◆【目的】
WindowsXPでアイループ式フルメンテナンスを行ったのち、不要データを限りなく削除していき、最終的にDVD1枚(4.7GB)に収まるようなサイズにする。また、CDブート可能なリカバリツールを組み込んで、このDVD1枚でフルメンテナンス後の状態へ即時リカバリが行えるようにする。
こうすることで、これまでのように「リカバリしたら、その後の環境復元が大変だ」という事態を避けることができます。具体的には、リカバリが完了した時点で「XPはSP3、IE7、WMP11がインストールされており、2009年5月5日までのWindowsUpdateが適用され、必要なソフトももれなく搭載し、なおかつ高速化設定まで済んだ状態をDVD1枚で10分程度で復元できてしまう」ことを意味します。これが作れてしまえば、ぶっちゃけメーカーが作成したリカバリディスクは必要無くなります。
【方法】
1.
実験では次のパソコンを使用しています。富士通ノート、OS:WindowsXP Pro、CPU:Celeron_1.06GHz、MEM:512MB、HDD:15GB、光学:DVDマルチ。
2.
WindowsXPでアイループ式フルメンテナンスを行うと、この時点で約6GBのデータ量となってしまう。これでは一般的なDVD1枚(片面一層4.7GB)に収まらない。また、当店で販売している中古パソコンはリカバリディスクが付属していないものが多いため、アイループ独自のリカバリディスクを作成できると競争力が飛躍的に向上する。ひとまずOSをインストール後、フルメンテナンスを行いました。
3.
C:\Windowsフォルダ内で、特にWindowsUpdateにてダウンロードした一時的なファイル群を中心に削除していき、これらを削除して本当に問題ないかどうか、いろいろな使用環境にて運用テストを行います。ちなみに「Adobe Reader」のデータ量があまりにも大きかった(250MB程度)ので、これを削除して、代わりに「Foxit PDF Reader」を採用しました。
4.
運用テストで問題ないと判断できた場合、これらをCDブートのリカバリツール(Paragon Drive Backup)と共にDVD1枚のサイズに集約し、リカバリ用データを作成しました。このリカバリ用データを含めて、リカバリツールをDVDに焼きました。
5.
フルメンテナンスを行った富士通パソコンのハードディスクを取り出して新品ハードディスクに換装し、上で作成しておいたリカバリDVDからリカバリを実行しました。また、リカバリ後に通常使用して問題ないかどうかのチェックをしました。
◆【結果】
実際にリカバリが完了し、リカバリディスクおよびリカバリ後のOSが正常動作をすることを確認しました。この実験の目的はほぼ達成されました。このリカバリDVDのデータ量は、リカバリツール類が【50MB】、リカバリ用データが【2.66GB】、合計で【2.71GB】となりました。
リカバリ後のハードディスク(Cドライブ)のデータ量は約3.0GBとなり、フルメンテナンス後の状態をほぼそのまま復元していました。
◆【考察】
- - - 実験はおおむね成功しましたが、仕様としていくつかの問題点を抱えています。
問題点1.
新品ハードディスクもしくはデータ完全消去済みのハードディスクに換装した場合、リカバリ時にシステムパーティション(Cドライブ)以外を作成できない。これはつまり、リカバリ後のハードディスク内にパーティションを設定していないフリースペースがある場合、リカバリ後にそれらをDドライブとしてフォーマットするなど、リカバリ後のパーティション作成操作を若干必要とする場合がある点です。今回は40GBのハードディスクのうち30GBをCドライブとして設定したため、残りの10GBはリカバリ後にWindows上からDドライブとして設定する必要がありました。
問題点2.
リカバリディスク作成時に使ったハードディスク内に不良セクタ(クラスタ?)等があり、それらの位置が記録されている場合、リカバリ後のハードディスクに誤った不良セクタ情報がコピーされてしまいます。それらを修正するためには、リカバリ後にチェックディスクを行わなければいけません。
- - - また、今回の実験でいくつかの失敗点がありました。
失敗1.
隠しファイルと保護されたシステムファイルを表示する設定にした状態でバックアップを行ってしまったため、リカバリ後に隠しファイル等が表示されてしまった。これらの問題が起こらないように、バックアップ前に入念な設定チェックが必要と思われます。
失敗2.
不要データ削減のためにAdobe Reader(約250MB)を削除しましたが、今回作成したリカバリDVDには予想以上(2GB弱)の空き容量ができたため、Adobe Readerを含むその他のソフト類をもっと詰め込んでもよかったと思われます。
- - - 最後に、これが今後のビジネスでどう役に立つかについて。
この実験が成功した事で、アイループの技術力はさらに向上しました。普段のメンテナンスで削減できるデータ量が大幅に増えました。ただし、1台1台の商品について独自リカバリディスクを作成するとなると、さすがに費用対効果が合いません。従って、今後もこれまで通り「リカバリディスク無し」での販売となります。当然ですが追加でいくらかのお小遣いを頂けるのなら、リカバリディスクを作ることは可能です。
それ以外の脳内妄想としては、ハードディスク内にリカバリ領域を作成する事も可能ではないか、と思っています。今回作成したリカバリディスクと同じものをハードディスク内に入れ、それだけが入ったパーティションを作成します。パソコン起動時にWindowsのOS選択画面からリカバリツールを起動し、そこからリカバリが行えるようになれば、現在主流となっているハードディスクリカバリができるようになるのではないでしょうか?時間と意欲があればいつか実験してみたいと感じました。