2020年の東京オリンピックが決まる、ずっと前。
まだ結婚もしていない、学校にも通っていない頃
お盆とお正月に母の実家へ遊びに行くことが、スペシャルな出来事だった。
なぜなら、楽しいことがいっぱいあるから!
古い日本家屋で土間や客間があり、ほんのりビャクダンのお線香の香り
盆栽に大きな石、竹垣や生け垣、井戸水に釜
おばあちゃんやいとこの家族に正座して御挨拶
「おいでやす」とか「ごぶさたしてました」とか言ってお辞儀しあう。
大きな仏間に通されてご先祖様にご挨拶して、
すぐに目の前にあった神社の境内に遊びに出る。
お寺の番場に行って地獄絵をみたり、日曜学校の話を聞いたり
神社のお祭りでお母さんやおばさんたちが主役に選ばれた話とか
いろんなエピソードをたくさん聞いた
夜はみんなで大宴会。
大きな丸い大人テーブルと子供テーブルに分かれて
大量のお料理がふるまわれ、そのどれもがとってもおいしかった。
大人のテーブルに乗っているお料理から、和食の味付けを知ったり
学校や幼稚園の事、大きなお姉さんの大学や高校の話
お仕事や夢の話 さっきやったくじ引きの話
庭師だったおじいちゃんが残した色々な庭道具や昔話を聞いたり・・・
お料理が盛り付けてある器も、自分の家の物とは違って
とってもきれいな模様が書いてあったり、大きかったり
とても魅力的だった。
使い終わった大量の食器はいつも大切にしまわれていた。
ふと見上げると大きな神棚があって
いつも濃い緑色の榊やお供え物が供えてあった。
喧嘩をしたときは縁側でおばあちゃんが慰めてくれる。
トイレがちょっと怖かったりする。
お墓参りに行けば、山の麓から高台の方にまで上がって
ほかのお墓と違った形の
ちょっとかっこいい石のお墓に水をかけてお参りする
帰ってきたら井戸水にスイカが冷やしてあったり
家の横に流れる川にいる鯉を追っかけたり
年末には餅つきを手伝った
親戚中に配る大量のお持ち
形を作るのにとっても苦労する。
掘りごたつでぎゅうぎゅうになりながら、みかんを食べてお茶飲んで
火鉢の様子をみたり、
年が明けたら豪勢な食べきれないほどのおせち料理を食べる
お年玉もらったり、花札したり百人一首の記憶合戦をしたり
カルタにファミコン、ゲームし放題!
帰りはみんなに見送られて名残惜しく手を振って振ってその場を去る。
本当にたのしかった。
それらが、すべて、私がであった最高のおもてなしだった。
だから、日本の文化が大好きだ。
これらが感じられるものが大好きだ。
大人になって、それらのかけらに少しづつ出会う。
「あ、おばあちゃんちに飾ってあった コケ玉だ とか、
盆栽ブームの番組をみて、思う。
デパ地下で見つけた煮つけのお惣菜を見て
そういえば、鯉の甘露煮って、卵がおいしいんだよなー、とか思う。
結婚式に出るときに、お母さんの着付けの手伝いを思い出して
そろそろ年頃かと和服を着たり。
なので、もっぱら私の憧れの基準は、「和風」なのだ。
いまでも大勢の人を家に呼んで宴会をするのが、
素敵なことだと思っている。
おばあちゃんの家でやっていたみたいに まだできないけど。
子供を連れて、公園や神社、お寺、山のぼりによく行った。
レジャーランドに数えるほどしか行かなかったので、
数年前に初めてディズニーランドに行った。
私も子供も、そこまで楽しいと思えなくてちょっと残念だった。
私が子供の世代に伝えたい、伝統や文化、おもてなしの心を
ここで少しでもつたえて、残していけたらいいなと思って書きます。
いつか自分の子供が見て、そうだったのかと思ってもらえるように。
だから、ちゃんと現場で聞いた本当の声と事実に基づいた内容を書きます。
日本の心は○○だ!
なんて、限定する書き方もしません。
いろんな形があることを、私も知っています。
願うところは、興味を持った日本の文化や色んな事について
本当の心や知恵、知識が実はこんなことだったんだよ
っていうところを知ってもらえたら、わかってもらえたら
だから、日本のおもてなしって 最高なんだよね
と言える根拠の一つにしてもらえたらと思っています。
現場の方を大切に、
ここを見てくださった方に心を込めて届けたい……
私の目から見た、最高のおもてなしをここに書いていきます。
どうぞお楽しみくださいませ。
田上