走る | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

 冬と言えばマラソンですが。

私はマラソンが大の苦手でした。今も苦手です。

小学生くらいまでは、走り回って遊ぶ、ということもよくありましたが、もともとあんまり運動神経がいいほうじゃなかったんで、だんだん運動自体が苦手になっていきました。 中学では、一応バスケット部に入ってましたが、ご存じのようにバスケットボールというのは走り続けるスポーツです。ですから、練習も、走る走る。ダッシュ何本走るかって世界です。そして、冬は当然マラソンです。

 これがねえ、もうとてつもなく嫌だった。部活やめたくなるくらい、世界から色がなくなってしまうくらいイヤでした。

 何がそんなにイヤだったのかなあ。検証してみます。

 まず、走ると息が苦しくなる。そして、体中の筋肉が痛くなる。横っ腹が痛くなる。

さらに、短距離走なら数秒、数十秒で終わりますが、マラソンは分単位。何十分単位。長いんです。痛いのと苦しいのが、何分も続くんです。それがイヤだったんだなあ。

 そんな私にとっては、マラソン選手や、駅伝の選手は異星人に思えます。走るの好きだなんて。しかも分どころじゃない、時、という単位までいってしまうのに。ありえへん。歩くほうがナンボか楽しいと思うんですけどねえ。

 ランナーズハイ、という言葉があります。脳内快楽物質がどっばーっと出ちゃうんですね。一回だけ味わったことがありますわ、そういえば。

 大学1年の時でしたかね、住んでた寮で、「夜、走る」というのが一時期流行りました。で、夜の陸上トラックへ行って、400mくらい走るんです。一回だけ、「あら、走るって気持ちいいわね」と思えたときがありました。まあ、そのときだけだったんで、結局それっきりなんですけどね。

 唐突ですけど、私にとって、「走る」と「お酒」は同じものです。どちらもそれがすごく好きな人がいて、それによって気持ち良くなれる。でも私はどちらもだめです。気持ち良くはなれません。アルコール分解酵素を持っていないので、酔う前に二日酔いです。体が重いので、走ると苦痛です。はああ。