大晦日の日の夜になり
彼は家に来ました。


何も知らない子どもたちは
いつものように彼と接していました。

彼もまた、いつものように
子どもたちの遊びに付き合っていました。


「一緒にカウントダウンする」と言っていた
子どもたちでしたが
気づくといつの間にか眠ってしまいました。



いよいよその時が迫っていました。




検査薬ある?
オレも一応用意してるけど…



あるから大丈夫。



検査できそう?



うん…、





本当は逃げ出したいぐらい不安でした。





まなつちゃんのタイミングに任せるから。


うん…




早くしなきゃとわかっているのに
なかなか行動に移せませんでした。


すると私の重い雰囲気を察してか
彼は別の話をしてきました。




明日の予定は?




多分…みんなで実家に行くと思う。



そっか…
息子くんは?



帰ってくると思う。



その時にリオさんと話し合うん?




彼にはまだ話していませんでしたが、
彼には息子との電話の内容が聞こえていたので
知っていたのだと思います。




息子がね、また合宿があるらしくて、
1月3日から7日まで。



忙しいね…



うん、、



合宿に行く前に話し合う感じ?



そういうことになってる、、




元夫との話し合いの日程は
息子のスケジュールで
決めることになっていました。


合宿から帰ってきた翌日も
続けて試合があり、試合が終われば
学校の始業式が始まってしまいます。




話し合えるタイミングが
明日か明後日しかないから
どっちかになると思う。


そっか…、




彼は何かを考えているようでした。


ですが、そんな話しより
私は今からする検査のことばかり考えていました。


するとしばらく黙っていた彼が言いました。





もし、
検査薬が陽性やったら、
その話し合い、オレも加わる。



え?



関係ないなんて言わせない。




私に対して言っているのか
元夫に対して言っているのかわかりませんでした。




彼のこの発言で
何かわからない重圧を感じてしまい
追い込まれているような気がして、
ますます検査がやりにくくなってしまいました。




そろそろ検査できそう?



うん…
お手洗い行ってくる、、




本当は全然、
検査ができるメンタルではありませんでしたが

私は彼の前で検査薬の準備をして
トイレへと入りました。



いざ検査薬を手にすると
手が震えてしまいました。


何度もやろうと思いましたが
私は結局、怖くてできませんでした。




だけど、彼が結果を待っていました。




追い込まれてどうしようもなくなった私は

「どうせ別れるんだから」
「嘘でもいいんじゃないか」

そんな思いが出てきてしまいました。



その結果、
私は最低な事をしてしまいました。