食べながら周りの人たちが話してるのを眺める。
おばあちゃんが結構いてはる。
おばあちゃん達は髪を赤、ピンク、水色、紫、黄緑とそれぞれいろんな色に染めてはる。
日本でも紫とかに染めてはるおばあちゃんを見かけるが、あんなもんじゃない。
日本の紫ばあちゃんは薄い淡い色。
ここの人たちのは濃い紫、濃いピンクって感じで実に濃く染めてはる。
その中の一人ヨーロッパ系の濃い赤ばあちゃんが話しかけてくれた。
「どの国からきたの。」
日本からです。
「日本のどこから?」
○○です。
「○○は知ってるわ。旅行で行ったからね。」
そうなんですか!
僕は嬉しくなって、日本のこの地方に来たら絶対外せない観光地を言ってみた。
「知らない。どこそこ。」
そっか、行ってないのか、次に言ってみる。
「知らない。」
僕の地元は観光地が多いので旅行者が好みそうな場所をどんどん言ってみた。
「どこそこ。」
「知らない。」
旅行で他に行きそうなとこって?
もう、思い付かん。
僕は聞いてみた。
○○のどちらへ?
「△△よ。」
えっ? △△ですか?
「そう。」
ニッコリ赤ばあちゃん。
だって、そこ僕の家のホントすぐ側!
おまけに、観光地でもなんでもない場所。
思いっきりピンポイントの地名を言うおばあちゃん。
□□市××町だとする。
おばあちゃんが言ったのは××町の中にある細かい地名。
それも珍しい地名なので間違いない。
このおばあちゃんの旅行が、どのようなものだったのか知りたかったが、おばあちゃんに話を変えられてしまった。
「あなた、何年くらいここに滞在するの?」
「数年は滞在したいのですが、2週間で帰ります。」
今度はおばあちゃんがビックリしていた。
「来たとこ?帰る前?」
ちょうど、真ん中ですよ。
そうやねん、
次の日曜日には、もうこのおばあちゃんとは会えないのだ。
ホストファミリーとも……。
それを思うと寂しくなった。