無事終演 | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

「あけましてよにんしばい」無事終演しました。

ご観劇いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

私は「演劇ユニットメビウス」の一員として参加。作・演出も兼ねました。

あ、タイトルは「うしろの正面」というお芝居。

 

この「あけまして~」は、最初一人芝居から始まり、翌年は二人、その次は三人と毎年一人ずつ増える形式の演劇公演なのです。

私は、二人芝居と三人芝居の脚本提供をやりました。

ちなみに、二人芝居は「バスを待つ」という、「ゴドーを待ちながら」みたいな話。

三人芝居は「ピアス」というタイトルで、高校の同級生が三十年後にクラス会で再会するというお話です。

で、今年は四人芝居ということで、ついに自分も出演することにしたんですね。

去年「熱海殺人試験」という芝居で共演した二人の役者さんと、あと私の息子。この四人でお芝居を作りました。

 

梅沢富美男さんの歌に「夢芝居」というのがあって、その一節にこんな歌詞があります。

「稽古不足を幕は待たない」

この歌では恋のことを言ってますが、私は芝居の稽古をしてるといつもこの言葉を思いだします。

公演の日が決まっている以上、お客さんはその日に完成品を期待して劇場へやってくるのです。

稽古が足りないというのはあくまでもこっちの事情。お客さんには関係のないことなのです。

そういえば、「ガラスの仮面」の中にもあったなあ。「言い訳をひっさげて舞台に立つわけにはいかないのよ」みたいな言葉。

そう、舞台に立つからには、人前で演じるからには、そこに「言い訳」が入りこむ余地はないのです。

「新人ですから」「初舞台ですから」「稽古不足ですから」なんていう裏側の事情はお客さんには関係ないことなんですね。

だからこそ今回は胃が痛くなる思いをしました。

諸事情で、ほんとに圧倒的に稽古時間が足りなかった。30分という短い芝居ですから、セリフ量はさほど多くはないのですが、それでもやっぱり、作りこむところはたくさんあります。というか、やってもやってもきりがない。そこは長さは関係ないんですね。

だから、ちゃんと見せられるものが出来上がるかどうか、本当に心配しました。

年が明けても心は晴れず、ずっと暗雲が垂れ込めているような心境だったのです。

 

結果的には、奇跡のように直前でぐっと精度があがって、それなりにまとまったものをお見せすることができたんじゃないか、と思っています。欲を言えばきりがないのですが、それでもお客さんに失礼のない程度にまでは持って行けたんじゃないかなあと。

ほんとによかったです。

私一人テンパってしまって、かなりみっともない言動もやらかしてしまいました。愛想つかされたかなあ。

まあしょうがないんだけど。

舞台の神様には感謝しかないです。

 

で、ここからは、気楽な裏話。

今回、わらべうたをモチーフにした話だったので、衣装をちょっと工夫しました。

(出演した3グループの中で突出して「衣装感」が出てましたw)

私は、正月に実家へ帰った時に母からもらった古い着物を使ってみました。まあこれいつの時代の置物なの?みたいな色と柄。パッと見、豪華そうに見えなくもない、という感じ。それを打ちかけのように羽織ってみました。中には、絽の着物を着るときの白い着物、その下には、たぶん付け下げ用の長襦袢と思われるものを着ました。帯は浴衣用の帯で、帯締めも一応結んでみました。飾りみたいな感覚。

つまりどういうことかというと、まったく着物の着方を無視した着用方法だった、ということです。

舞台衣装だし、時代設定もあいまいだし、という言い訳のもと、かなりでたらめな着物の着方をしてみたのです。(それでも一見、ちゃんと着てるように見えなくもない)

自分の中で「舞台衣装だし」という気持ちがあったのは確かなのですが、私が演じた役が伝統にこだわる人で、とにかく与えられた「伝統」を盲信しているだけというキャラだったので、こういう「でたらめさ」もありかな、とあとで気づきました。

一番右が私です。それらしい感じが出てるんじゃないかと思うんですが。

中の二人が「旅のおさなうた歌い」という役。

白い衣装の彼女は、私の後継者、という設定でした。古い伝統から飛び出して新しいものを作っていこうという、この芝居のメインとなる役です。

 

まあ、脚本のクオリティがどうだったか自分では判断できないのですが、衣装はお客さんからもわりといい評価をいただけたような気がします。

短い時間で、ぎりぎりの綱渡りで、ほんとよくがんばった、と自分をほめても罰は当たらないと思いたいです。(もちろんほかのみんなががんばってくれたおかげもあります)

 

というわけで、今日は特別気が抜けております。

あいにくの天気で、とんでもない寒さ。東京の方は雪が降っているみたいです。

このあたりは冷たい雨です。家でぬくぬくしてて申し訳ない感じ。

 

で、ここからは気持ちを切り替えて、来月の芝居に取り組もうと思っております。

あー、3月まではやっぱり気が抜けないんですな。自業自得(/ω\)