日弁連の番犬 | 石橋法律事務所のブログ

日弁連の番犬

東京の霞ヶ関にある弁護士会館には、1階に受付があって、いつも女性の受付が1名か2名おり、玄関ホール内に人が通るたび、



「おはようございます」、「こんにちはー」と元気よく声を掛けてくる。



これはきっと、日弁連の執行部あたりが、「弁護士会館の入口は、市民にとって弁護士会と接する最初の窓口なので、気持ちの良い挨拶をこころがけよう」などと考えてのことだろう。



しかし、私のように、裁判所に行くたび毎週、時には1日に何回も弁護士会館を通過する者にとっては、弁護士会館の1階を通る度に、受付の方に機械的に挨拶されるのは、却って心地悪く感じる。



そのため、事務所から日比谷公園を抜けて裁判所に行く際はいつも、弁護士会館横の脇道(自転車通路)の方を通り抜け、中には入らないことにしている。



ちょうど、家の前を通る度に吠えかかってくる番犬を避けるために、回避ルートを通るときの気持ちに似ているかもしれない。



(挨拶を無条件に必ずしてくれる受付嬢も、言い方を変えれば、『日弁連の忠実な番犬』であるともいえる。まあ、本当の意味で忠実な番犬は、毎月高い会費をせっせと支払っている日弁連の会員かもしれないが。)



さて、私の出身町には、いつも国道沿いの道路の前に置いた切り株に腰を下ろし、日中ずっとひなたぼっこをしているおじいさんがいて、名を石五郎さん、と言った。



小学校の授業を終えて、国道沿いの道路を2キロほど歩いて帰るときなどに、途中にいつも座っていた記憶だ。



どれくらい、いつも座っているのかといえば、



所ジョージの日本全国ダーツの旅にうちの出身町が当たり、テレビリポーターが訪れたときに、一番最初に遭遇した町民がこの石五郎さんであったくらいだ。



このおじいさんも、子どもが国道沿いの道を通るたび、「こんちわ!」とすごい大きい声で挨拶をしてきて、小さな子どもからすると、まるで怒鳴られたかのような錯覚に陥るくらいだった。



そんな石五郎さんが亡くなり、もう何年も、ひょっとすると10年以上たつ。



だが、今でもうちの出身町の国道沿いを通ると、石五郎さんが切り株に腰掛けているような錯覚にとらわれるし、小学生のときくらいの童心に返ったような気持ちになる。