すでに予約困難。移転後も東京フレンチ最先端を走る「フロリレージュ」にて。 | 里井真由美オフィシャルブログ Powered by Ameba

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フードジャーナリスト。テレビや雑誌、webで活躍中。全国47都道府県、世界20ヶ国以上を着物で食べ歩きグルメ誌に連載中。日本の食文化に精通し、農林水産省 食料・農業・農村政策審議会委員に任命される。


「ー。」 無言。

店内に入った瞬間 ストンッと恋に落ちたかのような感覚。
息が一瞬止まったかのようで、慌てて呼吸した。そんな感じ。


キッチンは全て開放。
コの字型でゆったり16席でシェフを囲む雰囲気。

その姿はまるで劇場のようでもあり、NYスタイルをも思わせます。

一方で、カウンター(レストラン)の原点とも言える和食の雰囲気すら感じる空間…。

でもそれもお料理を食べた後では
「もっと深い意味で劇場だった」と思わざるを得ません。

新生 フロリレージュ。
今再び、日本のフレンチ界の最先端トレンドを走り出した店だと思います。




陽が明るく入る空気感。
砂色のテーブル、シルバーと木が程よくミックスされた内装は、丁度良いナチュラルモダンで居心地が良い。

以前はクローズで窓すら無い空間での営業でした。
決して広くもない店内、駅からは便利とは言えない距離。
それでも「予約困難のフレンチ」として知られてきた「フロリレージュ」。
川手シェフのお料理とスタッフのおもてなしの力だったのでしょう。

そして、今。
この素晴らしいステージで繰り広げられるお料理は、1枚のカードから始まります。


テーマと素材だけが記されたカード



このカードは、、「謎かけ」。


結論的な考えを先に書くと、
これだけキッチンを開放し
全ての作業や様子が見えるのに、
最後まで「ワクワク」「何だろう」と想像し、
「そうなのか」と感動に到る。

そんな「劇場感」は、最初の「謎かけ」とでも言うべき、カードの存在が大きいと思う訳です。




最初の一品

「投影~ ハコベ 人参芋」

大自然に引き寄せられます。
「香り」の活かされ方が半端無いです。


香りって、口の中でとろけて
鼻孔をくすぐる時に一番感じます。

ハコベの苦みと、人参芋の甘みと土の香り。
木の台の香りが少し反映もされて。

山菜や原始的な野菜を頂くと、
自分の幼少期を思い出します。

田舎育ち、ということもあるけれど
野菜の強さに導かれ、素材の「ルーツ」とリンクするのかもしれません。


川手シェフが仰る「投影」とは、
「より素材を反映させた」という所からのテーマだと思いますが、
自分のルーツまで いってしまったという…。


お料理は続きます。
「これは手渡しで。」と、川手シェフ。

「繋がり~ 烏賊、春菊」


確かに烏賊とイカスミと春菊で
おいしさが繋がれているけど、

「手包み」で「手渡し」される意味を改めて強く感じます。



「記憶 鱒 」 

釣れた鱒をイメージ。


「分かち合う 緑苺」 

お肉は「佐賀産 酵素豚」
今日のお客様全員で「分かち合って」頂くから。

で、緑苺は?と思うと、

サーブされた時に、いました!

つまり、今後もメインディッシュは「分かち合う」テーマの元に色んな素材が出され、
都度、その名傍役がカードに記されるのだ、と気づきます。

ちなみに、この緑苺は独特の酸味で、ポークの甘みと本当に合っていました。


このあと、デセールが登場しますが、
全ての謎かけがバレては、申し訳ないので控えます。


フロリレージュ
http://www.aoyama-florilege.jp/

2月中旬で以前のお店は閉店され、
3/19より、新地にて営業再開されています。

このランチで、色んな自分にも気づけました。
謎をかけられ、それをひも解く事が好きなんだ、とか。
私にとっては、それが料理を食べる醍醐味や楽しさに繋がっている、とか。

今度はディナーで伺おうと思います。