
それ以上のキラーメッセージとなり得る

“クチコミでもっている” というコピーは、
JAROの審査基準に抵触しないようです。

本当に “クチコミでもっている” のなら、

屋外広告など利用しないことが
何より根拠になるのではないでしょうか?


JARO的にジャスティス(法的正義)だろうと、

フェア(社会的良心)を重んじる
私には許せません。

宣伝文句に “クチコミ” を用いること自体は

アンフェアではありません。
こんな使い方ならフェアだと認めます。

「弊社をクチコミしてください。

(できれば褒め言葉で)」

次は好きな広告を。
12/14(水)付日経新聞に掲載された、

クラレの全面広告を紹介します。

出だしが一言、 “失敗。”
続けて、“どこのどなたかわかりませんが、

この広告の長い文章を読んでみようと

思われた方に、まず初めにお礼を申し上げます。”

広告表現の定石を踏み外した、

長い文章の始まりです。
“今日は、「ひとりの経営者」と

「ひとつの製品」の話をお伝えしようと思います。”

こうして、経営者と製品の話が交互に語られていきます。
さながら、ジェフリー・アーチャーの

「ケインとアベル」のようです。
経営者に関する記述を要約してみると・・・

“昔、ややこしい経営者がいました。”
“事業家としてダイナミックな道を

一途に歩み始めたかに見えた彼でしたが、”
“会社経営のかたわらも、周囲の声に耳を貸さず、

孤児救済に深く肩入れし、
莫大な額の寄付を重ねていきました・・・”

“役員たちの猛反対” にもかかわらず

“病院を立ち上げ”、“本物の絵を触れさせてやりたい”

気持ちから “今では有名な美術館の建設に着手し”、
“「わしの人生は、失敗の連続だった」”

“「わしの一生は、反抗の生涯だった」”と
総括して人生の幕を下ろしたそうです。

一方、“製品は今年40周年を迎えました。”
“この製品から生まれ、日本の子供たちが使った

延べ2千万個のランドセルのうち
1万個がこの春、海を越えました。”

文章に添えて、アフガニスタンの女の子が

赤いランドセルを背負った写真があり、
その子の眼差しはカメラをまっすぐ見つめています。

“経営者も製品も”

“社会的良心を持つことが出発点でありゴールでした。”

“経営者の名前は、大原孫三郎。製品名は、クラリーノ。”

志と心意気を強く感じる、

すばらしい広告だと思います。

この広告に感動したからと言って、

私がすぐランドセルを買うわけではありません。
クラレの株を購入したり、

中途入社を希望するわけでもありません。

私という消費者に対する

「リーセンシー(=購買直前のアプローチ)効果」は
ゼロと言っていいでしょう。

でも、私はいまクラレが好きです。

リーセンシーなどという

小賢しい発想とは対極のアプローチをしているが故、
クラレに好感を抱いているわけです。

予算編成期だけ連絡を寄こす

営業マンを信頼できないように、
まるで衝動買いを促すかのような

「リーセンシー効果」という考え方自体が、
私は嫌いです。

リーセンシーがプロモーションのトレンドならば、

私は敢えて逆張り戦略を採ります。
振り返れば、私の人生そのものが逆張りの連続でしたから。

前回、「タチの悪い言葉」を取り上げたので、
今回は「タチの良い言葉」。
思い浮かべるだけで口元が緩んでしまうような
言葉を紹介します。

まずは【やっこぱん】。

故郷の千葉県我孫子市を後にして、早や15年。
ついぞ、【やっこぱん】を知っている方に
出会うことはありませんでした。

意味は、“ソフトテニス(当時は軟式テニス)のボール”。

「やっこぱん野球、やろ~ぜ!」
我孫子市つくし野に住む子供たちの日常会話が、
全国的にまるで通用しない
衝撃の事実を知ったのは、
高校に入ってからでした。

私の育った地域は新興住宅地だったので、
方言ではないはずです。
「“やっこい=柔らかい”+“パン!と響くボール”」の
変形が局地的に定着した、稀なケースでしょう。

それにしても【やっこぱん】、
いい響きじゃないですか?
このブログから草の根で広げて
全国制覇を夢見ているので、
ご協力をお願いします。

その際、「ソフトテニス」は当然、
「やっこぱんテニス」に改名。
競技人口は激減することでしょう。

次は【歌バカ】。
平井堅のベスト盤のタイトルです。
言語史上、「バカ」ほど巧妙な謙遜語もないのでは?

先駆けは栗山米菓のロングセラー「ばかうけ」でしょうか?
(製品サイトのドメイン “baka.ne.jp” に、ばかうけです)

機能性飲料「健康バカ」、旅行ブランド「たびばか」、
歯磨き粉「バカしろ」、男性用かつら「バカ黒」なんて
発売されたら楽しいですよね。

IT用語でもっとも「タチの良い言葉」は
間違いなく【パンくずナビ】でしょう。

ご存じない方のために解説すると、【パンくずナビ】とは、
“ホーム > 言葉 > タチの良い言葉” のように
トップページからのパスを表示する
ナビゲーションのことです。

ヘンゼルとグレーテルがインターネットの森の中で、
パンくずを落としながら歩く姿が目に浮かびます。

ドメイン、サーバ、プロトコルなど、
無味乾燥なIT用語のなかで、
その優れたメタファーは際立っています。

悪名高い【スパムメール】も、
実は優れたメタファーです。
由来はモンティ・パイソンのコント。

あるレストランで夫婦がメニューを選んでいると、
近くに座るバイキングの一団(笑)が
「SPAM!SPAM!SPAM!」と大声で歌いだす。
終いに店員まで「SPAM!」を連呼し、
最初は嫌がっていた夫婦も
スパムを注文せざるをえなくなる、というオチ。

欲しくもないメールと、
欲しくもないスパムを掛けているわけです。
日本発祥ならさしづめ、
【引出物メール】とでも命名されたはずです。
「デバイス」と「デファクト」と「デフォルト」の違い、
お分かりになりますか?

私は以前、意味の違いが際立つよう、
“「デファクト」であるWindowsの「デフォルト」に対応した
 「デバイス」”という例文を考えてみたものの、
なぜか “隣の客はよく柿食う客だ” を連想させるだけで、
インプットには役立ちませんでした。

そこで今回は一律、四字熟語で訳してみました。

 デバイス【devise】= 周辺機器
 デファクト(・スタンダード)【de facto】 = 業界標準
 デフォルト【default】= 初期設定

これに関連して、
「地球音楽ライブラリー サザンオールスターズ」
(TOKYO FM 出版)から、音楽評論家 萩原健太氏の
一文を引用します。

 “サザンオールスターズというバンドは、もはや
  日本のポップ・ミュージック・シーンにとっての
  デフォルトになってしまっているような気がするのだ”

この場合、「デファクト(・スタンダード)」のほうが
私はしっくりくるのですが、「デフォルト」でも意味は通じます。
(余談ですが、私は「Oh! クラウディア」がいちばん好きです)

字面から意味を読み取ることができない
カタカナ用語は誤解を招きやすいだけに、
使うときも使われるときも「心のアラート」が発信される
習性が身についています。

タチが悪いのはむしろ、
漢字表記のマーケティング用語です。

提案書をチェックするとき、
私の「心のアラート」が殊のほか響くのは、
2005年12月現在、この三語です。

 「最適化」
 「顧客志向」
 「囲い込み」

この三語は、とかく思考停止状態を招きます。

 “お客様のお求めになるスケールに最適化した
  システムを開発”

まったくもって正しい。
しかし、このレベルの表現では何も言っていないに等しい。

 “「最適化」って具体的に
  どうやって最適にするのですか?”

 “「顧客志向」とは、顧客の欲求に逐一対応すること?
  それとも、常に顧客の視点で考えること?”

 “「囲い込み」と言うけど、
  ある消費者が企業に囲い込まれている状態とは
  どんな様子なの?”

この三語をプレゼンターが発した瞬間、
プレゼンを中断してでも尋ねるべきでしょう。

漢字表記のマーケティング用語には、
この三語以上にタチの悪い言葉があります。
「戦略」と「戦術」です。

この二語に手を出すと徹夜になってしまいそうなので、
数多ある「戦略」本のなかから、
私がもっとも腹に落ちた一文を紹介して、
今日のところは勘弁していただきます。

 “安売りは、アメリカのほとんどの小売業が
  ある期間に活用している「戦術」である。

  これに対し、
  毎日安売りするのはディスカウントストアで、
  これは「戦略」だといえる。”

 ※ 出典: ジャック・トラウト著「無敵のマーケティング 最強の戦略」
   (阪急コミュニケーションズ刊)
私が勤めている会社の「電話機設定マニュアル」には、
こんな例文が紹介されています。

“ご用件がございましたら、
 恐れ入りますが発信音の後にお入れくださいますよう、
 よろしくお願いいたします。”

違和感を覚えませんか?
“ご用件がおありでしたら、” が正しい用例だと思います。

昨年の5月から約1年半、
私は「主夫」として暮らしていました。

主夫の特権で日がな一日テレビをつけていると、
首を傾げてしまう表現に よく出会います。
例えば・・・

 “全然いいよ~”
 “どうぞ、いただいてください”
 “気の置ける仲間たちと楽しく過ごしました”
 “私が幼少のころ、”
 “汚名挽回の逆転打!”

用例だけではなく、
漢字の読み方も誤用がまかり通っています。

 「独擅場(どくせんじょう)」を “どくだんじょう”
 「固執(こしゅう)」を “こしつ”
 「重複(ちょうふく)」を “じゅうふく”
 「相殺(そうさい)」を “そうさつ”
 「初孫(ういまご)」を “はつまご”

誤用の方が定着している言葉さえ珍しくありません。

ところが、実は私も偉そうに言う資格などないのです。
前職のコンサルティング会社にいたころは、
重度の “カタカナ病” を患い、
自分でもよく理解していない言葉を濫用していました。

1年半ぶりに社会復帰を果たすと、
カタカナ用語の軽さが気になって仕方ありません。

 “リアルタイム且つスピーディーな
  コミュニケーションをサポート”

 “ユーザーニーズにマッチした
  ベネフィット毎にセグメンテーションを図る”

 “コンテンツのアクセス状況から
  ボトルネックを抽出後、
  サイト全体のトーン&マナーの最適化と、
  ユーザビリティをアップ”

「トーン&マナー」なんて、
制作会社の方をどれだけ泣かしてきたことか。
相手の口からこの言葉が出てきた瞬間、
私は即座に問いかるよう心がけています。

“申し訳ありませんが、
 日本語に置き換えて説明してください”

皆さんも同じ状況に出会ったら、
勇気を出して問いかけてみましょう。
澱みなく回答できる方は皆無なはずですから。

ところで、今回のコラムのタイトルにピンと来た方、
いまニヤッとしていますね。
エレファントカシマシのヴォーカルと同じ綴りの名前を持つ
ソロアーティストの曲で、 10年くらい前、
あまり話題にもならずに消えていった代物です。

カタカナ用語で埋め尽くされた提案書に出会うと、
私はいつもこの曲を 思い出してしまいます。
そのコソバユさを皆さんにおすそ分けして、
今回は終わりにします。

目から鱗が落ちる ―― 多少の個人差はあっても、

そんな体験を望まない方はいないのではないでしょうか?


先日、タクシーに乗車すると、

年の頃、50歳くらいの運転手さんから、

こんな話を聞きました。


「最近はねえ、日中、ここらへん(注: 青山近辺)は

 慢性的な渋滞なんだよね。

 うん、路上駐車も悪いけどね、

 いちばん悪いのは歩行者だよ。


 ほら、あそこ見てごらん。

 赤信号でも平気で渡っているでしょ。

 おかげで、右折車が足踏み食ってる」


「左折しようとしても、車のことなんかお構いなしだもの。

 考えてごらんよ。

 日本中のドライバー全員が曲がる度に躊躇してたら、

 渋滞なんて簡単に起きちゃうでしょ?


 赤信号渡ってるヤツに限って、

 自分が運転するときに文句言ってんだよ。


 だからね、今の渋滞は教育の問題なの」


なるほど。

あとから思い出すと、

細かい論理矛盾に気づいたりしますが、

会話の最中は説得力ある語り口に

すっかり感心してしまいました。


さて、本題はここからです。


弊社が運営する、50歳以上の会員組織「MASTER」に

ご登録いただいている方と接していると、

“目から鱗が落ちる” 思いをよくします。


「自分の欲しい商品ならお金を出せば、

 たいていのものは買える年齢になった。

 自分の欲しい商品は、既に世の中にあるんだよね。


 だから、“欲しい商品” を作ってもらう必要はなくて、

 “欲しい商品” と “欲しくない商品” 以外の商品が

 僕は欲しいんだけど」

 (54歳男性)


「うちはね、夕食のときは毎日必ずワインで

 “乾杯” をしますよ。

 それまでどんなに喧嘩していても、

 ワイングラスの “チンッ” という音でリセットするのが

 習慣になっているんです」

 (65歳男性)


「私たちの声に耳を傾けてくれる企業には、

 基本的に好意を抱くのは間違いないわ。


 でもね、無闇にありがたがるのはどうかと思うわ。

 私たちはあくまで “生活のプロ” であって、

 “商品のプロ” じゃないんだから」

 (55歳女性)


「定年退職してから暫くは家に居場所がなくてね、

 家長から一気に飼い犬以下の扱いになった(笑)


 笑い事じゃなく熟年離婚が頭をよぎったけど、

 あるとき、妻がつけている家計簿を

 エクセルに入力したら感謝されて、

 いまは私が資産管理すべてをやってる。


 家計簿つけると景気の変動がビビットにわかるし、

 家のトレンドが判るし、

 家族の一員になりたいなら、

 世の男性諸氏は皆やるべきだと思う」
 (61歳男性)


「発泡酒を飲んでる自分がカッコいいと思えたら、

 発泡酒を買うね。


 ビールと味の見分けがつかない自分だけど、

 ビールは中味じゃなくて

 スタイルに酔うために飲んでるから。

 ビールを飲む自分が好きなんだ」

 (58歳男性)


本来、マーケィング対象である彼らから、

数多くの人生訓を私は授かっています。

シニアの方々にお会いすることは仕事というより、

師匠に教えを請うような気持ちです。


公私の別なく、“目から鱗” 体験を得たいがために

MASTERと会う機会を心待ちにしています。


翻って、シニア層をターゲットに

商品・サービスを提供する企業が、

彼らから心待ちにされるポジションを取ることで、

売り上げ拡大につなげるケースもあります。


では、シニア層に示唆を与えるために、

彼らの “目の鱗を落とす” ために、

どんな手法が取り得るのか、
次回はケーススタディをもとに解説する予定です。

今回は、50歳以上の方10,000名にご登録いただいている

弊社会員組織「MASTER」に配信したメールの

好事例をご紹介します。

弊社からMASTER会員に配信しているメールは

2種類ございます。

 (A) WEBアンケートの回答や

    グループインタビューの参加を募る
    「お仕事依頼」メール ⇒ 全会員に配信

 (B) WEBサイト「STAGE」の更新情報や、
    クライアントから依頼された広告を掲載している

    メールマガジン ⇒ 希望者のみ配信

ここでは(A)の事例を1つご紹介します。

サンプルメールは、現在、15の企業様と実施している

「実践的シニアビジネス研究会」にて活用する

アンケートへの回答を依頼しています。

 ・ 件名

  「回答依頼: 生活全般に関するアンケート(研究会用)」

 ・ 以下本文

  MASTER  鈴木 一朗 様

  (株)シニアコミュニケーション MASTER事務局 ○○と申します。

  この度、弊社では「生活全般に関するアンケート」を

  実施させていただきます。


  今回のアンケートは、日本の大手企業十数社で構成する

  研究会のデータとして活用させていただきます。
  (但し、個人を特定しうるデータは、

   弊社にて厳重に管理しますので、ご安心ください)


  2005年には、日本の成人人口の約半分が

  50歳以上に達すると予測されております。


  従来、若者市場、ファミリー市場にのみ

  商品・サービスを供給してきた企業にとっても、

  今後、皆様の世代に支持されないことには、

  存続が危ぶまれると言っても過言ではない
  時代となりました。


  本研究会は、皆様により良い商品・サービスを

  提供すべく注力する企業が参加しております。

  皆様一人一人の声が、世の中のトレンドを生み出す

  ヒントになる可能性も十分ございます。


  今回を皮切りに、都合6回、

  アンケートへの回答をお願い申し上げます。


  設問数は合計400を超える予定ですが、

  300名のMASTER会員様の回答を

  弊社コンサルタントが分析し、

  シニア世代が求めている商品・サービスを開発、

  販売する過程の “カギ” を見つけるために

  必要なボリュームであることをご了承ください。

  アンケートフォーム >> http://www.XXXX

  (以下省略)


このメールテキストの訴求ポイントは3点ございます。

 1.依頼内容の目的を明らかにしていること
 2.社会的意義を訴えかけていること
 3.リアクション(今回のケースはアンケート回答)を、

   誰がどう活用するのか、明記していること


弊社のアンケートシステムは、

回答者にポイントが加算され、一定値をクリアすると

商品券に換券できる仕組みになっています。

しかし、当初の予想に反して、

加算ポイントの増減は回答率に
ほとんど影響しないことに私は気づきました。


では、回答率を左右する要因は何なのか?

それが上記1.~3.の項目です。


社会倫理意識が他世代に比して高いシニア層は、

自分の行動が社会に与える影響度に対し、

総じて感度が高いと言えます。

文面からロジカルにその度合いを推察し、
リアクションに値するか否かを決定しているようです。

一方、ロジカルな思考回路とは相反する、

エモーショナルな訴えかけ = “情” に対しても

高い反応を示す傾向があります。

但し、予めリアルな接点があることが

前提条件となります。


MASTER会員の多くは、イベントや

グループインタビューなどへの参加経験を持ち、

顔馴染みの社員が数名います。

その関係性を利用し、膨大な量のアンケート回答を前に

格闘する姿をリアルにイメージさせることで、

“肩入れ” する誘因をつくっているのです。

シニア層からのリアクションを求める際、

“肩入れ” してもらう仕掛けを施すことは

大きなポイントかも知れません。


今回ご紹介したメール事例は、
購買行動を促す目的ではございませんが、

販促目的のメールにも適用できると思います。

今回は、50代・60代の方の

メールテキスト事例をご紹介いたします。


メールマーケティングはもとより、

シニア層とコミュニケーションを図るとき、

彼らの表現のルールを知っておくと、

シニア向けのメッセージをブラッシュアップする上で

参考にしていただけると考えます。


はじめにご紹介するのは、

東京都八王子市にお住まいの59歳女性です。


 タイトル: 「お礼        H田 S子」


 日が出ていますのに寒い一日でした。
 花粉症を我慢してベランダで花達の手入れをしましたら
 手がかじかんでしまいました...


 お忙しい中での迅速なお返事、とても感激しております!
 これからいよいよ陣頭指揮をなさるご様子
 頼もしく、心から応援申し上げます。
 誠実なお気持ちと、いつも初心をお忘れにならないお心は
 きっといい方向へ向うと確信しております。


 ただ、健康であっての全てです。
 ご無理はなさらず、他人様を信じて任せてよろしいものは
 どんどんお任せになられるのも、

 将来的にはいい結果になると思います。

 益々のご活躍を願いつつも、

 心身共の休養と栄養補給も、と....


 いつもお心にかけて頂きまして、

 本当に嬉しく思っております。


                お礼まで   H田 S子


シニア層に多く見受けられる、

メールを “したためる” 感覚をご理解いただけたでしょうか。


この方は非常に筆まめで、

週2~3回はメールをいただきます。

まるで、母親から貰う手紙のようです。

では、次のメール。


 タイトル: 「写真」


 早速楽しく拝見させていただきました。
 皆様の御意見、いろいろでおもしろいものですね。 

 ところで、顔写真なのですが、、、
 緊張したままの怖い顔が出ていてゾーッ!
 “笑って” と言われてニッコリしたつもりですので
 それが出るかと思いきや!

 笑顔が売りのHちゃんですので、

 出来たら変えて頂けたら嬉しいんですが・・
 もう無理かなぁ???
 念の為、、お願い!します.     H M子


神奈川県川崎市にお住まいの60歳女性のメールです。

この方は、「STAGE」の1コーナーにご登場いただき、

その内容を見ての感想と依頼をお寄せいただきました。


自ら “笑顔が売り” と言う

ユーモラスな一面をお持ちです。


次は、東京都練馬区にお住まいの 66歳男性。


 タイトル: 「『アバウト・シュミット』試写会のご招待

        ありがとうございました」


 昨日は貴重な感動をありがとうございました
 ☆☆☆☆☆『名もなきアフリカの地で』☆☆☆☆☆
 映画試写会にご招待いただき

 誠にありがとうございました
 また、早々にご丁寧なご挨拶をいただき

 誠に心苦しい限りでございます


 本当に素晴らしい映画をありがとうございました
 ☆(^0^)☆∩ペコッ。。
 一般上映になりましたら

 妻と二人の娘家族(孫5人も)を伴いもう一度

 観たいと今から愉しみにしています

 本当に素晴らしい映画でした

 お世話いただいた
 ☆☆☆☆☆『○○ ○○さん』☆☆☆☆☆
 ☆☆☆☆☆本当にありがとうございました☆☆☆☆☆
 ∩ペコッ。。。

 感謝気持を ☆(^0^)☆     From I .H


一言一句、原文のまま掲載しております。

この方は、弊社の新入社員を口説いてしまうくらい

旺盛な方です。


「シニア層はマスで捉えられない」というセオリーがありますが、

それを裏付ける、3つの事例を挙げてみました。


私は日本一、シニアのメル友が多い30代と自負しておりますが、
彼らとメールを遣り取りする上で、

5つのガイドラインを設けています。


 1.時候の挨拶から始める
 2.字体はMSPゴシック、フォントの大きさは12ポイント以上
 3.宛名はフルネームを明記し、どれほど親しくなっても
   敬称は「様」を用いる
 4.配偶者に関する話題は、こちらから言及しない
 5.結びに、健康状態を留意する一文を入れる


3年間、数多くのシニアの方々と接するなかで

導き出した “掟” です。
その理由は企業秘密とさせていただきます(笑)


次回は、メールテキストの表現1つで

レスポンスが変わる事例をご紹介いたします。

ゼクシィ首都圏版に出稿するジュエリーショップには、

掲載記事を貼付したハレパネを掲載特典として

毎号、提供していた。


『ハレパネ』とは、ポリスチレンでできたパネルのこと。

接着剤がコーティングされている片面に印刷物を貼って

紙製の専用スタンドで立て掛けると、店頭用の販促物になる。


このハレパネを使ってゼクシィ掲載実績をアピールしたい

クライアントは数多く、長めの定規とカッターを駆使して

毎月50枚ほど作っていた。


掲載記事をそのままパネルに貼ると裏写りしてしまうため、

先ずカラーコピーを取る。

ゼクシィは平綴じの上に分厚いため、

1ページずつ剥がさないとコピーできないのが難儀だ。


ページを剥がすときに重宝したのが『パコパコ』。

パコパコの先っちょから液体アルコールを噴射すると

平綴じの糊が溶けてきれいに剥がれる。


『パコパコ』の正式名称を特定しようと

さまざまなキーワードで検索してみたが、

ヒットするのはアダルトサイトばかり。

外形はこんな感じ↓だ。
続・オレは、営業の、神様の、子供(仮)-pakopako
できあがったハレパネは宅配便で発送していたが、

ジュエリーショップが密集している銀座と御徒町に限り

各ショップを巡って手渡していた。


2つのエリアの特徴をひとことで言えば、

『モノより思い出』を選ぶなら銀座、

反対の嗜好なら御徒町をお奨めする。


銀座では、ゼクシィのバイトごときが

お店のお客様用入口から入ってはいけないが、

御徒町では遠慮無用だ。

通用口すらないショップも多い。


御徒町のジュエリーショップ、東京ダイヤモンド商会にも

通用口などない。

暗くて狭くて急な階段を昇った2階に十畳ほどの店がある。

ハレパネを届けるため通いつめた1年半の間、

来店者を見かけたことは一度もない。


スタッフは40歳ぐらいの女性と

『社長』と呼ばれている60歳ぐらいの男性だけ。

ヒマつぶしのせいか、届けるたびに

バックヤードから社長が出てきて

熱いほうじ茶を勧めてくれた。


「ゼクシィ辞めて、

どんな仕事、

するんだい?」


7月の終わりにほうじ茶をススるのも悪くない。


「法人向けの、営業か。

個人向けだろうが、

法人向けだろうが、

商売の原則は、変わらない」


ヒマを持て余しすぎたせいか、

社長は文節ごとに一拍置いてゆっくりしゃべる。


「何だか、わかるかい?」


ショーケースに湯呑みを置いて、首を傾げてみる。


「商売は、稼ごうとしたら、稼げないよ」


10年が過ぎたいまようやく、

社長のお告げは真理だと気づいた。


先日、お店の前を通り過ぎたら

ダイニングバーに代わっていて、

階段を昇ってもハレパネは見当たらなかった。

「タベちゃん、あなたが辞めるのは認めたけど、
サトちゃんを連れてくなんて聞いてないわ!」


グループマネージャーの強硬な反対に合うとは
まったく予想していなかった。


「大学はどうするのよ?
卒業するなら採用を奨めるつもりでいたのよ」


結局その日は認めてもらえず、日をまたいで協議した結果、
ゼクシィ本誌9月号の発売に合わせて
7月末に退職する条件で折り合いをつけた。
7月1日の会社設立には間に合わない。


「バイトとはいえ円満に辞めるに越したことないから
ひと月ぐらい辛抱しなよ」


カレーを食べながらキュウさんがなだめてくれる。


「サトちゃん、営業やるならスタイリッシュでなきゃダメだ」


ワタベさんとキュウさんはともに優秀な営業マンだ。
ライバル心のせいか、二人一緒に昼めしを食べるのは稀だ。
今日はキュウさんに誘われ、
裏玄関を出て30秒の『居酒屋カレー』を食べている。


「おれは108つの掟を守ることで、
自分のスタイルを保っている」


『居酒屋カレー』の店名はわからない。
昼はカレーで夜は居酒屋だから、
キュウさんが勝手に命名した。


「1つめは、携帯電話で客先に電話しないこと」


『居酒屋カレー』は業務用のルーを煮込んだ、
もっちゃりしたカレーだ。


「2つめは、居留守電話を使わないこと」


サラダ・コーヒー付きで850円、大盛り950円。
食後に煮詰まったコーヒーが出てくる。


「3つめは、スリーピーススーツを着ること」


ワタベさんもキュウさんも
店は違えどカレー屋ばかり誘うので、
週5日まるまるカレーになることもある。


「4つめは、皮バンドの腕時計をすること」


『キュウさん』の本名はわからない。
若いころ、先輩の言いつけに忠実で、
ハチ公を超えるほどの忠誠心を称えられ
『キュウ』と呼ばれるようになったそうだ。


「5つめは、昼めし食ったら歯を磨くこと。
じゃあ戻ろうか」


教えてもらった5つの掟のうち、いまでも2つは守っている。
残り103つは聞きそびれたままだ。