オーダーメイド殺人クラブ (感想) | すきであふれる世界はうつくしい

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すきなものを書いていく。備忘録

 

辻村深月さん著 オーダーメイド殺人クラブを読みました。

 

 

 

 

 

辻村作品はそれなりに読んできた記憶がありますが、私の中で思い描いていた「辻村像」とは少し違った話だったような気がします。

少し前に、著者の『ふちなしのかがみ』を読み切れずに断念してしまいました。怖いのは苦手なのです。

 

この本を買うきっかけとなったのは、もともと本を買いに行く目的ではない本屋で暇つぶしに文庫コーナーを歩き回っていたのがきっかけです。そこでナツイチフェアが開催されているのが目にとまりました。

自分でお金が稼げるようになってからというものの欲望のままに好きなものを買ってしまうのでもう少しお財布のひもを固くしたいなと考えてはいるのですが、辻村さんの本も並んでいて、いつもは見てもタイトルで少し躊躇してしまっていたのですが、裏表紙にある「些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。」という一文に惹かれ、購入しました。

私は柚木麻子さんも好きなのですが、そういう女子の人間関係を醜く、読んでいてつらくなるような小説が好きなんですよね。

 

そして、簡単にあらすじを説明すると今までにない形で殺されたい「少女」クラスでも冴えない昆虫系の「少年」が考える最大の悲劇。殺人計画なんです。

殺人の描写も妙に生々しくぞわっとしたのですが、それ以上に少女「小林アン」でのクラス内女子の関係性がとてもリアルなんです。

アンは3人組で行動しているのですが3人組って怖いなといつもに増して思いました。これには意見様々だと思うんですけれども、「ハブられる怖さ」を経験するとどうしても3人はつらくなりますし、その感情を極めると本当に人が信じられないのとめんどくささが相まって単独行動が好きになりますね(実体験)

でも、思春期真っただ中で、体育のペアがあって、一緒にトイレに行く、着替えに行く、の文化が強く構築されている「中学生」では単独行動は凄く酷なことだと思います。

 

 

この本でに刻みたいワードがあって、

 

 『嫌なことがあったり、自分を不幸だと感じるときほど、世界が美しく見えるのは、何故だろうか。私はこれが、嫌いじゃない。嫌なことは嫌だけど、一人きりの世界にこうやって入ってしまえるのは、その中に立つ自分を想像できるのは、大好きだ。』

 

オーダーメイド殺人クラブ / 辻村深月 P129

 

 

こういう、心に残るセリフが、文章が一冊の中に一つでもあると、読み終えた後の満足感がとてもあるように思います。

私自身も実際、すごく悩んで本当に死にたいと思ったこともありました。今振り返れば『本気』ではなかったのだろうとは思うのですがぼんやりと描いていたのはアンと一緒で「美しい形で死にたい」ということでした。

今は幸い、そこまで死の願望はないのですが日々割としんどいしつらいです。

そんな心情の中この本を読んだのは運命なのかなとも感じました。

あと数冊積読本があるので先に買ったそちらを読んでもよかったのにあえてこれを選択したのは、そのとき何かを感じたのかなと思います。

 

 

 

なかなか本の内容に触れてない気がしますね。やっぱりレビューをかくのは自分には向いていない気がするので、こういう感じで、思ったことをつらつら書き続けられたらいいなと思います。

 

読んでくださってありがとうございました。