録画しておいたカギダンスを見た。土曜日に放送されたもの。
前回は見てなくて、でもネットでちょっと話題になっていたので今回は見ようと思ったのだ。
なんかもう、いろいろすごかった。
最近は高校にダンス部があって、大人数でのダンスも盛んになっているみたいだ。全国大会もあって、いろんなジャンルもあったりする。時代の流れをしみじみ感じるよ。
年寄りの感慨はともかく。
高校のダンス部に芸能人が参加して、3ヶ月で作品を作る。そういうコンセプトらしい。
こういうのが番組として成立するのって、アカペラとかでもそうだけど、作品の時間が短いからだよね。4分とかそのくらい。そして、歌もダンスも技術の差とか見せ方の工夫がわかりやすい。
フィジカルな技術を競うという側面があるというのが、こういう企画が成立する要件だなと思う。
だって、高校の演劇部に1人芸能人が入って、3ヶ月で1本芝居を作る、という企画は成立しようがないと思う。さらにそれを点数制で競うなんてことはもっと無理。高校演劇の全国大会ですら優劣を決めることに議論があるというのに。
芝居の場合、わかりやすい基準がないし、わかりやすい技術もない。何をもって「うまい」というのか、どうなったら観客に伝わったとわかるのか。そんなもん、演劇をやってる人はみんないつもわからなくて試行錯誤しているのだ。
同じエンタメなんだけどねえ。こうも違うものかと。
ダンスは、体を使うものだからよりいっそうその巧拙がわかりやすい。リズムも、取れてるか取れてないかは一目瞭然である。大人数でのダンスの場合、その統一感も重視されるから、振りがずれていたらすぐにわかる。上げた脚の角度、腕の動き、その向き、そういうものは誰が見てもわかるのだ。
今回参加した芸能人の中にはダンス経験者もいたが、まったく経験のない人もいた。
一方の高校生は日頃部活でみっちり鍛えられているわけで、最初のレベルの違いはいたましいほどである。で、そこを埋めるべく努力する姿が感動を呼ぶわけだ。
こういうときに思うのは、それなりにテレビに出て成功している人の努力のすさまじさである。努力もするし、それが報われるものなのだ。さらには、本番の舞台での突破ぶりもすごい。練習の時よりももっと舞台に立ったときに解放されているように見える。そこに芸人の凄みを観た気がする。上垣アナは芸人じゃないけど、すごく真面目に限界を突破していて、新しい側面を開花させたんじゃないかと思う。あんまり生き生きしているのでこちらまで嬉しくなってくるほどであった。
フィジカルはねえ。ある意味鍛え方に一定のシステムができているから、それをやればいいんだとも言える。
これが芝居だと、いったい何をどう鍛えたらうまくなれるのかわからないし、そもそも「芝居がうまい」ってどういうことなんだという根本的な疑問がたちふさがってくる。
なんかよろしくない、ということだけはわかるのだ。言動の意図が明確じゃなかったり、ちぐはぐだったりして、安心してその世界を見ていられなくなる。それが「下手な芝居」
役者が喋る言葉が嘘っぽくて、上っ面で、段取りにしか見えないとか、とにかく台本をさらっているようにしか聞こえない、なんていう芝居もざらにある。
でも、じゃあどうしたらいいのか、がわからないのだ。
役者がそれぞれ自分の内面を充実させ、発声や滑舌などの基本的なことを習得し、場の雰囲気をきちんと把握してふさわしい言動をとる。それが望ましい在り方だということはわかっていても、一朝一夕でできることではないのである。
早い話が、数ヶ月後に上演する芝居の稽古をしているときに、「じゃあ内面を充実させてきてね」なんて悠長なことは言っていられないのだ。
演出と演技指導は違う、という話を最近よく耳にする。確かに違うんだけど、実際の稽古場ではごっちゃになることが多い。それはアマチュア演劇だからなのかどうかはわからないんだけど、役者側の覚悟が足りないよなあと思うことは多い。演出の話をしていても、いつしか役者に対する演技指導(そこはこういうふうにやればできるのでは、とか、こんなふうにやってくれとか)にすり替わっていってしまう。私の理想としては、演出家が望む方向に対して役者側からいろいろ提案できる稽古場がいいのだが、なかなかこれが難しいのである。
私自身も演出をきちんと勉強したわけではないから、何が正解なのか、どうすればいいのかも手探りである。
ダンスだって別に技術だけでどうにかなるものではない。技術の上に表現というものがある。
でもその表現にはある程度答えがあるような気がするんだよね。指先までピシッと伸ばす、だとかさ、腕は背中から回すとか、そういう技術で表現できるものがある。
芝居の場合はなんだろうなあ。いろいろありすぎてわからない。
アマチュア演劇の場合、どこまで追求してもいいのかがわからないっていうのもあるんだよねえ。
今週末には本番だというのに、いまだに迷っている。