彼女の旦那さんは
早く事実が知りたかったのか
データの受け渡しの日程は
あの電話からすぐ後のことでした
あの電話の後、
旦那さんがクールダウンしたであろう頃合いに
向井さんが何度か
郵送での取引きを希望しましたが
全て拒否
受け渡しの場所は
あさみさんの旦那さんが指定してきました。
あの日の電話以来、
あさみさんからのラインや電話はなく
あちらの状況がどうなっているのか
知ることができませんでした
ですが話し合いの前日、
あさみさんの旦那さんから
向井さんに連絡がきました
彼女旦那
『リオという男の居場所わかりますか？』
いや、居場所は
オレにはわかりません。
※家は知っていますが
どこにいるかはわからないから
そう答えたようです
彼女旦那
『そうですか…』
どうしたんですか？
彼女旦那
『妻が昨日から帰って来ていなくて』
ケータイに電話してみてはいかがですか？
彼女旦那
『妻のケータイはあの日以来俺が預かっていて…』
お子さんは？
彼女旦那
『多分子どもも連れてるはずです、
保育園にも行っていないみたいで…』
子どもを連れて
リオのところに逃げたのかもしれない
私も向井さんもそう考えましたし、
リオの居場所を知りたがるということは
彼女の旦那さんもそう考えたのでしょう
あの電話の後、
あさみさんとは話し合えましたか？
彼女旦那
『いいえ、ずっと
「不倫なんてしていない」の一点張りで…』
あさみさんのケータイをお持ちなんですよね？
誰かから連絡きたりしていないんですか？
旦那さんにバレたと何も知らないリオから
連絡がくるはず
彼女旦那
『それが…
リオって男から必ず連絡がくると思って
取り上げたんてすが…
一度も男からの連絡はなかったんです、』
そうですか…
彼女は、何か他の方法で
リオに連絡したのではないかと考えました
明日の受け渡しはキャンセルしますか？
あさみさんがいなくては元も子もないでしょう？
彼女旦那
『いいえ、
予定通りお願いします。』
できるなら事実は
あさみさんと一緒に聞くべきだと思うのですが…
彼女旦那
『子どもを連れて家を出たということは
それなりの覚悟があってのことでしょう？
あっちがそのつもりなら、
こっちもできるだけ有利になるように
証拠集めをしたいんです。』
離婚を考えているということですか？
彼女旦那
『今の感情ならそうなりますね。
あっちが悪いんだから子どもの親権は
俺が取るつもりです。』
彼女の旦那さんは
不倫には気づいていますが、
子どもが、自分の子どもではないことまでは
まだ知らないようでした。
ボイスレコーダーのデータを渡すということは
不倫の事実か明らかになると同時に
自分の子どもではないという事実も知るということ。
なんとも言えない気持ちになりました。
では明日、
予定通りということで宜しいんですね？
彼女旦那
『はい、宜しくお願いします。』
後は
次の日のデータの受け渡しの時を待つだけでした、
ですが受け渡しの前日である
その日…
今度は元夫から
向井さんに連絡が来たのです