こんにちは!
広報のけったーです。
aichikaraの学生スタッフが子ども食堂「いただきまんぷく食堂」をスタートさせたのが、昨年の6月。気がつけば先日2月の開催で7回目となりました。
そんな いただきまんぷく食堂の中心となって活動してきた すぽせん と くまもん の2名が、先日開催された名古屋市社会福祉協議会主催の「子ども食堂フォーラム」で、実践事例報告を行いました。
今回は、登壇した学生2名の事例報告の様子をお届けします!
今年の子ども食堂フォーラムでは、基調講演に東京都大田区で活動されている 気まぐれ八百屋だんだん子ども食堂 店主の近藤博子さん、事例報告として あじまわいわい食堂、さばんなかふぇ、そしてaichikaraのいただきまんぷく食堂と、名古屋市内で実践している3団体の報告がありました。
いただきまんぷく食堂の報告では、最初に活動概要を紹介しました。そこからまず すぽせん が伝えたのは、始めるに至ったきっかけでした。
「私がいただきまんぷく食堂を始めようと思ったきっかけは、大学1年生の夏に参加したaichikara主催の子どもリフレッシュキャンプでした。
このキャンプは、2011年の東日本大震災で被災した福島の子ども達の支援から始まりました。初めて参加した夏のキャンプで、子どもと触れ合い、子どもが笑顔でいられる環境の素晴らしさを知りました。
私自身、小学生のころに母を亡くし寂しい思いをしたので、今住んでいる愛知県にもそういう思いをしている子どもがいるのではないかと思いました。
また、私の父のように片親で仕事と育児に追われている方、私のおばあちゃんのように1人で家で退屈にしている方がいるかもしれないと思いました。
だから、私は愛知で、なにか大変な思いをしている1人ひとりが気軽に行ける場所を作りたいと思いました。」
始める前はもちろん、実際に活動をスタートさせてからも「学生だから足りないものがたくさんあった」と言います。
特徴的なのは、「メンバーの中に地元(開催場所の松原地区)出身者がいないため、地域の縁、人のつながり、資金、知識、コネ、ノウハウ、全て持っていない」状況だったこと。
最初はaichikaraのあり合わせの備品を使い、事務所から近い場所を選んでスタートしましたが、ノウハウに関しても様々な子ども食堂や子育てサロンを見学させていただいたり、aichikaraの社会人メンバーと一緒に考えたりと、少しずつ自分達なりのやり方を見つけていきました。
手探りながらもなんとか最初の開催にこぎつけた昨年の6月。「初めての開催の時は、1人も来てくれないのではないかという不安と、それによって一緒に活動しているメンバーががっかりしてしまうのではないかという不安が大きかった」と、当時の胸のうちを吐露しつつも、「当日は約40人の方が足を運んでくださいました。たくさんの人に来ていただき、スタッフと子ども達が遊んでいる光景をみて、本当に開催してよかったと思った」と、第1回目の開催を振り返りました。
そんな不安を解消するためにも、毎回の活動終了後に行うスタッフミーティングでは1人ひとりがそれぞれの視点で気づいたことや感じたことを出し合って改善しています。
ミーティングの中では「一度来てくれた子ども達にまた来てもらえるように、楽しいと感じてもらうためにはどうすればいいのか」ということが、よく話し合われていると言います。
「学生だからこそ築ける子どもとの距離感や関係がある」と発表したのはくまもん。
「開催当初は、塗り絵や折り紙を机に置き、子ども達と一緒に遊ぶだけでしたが、今ではハロウィンやクリスマスで仮装をしたりゲームコーナーを用意したりしています。
このような企画をするときに意識していることは、子ども達に楽しんでもらうことはもちろんですが、周りにいる保護者の方、地域の方、スタッフも楽しんで笑顔になれる企画を行うということです。
これは、子ども達も周りにいる人が楽しんでいないと心から楽しむことができないと思うからです。そのため、その雰囲気作りを大切にしていきたいと思います。また、そのためにスタッフ自身もワクワクして子ども食堂を楽しんでいます。」
「いただきまんぷく食堂の工夫点としては、子ども達だけではなく、保護者の方、高齢者の方々との関わり方です。高齢者の方々には、スタッフが一緒にご飯を食べてコミュニケーションを取っています。お母さん同士がお話をできるようにスタッフが子どもの面倒をみているようにしています。」
いつのまにかリピーターも増え、松原地区にも少しずつ定着し始めたいただきまんぷく食堂。「これからはよりよい子ども食堂になるよう、来て頂いた方々の生の声を聞き、料理についてだけでなくどんな環境が良いのかを知りたい」と、次のステップを見据えているすぽせんですが、同時に「学生は入れ替わりがあることが最大の弱み」とも口にしました。
「私自身も、管理栄養士を目指すものとして自分の進路に向き合わなければならない時期です。つまり今は世代交代の時期です。」と、自らが中心になって活動してきた いただきまんぷく食堂を次の後輩達に託していくことを、報告の中でも伝えていました。
そして、バトンを託されたくまもんからは、いただきまんぷく食堂が迎えている局面と今後の展開が「自立」という言葉を使いながら報告されました。
「今まで軌道に乗るまでサポートしていただいたaichikaraとの関係を変え、来年度からは協力関係として自立をしていく予定です。自分たちを成長させてくださった松原に限らず、場所を変えて展開させていきます。この決断は、いただきまんぷく食堂を今後も続けていくために決めたことです。
現状として、新人スタッフがおらずスタッフの交通費負担が大きいという理由と、施設利用費が高く過度な節約のために自分たちのやりたい企画や調理ができないという課題があります。だから、自分たちも活動しやすい環境にしていこうと思います。」
自立することに対する不安もありながら、新たな挑戦にとてもワクワクしていると言います。
特に、「これからいただきまんぷく食堂でやっていきたいことは、食育。食育といっても、教育するというよりは新しい経験をしたりご飯を作ったり食べることの楽しさを知ってもらい、食に興味を持ってもらいたい」と口にした彼女。
「私は幼少期、父が飲食店を経営していたという環境から食に密接に関わってきました。そのため、作ったり食べたりすることが楽しく、今でも好き嫌いはありません。また、地域のイベントで餅つきをしたりしたことは、子どもの頃のいい思い出になっています。
私たちの主なメンバーは栄養科学科ということもあり、授業を通じて作ることや食べることの大切さを学んでいます。それを学生こその距離感で伝えていきたいと思っています。
また、ここでは野菜を食べてくれたり、いろいろなスタッフとコミュニケーションが取れたりしていると、保護者の方からも言っていただきます。これからも、そうやって冒険する場所、一歩踏み出せる場所にしていきたいです。」
最後の質疑応答では、「学生の仲間同士で活動を始める際に、どのような話をしたのか」という質問が出ました。
すぽせんは、「なぜ子ども食堂が必要なのか、どうして自分がやりたいと思ったかっていうのは、みんなに伝えた」と言いますが、さらに彼女は「自分1人が活躍する場ではないし、みんなで作っていく場だと思ったので、子ども食堂をやっていく中で、みんなでやりたいことは何かっていうのを考えていたし、これからはもっと知りたいと思っています。」と続けました。
実は、去年のこのフォーラムでは聴衆側だったすぽせん。自分達で子ども食堂をやりたいと思い、勉強のために参加した子ども食堂フォーラムでしたが、「去年の今頃は、自分たちがみなさんの前で活動報告をさせていただくとは思ってもみませんでした。」と素直な驚きを口にしていました。
事例報告の場でもありながら、今回の子ども食堂フォーラムが2人にとっても1年間の活動を振り返る機会になったようでした。
1年間の活動が着実に実りつつある中で、次に向けた課題もたくさん。学生ならではの取り組み、そしてその背景にある思いや経緯が、会場に足を運んだ多くの方々の心を掴んだ様子でした。
1年前の自分たちにもぜひ聞かせたいと思えるような、充実した事例報告でした。
今後のいただきまんぷく食堂にもぜひご期待ください!