落語芸術協会主催、年に一度のファン感謝デー。
協会に所属する芸人が様々な趣向でお客さまにお楽しみいただくイベント。
笑顔になっていただきたくてできる限りのおもてなしをしているのだが、
その何倍もの喜びをお客さまが芸人に与えてくださる。
今日もたくさんの幸せをいただいた。
私は体育館で開催される寄席の係。
受付やチケットのもぎり、開演前と開演後のお客さまの会場誘導が仕事。
その間、お客さまからお声をかけていただいた。
「ひまわりさん、大好きです!」
「、、、、(無言で思わずハグ)」
*こういうお言葉をくださるのは決まって女性
「サイン、お願いします。」
「私のでいいんですか?」
*協会に所属する芸人全てのサインをコンプリートしたい方もいるので
必ずしも私を目指しているわけではない(笑)
『日向ひまわり』を知っているお客さまは極々僅かなので
声を掛けられるたび、喜びと同じくらい驚くというのを繰り返した。
寄席の客席の中に、
お名前も存じ上げないお客さまの中に、
私の高座を好み、楽しんでくださっているお客さまがいる。
そのことを教えてもらう貴重な機会だった。
とても嬉しかった。
久しぶりに再会するお客さまや友人もいた。
ご縁が繋がっている、繋いでいただいていることに幸せな気持ちでいっぱいになった。
たくさんの喜びがある中、涙がこぼれそうなくらい嬉しい出会いがあった。
サインを求めてくださった大学生のお客さま。
「お名前、書きますか?」
「あ、それなら、、、」
そう言って彼が鞄から取り出したのは黄色い葉書。
「実は小学生のころ、ひまわりさん(ひまわり先生?)からお手紙をいただいて。」
「え~っ!!」
確かに、私が書いた葉書だった。
宛名を見て「あの時の子だ!」とすぐ思い出した。
平成30年、2018年1月の消印が押してある。
落語芸術協会宛てにハガキが届き、返事を書いて出した。
その男の子と2回くらいやり取りをしたような気がする。
直接話したことはなかったけれど、
もらった葉書がとっても素敵でかわいらしく、印象に残っていた。
まさか6年前の葉書をずっと保管してくれていたなんて、、、、
《芸人冥利に尽きる》ってこうゆうことなんだと思う。
容量の悪い私は何をやっても時間がかかる。
毎日があっという間に過ぎていくが、
その日その日の出来事や出会いとなるべく誠実に向き合いたいという希望はある。
でも、スルーすることも多い。
やれることはささやかだけど、
嬉しかったことやありがとうの思いが大きいうちに伝えられたらと思っている。
その人のためというより自分がスッキリしたいから。
自己満に近い。
でも、そんな私が6年前に届けた思いが今に繋がった。
「生きてるとこうゆうことがあるんだなぁ。」
胸の奥がじんわりした。
『辛い時にはこれを読め!』
我が家にはこれまで色々な人からいただいた手紙をまとめている袋がある。
帰宅後、その袋の中から小学生の彼が書いた葉書が2枚出てきた。
真ん中に私の高座姿が描かれていて(釈台を前に黒紋付き袴で張り扇を持っている)、
その横には優しいメッセージ。
この葉書、写真を撮ってお見せしたいと思ったが彼の了解を取っていないし、
何より私だけの宝物だしお守りとして留めておきたい気持ちもある。
あの子には見せたいと思う。
6年前の自分がどんなことを書いたか、覚えているんだろうか。
久しぶりに手紙を書いてみよう(住所、変わっていませんように)。
葉書や封書でもらったメッセージは《その時》の気持ちを鮮明に思い出し、
《その時》に私を誘ってくれる。
6年前、私はあの子に大きく励まされた。
らくごまつりに参加できてよかった。
お客さまからいただいたたくさんの喜びを糧に、また高座へ上がろう。
ひまわり
☆お声をかけてくださった方の中に
「ブログ、読んでます」
とおっしゃる方が思いの外いらっしゃって驚きました。
更新の少ないブログですが、これからもお付き合いいただければ幸いです。