準備書面の傾向と対策
民事訴訟で、原告が最初に提出する主張書面は訴状、それに対して被告が最初に提出する主張書面は答弁書という。
以降、原告と被告が提出する主張書面は、とりあえず全部、「準備書面」という。
原告が、第1準備書面、第2準備書面・・・という冒頭に「第○」というスタイルで準備書面を出していった場合、被告は、準備書面(1)、準備書面(2)・・・とお尻にかっこ書きで番号を打つスタイルにしていくのが、一応不文律であるような、ないような。
私の場合、面倒なので、全部後ろにかっこ書きスタイルにしているが、相手が後ろにかっこ書きスタイルだと、たまに気分で冒頭に第○スタイルにするときもある。
私の場合、準備書面の量は大体A4版で10ページ前後であることが多い。
もちろん、あまり書くことがないときは、2,3ページのときもある。
長いときでも10数ページから20ページくらいで、30ページ以上の準備書面を書いた記憶はない。
昨日から今日にかけては、自分としては長めの20ページの準備書面を書いた(ソフトバンクテレコムの妨害がなければ、もっと早く書けたのだが、ソフトバンクテレコムのせいで思ったより時間がかかってしまった・・・)
最近、弁護士になって5年未満のロースクール世代の弁護士の書いた準備書面に対して認否、反論する事件が複数あるのだが、旧司法試験世代の弁護士が書いた準備書面と比べて、少し特徴がある気がする。
それは、
①・・・無駄に長い、ページは長くなくても冗長
②・・・とりあえず、言えそうな法的主張を総花的に並べるが、要件面、事実認定面の検討が不十分
ということである。
これは、旧司法試験は、2時間で2問を各4ページまで書く試験だったのに対し、新司法試験は、2時間で1問を8ページまで書く試験であることがそれなりに影響している気がする。
つまり、新司法試験の受験生は、1問で時間をかけて、たくさんのことを書かねばならない分、とりあえず言えそうなことを総花的にとりあげる傾向にある。
予備校の上位合格者の優秀答案を読んでも、この部分は明らかに余事記載で大して点につながっていないだろうな、という箇所が結構ある。
実は、試験委員の出題趣旨にきちんと答えていくと、8ページあっても足りないくらいなのだが、実際の試験では出題趣旨に完全には答えられず、半分くらいしか気付かない分、冗長になったり、出題趣旨からは外れる余計な記述が多くなるのだろう。
他方、旧司法試験時代の受験生は、1問あたりに書く分量は長い人で4ページいっぱい、短い人は2ページから3ページ程度だったので、それだけの少ない分量の中で余計なことを書いてしまうと、ダメージが大きく、大事なことを書き落としてしまうという状況だった。
そのため、いくつか思いついた中でも特に大事と思われることを中心に書いていき、余事記載は絶対に避ける傾向にあったと思う。
このことが、実務家になっても、あまり余計なことは書かない傾向につながっているのだろう。
これからロースクール世代の弁護士が少しずつ老成していけば、もう少し突っ込みどころのない準備書面になっていくと思うのだが、そうなる前には、上の世代の弁護士や裁判官が相当苦労しそうな気がする。