彼に嘘をついた罪悪感と
予定日をすぎても来ない不安感を拭いたい一心で

私はきちんと検査することにしました。




二度目の検査は落ち着いた気持ちでした。




もうすぐ2024年に変わろうとしている時でした。



子どものたちも寝ていて、起きているのは
私一人だけでした。

こんなに寂しい年越しは
今までにありませんでした。



検査薬の準備をして
検査をしました。


「きっと陰性」
「陽性だったら…」


最後まで頭の中で考えていました。



検査薬をすぐに見ることはできませんでした。

どう足掻いても
結果はもう出ているのに。



「2024年に変わったら確認しよう」



一人で
この一年を振り返りました。


私の中ではやっぱり
父の死が一番大きな出来事でした。


この一年の半分以上を
父のために費やしてきました。


元旦の入院から始まり
一年が終わるこの日まで

一日たりとも
父を想わない日はありませんでした。


だから、この年の最後は
家族みんなの事を想い
年をまたぎました。



2024年に年が変わり、
私は気持ちを入れ替えました。


トイレに置いてある検査薬を
確認しに行きました。



何度も何度も深呼吸しました。











検査薬を確認すると
すぐに赤い線が2本見えました。



一瞬にして
頭の中で「陽性」の文字が浮かび上がり、

手は震え
心臓はバクバクでした。



生理予定日になってもない時点で
「もしかしたら…」
の方が大きかったかもしれません。


ある程度の覚悟を持って
検査をしましたが
すぐに受け入れることはできませんでした。



「これは夢なんじゃないか」
「検査薬が不良品なのではないか」


使い慣れた検査薬なのに
説明書を何度も確認したりもしました。



「薬も飲んだのに」



だけど何度確認しても
検査薬は陽性でした。




「薬のせいで陽性なんじゃないか」




わけのわからない、なんの根拠もない
勝手な憶測をも立ててしまうぐらい



この時の私は、
動揺を隠せませんでした。