2024年2月25日 生まれ育った故郷での高座 | ひまsunのブログ

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講談師『日向ひまわり』の日常あれこれを書いています!

私の故郷、広島県 三原市 大和町(だいわちょう)。

 

三原市といえば昔から港町で知られているが、

大和町は平成の大合併で仲間入り。

海(瀬戸内)まで車で3、40分かかるだろうか。

山陰というほど奥に深くは入っていないけれど、

山に囲まれている自然豊かな町。

ここで生まれ、育ち、高校卒業まで過ごした。

 

何気ない風景が今もハッキリと浮かぶ。

 

小学校の満開の桜。

七夕の笹を流した川には蛍が優しく飛び交い、

秋祭りでは灯りの少ない集落に点々と連なる提灯行列が

とても美しくて幻想的だった。

 

四季折々の匂いも覚えている。

 

新緑の季節、草と土が混じったエネルギー溢れる青い匂い。

夏の雨の日、田んぼから田んぼへぴょんぴょん横断する蛙たち、

ちょっと生臭くて苦手だった。

 

稲刈り前の香ばしくて美味しい空気。

どんよりとした冬空の下、鼻の奥をツンッとつく、

寒さと共に感じた雪が降る前の凛とした匂い。

 

匂いは色々な記憶を鮮明に蘇らせてくれる。

 

自然豊かな故郷で体験してきたことはどれも宝物になっている。

駅もなく、スーパーも閉店し、便利さからは遠い。

でも、その中に大事なものがギュッと詰まっている。

 

『余計なものが何もない』

それが私の生まれ育った町だ。

 

故郷での久しぶりの高座。

主催は大和町自治振興連合会さん、

三原市の後援と町の人たちの協力に支えられ、開催となった。

 

令和五年度 まちづくり講演会

    【講談 日向ひまわり独演会】 ㏌ 大和町

 

ありがたすぎます~( ;∀;)

 

自治会の皆さまはとっても温かくて、

お手伝いくださった皆さまもとっても温かくて、

駐車場の整備や受付の手伝いで早くから集まってくれた同級生もホントみんなあったかくて、

会場入りしてからずっと、嬉しくてありがたい気持ちでいた。

 

その気持ちのまま、高座へ上がった。

緊張したけど、この日は最初から心地よい緊張感を味わえた。

 

350席の客席はお客さまで埋まっていた。

温かい拍手だった。

「おかえり~!」

と言ってもらっている気がした。

 

お客さまも温かかった。

これは間違いなく、

スタッフの皆さまが優しい笑顔でお客さまを温かく迎えてくださったからに他ならない。

その温かい気持ちは伝染してお客さまの心を温め、

心が温まったお客さまがいる会場は温かい空気に包まれる。

 

その温かい雰囲気は高座まで届き、私の心も温めてくれる。

それがまた私の高座を通してお客さまへと返っていく。

《温かい》のループが生まれていた。

 

マクラを振った後、【野狐三次の木っ端売り】へ。

その後、前座修業時代の話をしてから中入り(休憩)。

二席目は【木村長門守の堪忍袋】を読んだ。

 

最後に質問コーナーを設けていただき、お客さまとやりとりすることもできた。

「ファンになりました!」

とエールを送ってくださる方、同級生のお兄ちゃん、

まちづくりに力を注いでいらっしゃるんだろうなぁと思われるお客さま、

どなたさまも優しくて温かかった。

 

終演後、ロビーへ。

お見送りをしていると、近所のおじちゃん、おばちゃん、中学・高校の先生、

私を本名で呼ぶ人がたくさんいる。

 

以前、大和町で何度も高座を務めているが、

その時は気恥ずかしさが大きかったように思う。

今回はなかった。

 

「楽しんでいただきたい。」

その思いだけで高座を務めていたからか、私が図太くなったのか(笑)。

 

またこの場所で高座に上がりたい。

その日がいつ来るかはわからないけれど、再び故郷の舞台へ上がる時まで、

与えていただいた高座を一席一席大切に務めたい。

そしてまた、故郷の皆さんが笑顔になってくださるネタをお届けしたい。

 

ひまわり