三女と会いたいというのは
ほぼ口実だとわかっていました。

リオの考えていることは
今までの出来事からしても
もう予想がついていたので

私はここから
自分の本当の気持ちを話すことを前提に、
話しを進めることにしました。




責めたりしないから、
本当の気持ちを話してよ。
見栄とか、プライドとか全部捨てて
リオの本当の気持ちで話してほしい。
じゃなきゃ意味がないねんって。


本当の気持ち話してるって。


そうやね。
「三女と会いたい」
それも本当の気持ちやんね。
でも本当にただそれだけ?


………。


わかった。
じゃあ、三女と会うときは
私のお母さんに付き添ってもらうよ。
これで、三女と会えるからいいよね?


………。


弁護士さん、制約事項に
その項目、追加しててください。



私弁:
わかりました。



…ちょっと待ってや。


何?


ホンマに責めたりせーへん?


しないって言ってるやん?


じゃあ、本心話す。



リオの表情を見て
何かを覚悟したように見えました。



話していいよ。


うん…。三女と会いたいのは本当の気持ち。
だけど、オレはやっぱりまなつとも会いたい。
それは、よりを戻したいとかそんなんじゃなく
前みたいにみんなで笑い合って話がしたい。

自分のせいでこうなってるってわかってる、
後悔もしてる、
今更なんやねんって自分でも思う。

だけどどうしてもあの時が忘れられんくて
まなつに嫌われたくない、
子どもたちに嫌われたくないって勝手に焦って、
焦れば焦るほど
自分の感情がコントロールできんくて…



リオは泣きながら震えていました。
これが本心なんだと、私にはわかりました。

だけど、やっぱり
リオのした事をなかった事にはできないのです。



話してくれてありがとう。
リオも、一生懸命本心を話してくれたから
私も自分の気持ち、話していい?


…うん。


リオの気持ちはわかった。
自責の念に駆られて苦しんでるのもわかった。

前までの私なら、
「一番苦しんだのは私と子ども達だよ!」
って怒鳴ってたと思う。

だけど今は違う。

「リオも頑張って変わろうとしてるんだなー」とか
「リオもリオなりに苦しみがあったんだなー」って

冷静に受け入れることができる。

それはなんでだと思う?


………。


私にとってリオは
いなくても大丈夫な存在になったからだよ。

正直、私、
リオと離婚してからも
リオの事を嫌いにはなれなかった。

女関係の事を知ったときも、
まだ心の何処かでリオの事が好きな自分がいて
怒る理由は嫉妬心があったからだと思う。

もっと正直に話したら
リオに酷い事をされてもそれでも心の奥底には
リオの事が好きだっていう気持ちがあったと思う。

だから私自身も吹っ切れない部分があって、
だからこそ付け込む隙を
リオに与えてしまったんだと思う。


…うぅっ…


でも今は違う。
リオが逮捕されて、私も目が覚めた。

リオに対しての気持ちもなくなった。
「嫌い」とかそんな話しではなくて
「嫌い」って気持ちさえもなくなった。

それに気づいてから私自身が
やっとリオへの気持ちが吹っ切れたんだと思う。

私も頑張って気持ち切り替えてきたんだよ。
リオもいつまでも囚われないでよ。

もう元には戻れないんだよ。

後悔してるなら
私は何にもいらないから、
しっかり自分の人生にけじめつけてよ。

もう私の気持ちも元には戻らないよ。



ごめん……、、
本当にごめん…。




リオはずっと泣いていました。



リオのことをずっと吹っ切れずにいた



信じられないですよね。

あんなに酷い事をされても
私自身が吹っ切れていなかったなんて。


現実と気持ちがあまりにも違って追いつかず
本当の気持ちをなかったことにしてきたのは
私も同じでした。

リオの事が好き

気持ち悪くてそれを認めたくなくて
ずっと目を背けてきました。

だけど、それを抑圧せず
一旦自分で受け入れて、認めたことで
私は気持ちの整理がつきました。

きっとリオも
全てを否めず自分の悪いところを受け入れ
認めることで


これまでよりは、
まだ良い方向に変わると信じて
リオと向き合い、話しをしたのです。