審判が試合を中断しました。
息子はフィールドで転倒したまま
うずくまっていました。
一瞬にして
去年の試合中に負傷し、
救急搬送された時の記憶が蘇ってきました
私は慌てて応援席から
息子のチームのベンチ裏へと向かいました。
それと同時に、
息子が担架に乗せられ運ばれていました。
息子の状態が気になり
固唾をのんで様子を見守りました。
すぐに、ネット越しに
息子が自力で動く姿が見えました。
「良かった…」
ホッと胸をなでおろした瞬間でした
息子…大丈夫かな…
真後ろから元夫の声が聞こえ
思わず振り返りました。
元夫は不安そうな顔で
息子の様子を伺っていました。
大丈夫なはず、、
接触しない約束のことなど
この時は考えられませんでした。
不安や動揺している時って
余計なことは考えられないんだと思います。
転倒した時、明らかに頭打ってたやんな？
打ってた、
対戦チーム、プレーが荒すぎるな、
レフェリーが止めないからね、
息子、病院行った方が良くない？
今はコーチからの指示を待とう。
心配でたまらんな、、
大丈夫、息子はそんな弱くないよ、
こんな状況、今までに何度もあったから。
何度も……
その度にこんな不安な思いしてたんやな…
大丈夫と自分に言い聞かせていましたが
本当は不安でたまりませんでした。
何度経験しても
息子がこんなことになることには
慣れることはありません。
そんなやり取りをしていると、
コーチが私に気づき
私の元へ急いでやってきました。
コーチ
『お母さん、申し訳ありません、』
いえ、こちらこそ度々すみません、
息子は大丈夫なのでしょうか？
コーチ
『息子さん、意識はありますが、
転倒の際、頭部を強打しているので、
念の為病院で診察を受けさせようと思います。』
はい、そうして頂きたいです。
コーチ
『ですが、本人が
「大丈夫だから病院には行きたくない」って…
大事な試合やから出たいと聞かなくて…』
息子はいつもそうです。
これにはいつも困っていました。
責任感や勝ちたいという気持ちが人一倍強い。
それは良いことなのですが、
取り返しのつかない事態になった時、
本人はもちろんのこと、
周りに余計な迷惑をかけることにもなることを
息子はわかってくれません。
息子と話して説得したいので、
ベンチに入っても良いですか？
コーチ
『はい、むしろお願いしたいです。』
コーチとそんなやり取りをしている時でした。
オレが行ってもいい？
息子がちゃんと納得できるように
説得したいから。
私では役不足だとでも言いたいのか。
私だけで十分。
お願い、頼む、、
一刻も争う状況に
揉めている場合ではありませんでした。
じゃあ、行ってきて。
私ここで待ってる。
元夫が息子の元へと向かいました。