農林水産省内で新型コロナウイする感染症の影響による農林漁業者からのヒアリングを行いました。

『生産現場の皆さんの意見を率直に聞きたい』という思いから開かれたテレビ会議です。


会議には政務三役のほか枝元官房長や浅川総括審議官なども出席し、農林漁業者9名の代表者と現状報告や要請、意見交換を行いました。


はじめに江藤大臣から、農林水産分野全般にわたって深刻な需要減少や労働力不足など様々な影響が出ており、国民の食糧の安定供給を確保することが農水省の使命であると承知をしているとともに、感染拡大防止とその後の経済回復を図るために強大な経済対策を策定するよう総理から指示があったので、万全の対策を早急に検討していきたい、と挨拶がありました。





その後各代表者から状況報告がありましたので下記にまとめました。

 

(テレビ会議出席者)

・静岡県温室農業協同組合 鈴木和雄組合長

市況が悪く、メロン単価が2月は前年比で71%、3月は67%に落ち込み生産原価を割っている状況。今まで以上の対応をお願いしたい。

 

・宮崎県和牛一貫農家 興梠哲法氏

枝肉単価の下落で肥育状況が悪化し、子牛価格も下落して繁殖経営も危機的状況。地域によっては65歳以上の高齢者による飼育が多く、先の見えない価格下落は生産基盤崩壊の恐れがあるため、冷蔵・冷凍している在庫の国産牛肉を消費者の求めやすい形で流通してもらいたい。

例えば、ふるさと納税の返礼率やキャッシュレス決済の還元率の引き上げ、家庭内消費を促す取り組み支援、ネット販売の運賃や手数料などの支援をお願いしたい。

 

・全国肉牛事業協同組合 中林正悦副理事長

牛肉需要が減退し流通が滞っていて、これを解消する方法は皆さんに牛肉を食べてもらうしかない。地元食材を使った学校給食の無償化やふるさと納税の活用などで通常価格より安価に消費できる仕組みを作ってもらいたい。

肉用牛経営の負担軽減のために牛丸金の負担金免除など特例的な措置の要請と、感染症発生以来いち早く農業セーフティネット資金の無利子・無担保融資が措置されたが、融資枠の拡大をお願いしたい。

 

・JA伊達市組合 佐藤哲組合長

学校給食の停止による生乳の需給緩和を懸念しており、需給調整のため脱脂粉乳対策を講じてもらいたい。また、酪農経営者で感染者が出た場合に営農が継続できるように生産者団体への指導・助言・酪農ヘルパーの確保マスク・消毒剤などの支援をお願いしたい。

 

・日本花き生産協会 久家源一会長

「花いっぱいプロジェクト」により、各地で花が飾られており、感謝。嗜好品である花は今後の消費減退が懸念されることに伴い、花き農家の今年の収入も激減する見通し。次期作に向けて球根や種苗、生産資材などの経費負担削減の支援をお願いしたい。

《ビクトリーブーケ》をオリンピックで使用いただく予定だったが延期になり、既に準備にあたって経費が掛かっていた。ビクトリーブーケは花き協会が一丸となって無償で提供することで実現したもの。これから1年かけて準備することになり負担が増すので負担増分だけでも国で負担いただけるようオリンピック組織委員会に依頼いただきたい。

 

・さいたま榎本農園 榎本房江氏

都内の飲食店への農産物の納品が9割減少し、野菜や果物は長持ちしないので大きな影響が出ている。納品先がないならどうしていくか考える必要があり、地元の皆さんへ野菜を配分するといった地産地消を進めることが有効である。

 

・有限会社コマツ園芸役員 小松真知子氏
中国人実習生が入国できなくなり、いつ入国できるかも見通しが立たないし、今期の作付けがとれくらい出来るのかもわからない状況。このまま入国できなければ売り上げは30%減少する見込み。何とか人材確保をしたいが、派遣を活用すると時給単価が5割増しになり経済的に不安である。労働力を融通してもらえるような対策をお願いしたい。

 

・株式会社さつまファインウッド 林雅文代表取締役

林業もかなり影響が出ており、木材の需要拡大策(国産需要の喚起や、公共建築物の国産材のさらなる利用拡大の促進)や林業対策として需給バランスを重視した国産材供給体制つくり、金融支援として、林業・木材産業従事者の運転資金の対策、林業・木材産業従事者の雇用助成金の検討、高性能林業機械の返済金の猶予をお願いしたい。

 

・北海道漁連 川崎一好代表理事組合長

この1.2年の不漁に加えて、新型コロナウイルスの影響が何年続くかわからない状況で、漁業に身が入らない思いで過ごしている。ホタテ・ウニ・ナマコなどの単価の高い食材が売れず、単価も下がっている。あきあじ・サンマ・いか漁などが例年のように行えるのかも不安。

入出庫料、保管料、横持ち料などの負担についての支援をお願いしたい。また原料を加工する際の加工料の助成や漁業の収入安定化対策事業の拡充強化、基金の積み増しをお願いしたい。

(発表順)

 

多くの現場の声を聴かせていただき、現状の厳しさを改めて痛感するとともに、ここから更に即効性のある対策を講じていきたいと思います。

農林水産省でも新型コロナウイルス感染症についてさまざまな情報を発信していますのでぜひ参考にしてください。

https://www.maff.go.jp/j/saigai/n_coronavirus/index.html