デモでも | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

産経新聞と読売新聞は「テロ等準備罪」って書いてるんだけど、毎日新聞はでっかく「共謀罪」って書いてる。今朝の朝刊。テレビも国会の採決の模様を流してるけど、なんだかうんざりするような光景。

 

昔からずっと疑問だったんだけど、デモとか「国会の前で抗議集会」って、どういう目的でやるんだろう。

どうなったら目的達成なの?

学生の時に1回だけ参加させられたデモは8月の平和行進だった。原爆がどうとかっていうやつ。

それは、広島でも長崎でもない地方都市の繁華街をダラダラ歩きながらしょぼいシュプレヒコールを上げてるっていうやつだったんだけど、歩きながらずーーーっと疑問だった。

これ、誰に向けて言ってんの?どこに向けて言ってんの?どうなったら気が済むの?って。

「民衆の意思を示す」ってことらしいんだけど、誰に示してんのかな。そしてその効果は出てるんだろうか。つまり、「見てほしい人に見てもらってるのか?」ってこと。

私の知見が狭いのかもしれないけど、どう見てもやってる人の自己満足にしか見えない。だって、そのデモ行進で何かが変わったっていう話は聞かないような気がするから。

 

地道な署名運動の末に法律が改正された、という話は聞いたことがあるけど、デモ行進の結果何かが変わったっていうことはないんじゃなかろうか。

 

今回の「テロ等準備罪」の話にしても、法律の制定なんだから国会で議論して決定することだと思うんだが(日本はそういうシステムをとってるはず)、国会の外でどれだけ騒いでもそれが採決に影響するとは思えないんだが。

野党も、牛歩戦術とかっていうばかばかしい手段をとったり(これ、見てくれがものすごく間抜けに見える)、審議拒否とかいって議場を出てっちゃったりするのは、(戦術としてはありかもしれないけど)どうなのよ、って思っちゃう。

与党がのらりくらり躱してて話にならん、っていうのもあるのかもしれないが、話し合いの場を蹴っておいて「議論不足」っていうのは、やっぱり変なんじゃないのかなあ。

 

そのあたりが、どうしてもわからない。高度な政治的判断とやらなんでしょうかね。

 

外国でのデモは、伝わってくる映像で見る限りではかなり激しくて、それはつまり政権交代を目的にしてるからだと思うのね。

今やってることには反対だぞ、だから俺たちにやらせろってことで、デモンストレーションして暴動すら起こしてるんじゃないの?

単なる暴動って場合もあるみたいだけど、それだと結局鎮圧されて終わりじゃないですか。

 

不満を不満として表明することが大事なんだ、ってことなんだろうか。

「核兵器反対」とかいってぞろぞろ歩かれても、「まあそうですよね」としか反応のしようがない。

たくさん署名が集まったら、与党はそれを見て「あら大変、みんなが反対してるんならやめにしましょう」って言うんだろうか。

 

ニュース映像を見る限りでは、国会の外でかなり大騒ぎになってたみたいなんだけど、ほんとにあれ、どうなったら満足できるんだろう、何が最終的な目的なんだろうって思う。

あの声が議場に届いて、与党の政治家たちがハッと目を覚まし懺悔する、みたいな展開を期待してるんだろうか。甘いドラマあたりならありそうな展開だけど。

 

今回の法案が、実際にはどういうものなのか、どういうふうに運用されていくのか、私にはよくわからない。「もしかしたらこんなふうに使われるかもしれない。そうなったら怖いでしょ?」という話はいっぱい出てるけど、もしそういう仮定が成立しちゃうような内容なら、成立させないためにどういう予防策を講じるかを考えるのが立法府の仕事なんじゃないのか。

現実に世界ではあちこちでテロが起きてるし、日本の中でも「え?」と思うような事件が起きる。そういうものを防ぐためにどうしたらいいのかを考えるのが政治家の仕事だと思うんだけど。

「危ないじゃん!怖いじゃん!あんたらなにしてんの!」って非難するのが野党の仕事ではないと思うのよね。その先を考えてほしい。そのために選挙で選ばれてるんじゃないの?

 

選挙で代表を選んでその人たちに政治を任せるっていうシステムが完全なものではないとは思うけど、直接民主制の限界だとか、共産主義のやり方では行き詰ったから今の制度を選択してるはずで。

与党と野党が切磋琢磨して、よりよい社会を作っていく(なんか嘘っぽく聞こえちゃうところが哀しい)のが本来のあり方(というか理想のあり方)だと思うのよ。

陳腐な「権力の私物化」に走ったり、それを見つけて鬼の首を取ったように騒いで、でも尻切れトンボに終わらせたり、庶民向けのパフォーマンスに終始したり、そういうのがとても残念だと思う。マスコミがそういうのだけ報道してるっていう面もなきにしもあらずだとは思うけど。

100%の正解はなくて、常に次善の策しかとれないのが人間なんだから、政治だって必ずしもいいことばかりではないし、同時に悪いことばかりでもない。そんな当たり前のことが往々にして忘れられてしまうものなのだよねえ。

 

どっちにしろ成立してしまったら、野党はたぶんもうなんにも言わないんだろうなあ。他のさまざまな決定と同じで。

外で言うっていうのはつまり、支持者を増やすためなのね。だから集会へも積極的に参加して、いろいろぶちあげるわけだ。

 

政治って難しいねえ……。