空前のブームに踊る転職マーケット | i6 Consulting Groupのブログ

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“転職大ブーム!崩れる「35歳限界説」” 東洋経済オンライン
“有効求人倍率が22年ぶりの高水準” 日本経済新聞
“人手不足で中小の倒産増” 読売新聞
“IT分野の派遣「月収100万円」でも集まらず” 日本経済新聞

人材不足や転職マーケットに関する刺激的なニュースが、今年に入り急激に増えてきており、目にしない日は無いほど注目度が上がってきております。

 クライアント企業様の採用活動を、アウトソーシングという立場から支援していると、こういった状況は、さらにリアルなものとして体感することができます。

本当に“人”がいない…

ブランドがあり、これまで採用にそこまで苦労してこなかった企業までも、現在は信じられないほどに苦しんでおります。
また、これまで中途採用をほとんど実施していなかった企業が、転職マーケットの活況、選択肢の広がりにより従業員の退職が増加し、中途採用を行わなければ、ビジネスの成長はおろか、継続でさえも難しい状況になってきております。


陥るジレンマ
 業種を超えて人財獲得競争が過熱している現在、採用マーケットは、いわゆるバブル状態になっていると感じられます。

・経験がある候補者へは、現年収の1.2倍から1.5倍の額を出してわずか1週間以内に採用を決めてしまう
・未経験者でさえも、英語力がある、コミュニケーション能力が高い、地頭が良い、等の理由から、他社に取られないためにスキルや経験値のみで判断し、一気に採用オファーを出してしまう

等々、少し前までは考えられないようなスピード感、金銭感覚で、採用活動が行われております。

 「ビジネスオポチュニティーが目の前にあり、人さえいれば案件が獲得できる」「投資決定されたが、人がいないためプロジェクトが始められない」という切迫した状況であるため、やむを得ないことだと思います。
また、落ち着いて見極めたいと考えていても、その隙に他社にオファーを出され、取られてしまう、というリスクも当然起こり得ます。

 タレント人財が欲しい、けれども見極める時間が少ない、仕方ないからひとまず取ってしまおう、という空気感が、現在の採用マーケットにはあるように感じられます。


本当に“売り手市場”なのか??
 今は、求職者有利の売り手市場と言われております。果たして本当にそうなのでしょうか?
私はややこの表現にはやや違和感を覚えます。転職先が豊富にある、これまで考えてもみなかった企業からオファーが出る、という点では確かに求職者にとって有利な状況にあると言えるでしょう。
しかし、先にも述べたスピード重視の採用活動が行われている現在、求職者は本当に自分自身の希望に合った企業を選択することができているのでしょうか。

・スピードオファー = 候補者への誠意なのか
・未経験なのに、即オファーが出たからと言って、自分自身に合っているか分からない企業に入ることが本当に良いことなのか

候補者自身で、明確なキャリアパス、目標を立てており、その達成のために選択しているケースでは問題になりません。むしろ、転職活動を通じ、各企業や人材紹介会社の担当者と話をしながら、相性も含めじっくり決めたいと考えている求職者が大半なのではないでしょうか。

マーケットの活況やその情報が、更なる活況を呼び込み、実態から離れたところで競争が激化している、その流れに求職者は巻き込まれている、私にはそう感じてなりません。
一方で、企業側も実態の見えない流れの中で、その渦に巻き込まれてしまっているのではないでしょうか。


では企業は今何をすべきなのか?
 ではどうすればいい?というご質問も良く頂きます。正直に言って、これが正解という解決策はありません。採用マーケットはビジネス同様、数か月もすると流れが変わり、またテクノロジーの進化により方法も大きく変わります。
 こうした質問に対して、私はいつも「流れを見る(空気を読む)」ことと、「自社の信念を持ち続ける」ことが大切とお伝えしています。
マーケットの流れを無視していては、ただの自己満足の採用活動にしかならず、そっぽを向かれてしまいます。
また、マーケットの変化に着いていくために、打ち出すメッセージがころころと変わっていては、長期的な視点で見たときに、これまで築き上げてきたブランドが崩壊してしまいます。
採用のマーケットは、口コミによる影響をもろに受けるマーケットでもあります。3年前、5年前の書き込みが、今でもその企業の実態として求職者に受け取られてしまうリスクがあります。
 
 今の“バブル”の状態の中で入社を決めた求職者の方々が、1年後にはまた転職マーケットに出始める、と私は考えております。
企業カルチャーとの相性が合わなかったことやスキルアンマッチといったことが、今の採用方法では必ず出てくると感じているからです。
本当に欲しかったけれども、その時点では他社に採用されてしまった、という方を採用するには良いチャンスとも言えます。一度失敗しているため、目先の情報だけで踊らされなくなるからです。
このためには、その当時も今も、同じメッセージ、信念を打ち出していることが重要です。
「改めて考えてみると、その時に言われていたことが正しかった」と感じてもらえれば、無理なアトラクションをせずとも、入社を決めてくれるはずです。
失敗をチャンスに変える、長期的な観点から候補者と関係を築くということも、本当に欲しい人材を獲得するためには重要なことであると考えます。むしろ、これこそが候補者が感じる誠意なのではないでしょうか。


 他社との差別化は、ビジネスモデルは当然のことですが、自社の信念をいかにぶれることなくしっかり伝え続けられるか、という点も採用ブランディングの観点からは非常に重要な事です。

 今の流れに惑わされることなく、長期的な視点を持ちながら、今何をすべきかを考え、クイックに施策を打ち、柔軟に改善し続けることが、企業の採用活動に求められる唯一の解なのではないでしょうか。


筆者プロフィール
i6 Consulting Group RPO責任者 (Recruitment Process Outsourcing)
西野 敏之

日系大手SI、ベンチャー人事部 manager、PwCでの人事コンサルタントを経てi6 Consulting Group入社。人事領域のコンサルティングに10年以上従事、様々な視点から業務を経験しており、現場感を大切にしながら、あるべき論と現実に向き合い、最適解を導きだすことを信条とする。
現在は、RPO部門の責任者として部門を起ち上げ、ソリューション開発や採用コンサルティング、及びアウトソーシングプロジェクトのマネジメントを行っている。