ヴァレンティーノ・ロッシが引退してしまった。
彼はこの25年間私のアイドルだったオートバイレーサーで、日本ではあまり馴染みがないかもしれないが世界ではスーパースター。2輪レース界の「生きる伝説」である。
最近だとモンスターエナジーのモンスターロッシが『再販』されたので、コンビニなどで彼のイメージカラーである黄色い缶や「THE DOCTOR」のロゴをご覧になった方も居られるのではないだろうか。
彼の戦績についてはWikiなどにお任せするとして、ここでは私が彼のファンになったきっかけ等々について綴っていきたいと思う。
彼が世界選手権にデビューしたのは今から25年前の1996年、軽量級125cc(GP3と呼称されていた)でのこと。
我が家にとっては第二子である長女が生まれた年だ。
当時のWGPは最高峰の500ccでホンダのミック・ドゥーハンが全盛期の時代。優勝するために「仕事」としてレースに出場しているような彼のスタイルは私にとってはつまらないものに写った。
丁度軽量クラスでは日本人ライダーが一大勢力で青木さん、坂田さんなど年間チャンピオンに輝く方も居られた頃だ。
そういうこともあって軽量クラスを興味を持って観るようになったのだが、その中に出てきたのがヴァレンティーノ・ロッシというイタリアの「小僧」だった。
彼のファンになったのは参戦2年目。
混戦になることの多い軽量級にあって、その年は同クラスの優勝者がヴァレと上田昇さんの二人だけという異常な(?)シーズン。
彼の優勝パフォーマンスや笑顔などでその魅力に取り憑かれてしまった。
以来25年間、ずっと彼を応援し続けてきた。
そうは言ってもずっとテレビ観戦(ほとんどが録画放送)で、彼の走りを実際に目の前で観たのは2002年の鈴鹿サーキットだ。
環境問題などを理由にレギュレーション変更があり、最高峰クラスが2ストローク500ccから4ストローク990ccへの転換期だったのだけど、80年代から観戦してきた私としては「GPの歴史が変わる」瞬間を観たいと思いチケットを取った次第。一番好きだった「シケインスタンド席」は完売していて悔しかったのを思い出す。仕方なく「最終コーナースタンド」を取った。
当日は雨の決勝レースだったが見事に優勝はヴァレンティーノ・ロッシ。オートバイが変わってもその実力は変わらないことを証明した。(私はずぶ濡れ)
その後も幾度となくサーキットへと足を運んだが、私はレースそのものが好きなので、例えばパドックパスを買ってライダーにサインをもらったりということはしたことがない。自分でも不思議といえば不思議だ。
彼の好きなところはレース運びなどは勿論だけど、その長身痩躯で手足首の長いスタイルにもあると思う。
実際にお会いしたフォロワーさんはご存知だが、私自身は平均身長よりも低く頭が大きいチンチクリンなので長身コンプレックみたいのはあると思う(笑)
彼のレースで一番好きなのは09年のカタルーニャGP。
最後の最後までホルヘ・ロレンソとのバトルが続き、最終周の最終コーナー手前でのオーバーテイクには声を上げてしまった。アメイジング!
08年のラグナ・セカも良いんだけど、あのレースは最後にストーナーが降参してしまっているので・・・次点です。
初めて彼のオートバイに跨ったのは03年10月の東京モーターショー。
埼玉出張の帰りに「開催中」の看板を見、なんの躊躇もなく幕張へ向かった。
(お陰で飛行機に乗り遅れることになるのだが)
ホンダブースに展示されていたRC211V。スペック表に”200ps以上”と書かれてて「ウソつけ」と思ったなぁ。←間違ってはないけどそんな程度じゃないだろと
レースの世界に「たられば」はないんだが、2015年は余計なことをしなければチャンピオンを獲れていたんじゃないかと今でも思うことがある。蹴った蹴らないは別にして、レース中にスピードダウンしてまでマルケスに絡むのはおかしいんじゃないの?と当時から思っていた。勝ちたければ相手より速く走れば良いだけの事・・・だ。
その後共通ECUの採用やタイヤがミシュランのワンメイクへ変更になってから、なかなか成績が伸びなくなってきた。
毎度毎度「リアタイヤがスピニングする」と言っていた。
それでもタイミングが合えば黄色いキャップ、Tシャツ、グッズを買ってサーキットへ出向き彼を応援していた。苦しんでいるときこそ応援したい。
そして2021年。
前半の成績で来期どうするか判断するとしていたが、ライブ配信で引退を表明。
私自身、単身赴任になったこともありMotoGPの視聴環境が変わってしまったのだが、MotoGP公式のライブ配信(実況・解説は英語)を観るしか方法がなくなってしまい年間140€は安いものではなかった。が、それでも生配信で彼の引退の決断を聞けたのはそれはそれで良かったのかもしれない。
新型コロナウイルスの蔓延で大規模イベントが規制されるなか、去年今年ともツインリンクもてぎでの日本GPは中止に。
彼のラストシーズンの走りを直に応援出来なかったのは本当に残念だし、心残りだ。
グッズも買ったよな・・・。(ここにあるのが全部ではないw)
真ん中のサインボードは段ボール製でイタリア本国でしか発売されていないもの。
フォロワーさんが輸入されるとのことで二つ返事で「乗っかります!」と。
段ボールに送料含め合計5000円以上かかった()
Tシャツにしても”VR46”と書いてあるだけで1枚8000円以上する。ももクロちゃんのライブTが4000円前後なのを考えると倍以上だ。
ヴァレを応援するにはお布施がたくさんいるのだ。
11/14。
最終レースを生配信で観戦しながらいつも通りフォロワーさんたちとTwitterでやり取りをしていたのだが、とある方のツイートでハッとさせられた。
「彼自身が引退を決められたのは、ファンにとって幸せなことじゃないか」
そうだよな。確かにそうだ。
ホントに涙が出てきた。
2輪レースは危険にさらされることも多い。
レース中、不幸にして亡くなられたライダーを何人も観てきた。
チャンピオン経験者であっても怪我が元で車椅子の生活をされている方もいる。
また、成績が伴わず、シーズン途中でもチームに解雇されることもある。
それを考えるとヴァレにとってもファンにとっても幸せなのだと。
また、彼の話題を中心に多くの方とオフラインも含め、交流できた。
ありがとうヴァレンティーノ。
引退おめでとうヴァレンティーノ。
80年代からレースを観てきたので来年も観るとは思う。
物凄い才能を発揮している若いライダーも居るには居るが、正直な話、どういう視点で観ればいいか分からない。
彼のような「アイドル」といえる存在には恐らくなりえないだろう。
今の私は完全に迷子だ。