10月1日の衆議院本会議における所信表明演説の中で、菅総理はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を検討すると明言し、来月横浜でAPECが開催される前に基本方針が決定されることになっています。

 このTPPは物品貿易分野の関税を100%撤廃することを原則としており、現在、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムが参加交渉を重ねていますから、仮に日本がTPPを締結した場合、国内の食料生産が壊滅的な打撃を受けることが容易に想像できます。

 これまで日本は11の国や地域と経済連携協定を締結してきましたが、農業の重要品目については例外なく対象から除外してきましたし、現在、おこなわれているインド、韓国、GCC(湾岸協力理事会)、豪州、ペルーとの交渉においても、重要品目を堅持することが大切です。

 今後10年、15年先には世界的な食料危機がおこり、これまでのように簡単に農水産品の輸入ができなくなることが考えられます。また、食料が国家の戦略物資になることも予見されている中で、決して日本の農業を潰すわけにはいきません。日本は、このような長期的な視点をもってFTA/EPA、農業政策を考えていく必要があります。

2010/10/08