涙を我慢し、必死に笑おうとする彼の姿に対し
私は心の中で何度も謝りました。




最後に聞いて?
聞いてくれるだけでいいから。




彼はそう言うと、
私の手を握り、話し出しました。




…うん…、



酷い事をしてごめん…
謝って済まされることではないって
わかってるど、、本当にごめん。




彼は深々と頭を下げながら謝ってきました。




きっとずっと苦しい思いしてたやんな…?
まなつちゃんの性格を
一番わかってるって言ってたオレが
まなつちゃんを苦しめる行動をしてしまった、、



苦しめたのは私も一緒でした。
たくさん苦しめた挙げ句、
最後の最後に最低な形で彼を裏切りました。




まなつちゃんは、
すぐに自分のせいにしちゃうから言っておくけど、
全部オレが悪い、まなつちゃんは何も悪くない。

だって、最初から今まで、いい意味で
まなつちゃんは何も変わってないから。

変わってしまったのはオレやったんやと思う。



向井さんが悪いとかじゃないよ、、
私だってブレブレやったやん…



オレたちが出会った時のこと覚えてる?



…うん、覚えてるよ、



オレがまなつちゃんと出会った時には
まなつちゃんの傍には
すでにリオさんがいたやん?




うん、




オレは最初から勝目なんてなかった、



うん…



まなつちゃんとリオさんが結婚するって聞いた時、
正直辛かったけど、
まなつちゃんが幸せならそれでいいと思ってた。



うん、



だけど、それでいいと思ってたのに
リオさんとの子どもが生まれて
どんどん幸せになる姿を見て辛くなった。

そしていつしか、
幸せを願えなくなった…
そんな最低な自分に嫌気が差した、、

だから2人から離れて、
オレも結婚して違う道を選んだ。



…うん……、




だけどリオさんと色々あって離婚して
オレもオレで色々あって離婚して…

オレにもやっとチャンスがきた。



…うん、




今までリオさんの隣で笑ってたまなつちゃんが
オレの隣で笑ってくれるようになった。



うん、



最初はそれだけでいいって思った、
ただ傍にいてくれるだけでいいって。



うん…



だけどいつの間にかオレは
どんどん欲深くなっていってしまった。



……、



そんなオレの勝手な感情に巻き込ませてごめん。

こんな終わり方になってしまったのも
全部オレのせいやから…最後は潔くさよならする、

でも、もし、
まなつちゃんがどうにもならない時や
何か困った時に、オレの顔が浮かんだら
その時は迷わず連絡して?

オレからは絶対に連絡しないから。



………、



荷物はできるだけ早く出すから。
今日はもう帰るね、、






結局私は
最後まで何も言えませんでした。

思っていることや伝えたいこともあったのに、
逃げる道を選んでしまいました。


振り回して苦しめたのは私なのに。




彼が家を出て行った後、
罪悪感で涙が止まりませんでした。


別れることを選んだのは私で

泣く資格なんてないと
何度も自分に言い聞かせました。


別れるからといって、
嘘をついた自分がどうしても許せませんでした。




「本当に陰性だったら
罪悪感なんて抱かなくて済むのかも…」

「嘘が真実になるだけ」


こんな事を考える自分がどこまでも自分本位で
最低な人間だと思いました。


だけど、

罪悪感から解放されたくて、

生理が来ない不安も拭いたくて、






私はもう一つの検査薬を準備し、
検査することにしました。