ドラマ「南城宴」 第6集 後編 | 江湖笑 II

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ドラマ「南城宴」

 

第6集 後編

 

 

 

 

 

 

 

<6集 後編>

 

 

 もうダメだ、と思ったその瞬間、目の前で梅花短刄が跳ね上げられた。青離と小強子のあいだに割って入ったのは晏長昀だ。

 晏長昀は鞘から剣を抜かずに青離を撃退する。

「小強子、大丈夫か!?

「あいつは私を知っているんです! 追わないと…!

 駆け出そうとした小強子は、しかし右足を痛めて歩けない。晏長昀は小強子を背負って帰ることにした。

「途中で重いからとかで放り出さないでください」

「分かった」

 玉骨哨を大事に帯に仕舞った小強子は、晏長昀の背中にしがみついた。

 

 

 横町から飛び出して行った晏長昀を捜す雷初月と魏添驕は、小強子を背負って歩く彼を見つけた。

「晏大哥に背負われているのは誰?

「千羽衛の隊員の小強子、公公だよ」

 公公とは太監の俗称である。

 

 

 そんなことがあって以来、小強子は四六時中ニヤニヤしていた。彼女の頭の中にあるのは、女刺客から守ってくれた晏長昀の姿ばかりだ。

 呼び出したはずの劉一刀とも会話にならない。もしかして好きになったのかと訊かれる。

「まさか! 私は女じゃないぞ!

 小強子はあわてて否定した。

 

 

 浮かれている小強子は晏長昀のために点心を作った。蝦皮餅という、蝦を使ったお菓子だ。

 御泉殿の前を通りかかった時、趙沅が出てきて呼び止められた。お菓子に気づいてひとつ奪われる。小強子が晏長昀のために作ったと言うと、ムキになった趙沅はお菓子を頬張った。

「美味いじゃないか、全部もらうぞ!

 趙沅は皿ごと取り上げる。

 不意に趙沅は喉に違和感を感じた。息が苦しくなって、泡を吹いて倒れる。

「皇上!!

  ちょうど近くを通りかかった晏長昀が駆け付けた。

「何があった!?

「私のあげた蝦皮餅を食べたらこうなって…」

「馮公公、紫蘇の葉の汁を用意してくれ、急いで!

 

 

 幸い大事には至らず、趙沅は目を覚ました。皇后の蕭蘅は原因を作った小強子を杖刑に処すと言うが、趙沅は自ら食べたのだからと彼女をかばう。

「小強子を残して、皆は下がってくれ」

 趙沅に命じられて蕭蘅や晏長昀、曲太医、それに馮公公も寝所から出て行く。小強子は枕元に駆け寄った。

「気分はいかがですか? 皇上、肝をつぶしましたよ。晏統領が紫蘇の葉の汁を飲ませなければ、今ごろどうなっていたことか…」

 紫蘇の葉?

 ふと趙沅は幼い頃の記憶が蘇った。かつて彼に同じ症状があらわれた際、秦琰は紫蘇の葉をしぼった汁で助けてくれた。しかも、趙沅に蝦アレルギーがあることを知る者はこの世で秦琰たったひとりだけのはずだ。

 もしや晏長昀はあの秦琰なのか? 趙沅の心に不安と疑いが芽生える。

 

 

 小強子が御泉殿から出てくると、晏長昀と呉承が待っていた。趙沅の容体を訊ねられた小強子は、もう大丈夫だろうと話す。

「皇上には、ちゃんと晏統領の機転で紫蘇の汁を飲ませたと伝えてあるから」

 晏長昀は、驚いて疲れただろうから先に帰って休めと小強子を促す。小強子はぺこっと頭を下げて駆けて行った。

「老大、ひょっとして皇上は疑っておられるのでは?

「子供の頃、ずっと一緒にいて互いをよく知っているからな」

 幼い頃、ふたりは一緒にお菓子を食べ、一緒に剣の訓練に励み、一緒に戯院で歓声を上げた。

「もしや、皇上にまだ親しみを感じておられるのですか?

「…朱銀粉の調査は行き詰ってしまった。打開できるのは皇上だけだ」

 あえて晏長昀は呉承の質問に答えなかった。

「しかし、あの小強子ときたら余計なことを」

 今ですら危険人物なのに、記憶が戻ったらもっと厄介だ。始末しましょうと呉承は言う。晏長昀は即座に反対した。

「私は殺人鬼ではないぞ! …ところで、方游はどうしている?

「すでに脱獄しております」

 方游には呉承の手配する尾行がついていた。

 

 

 大殿でうたた寝していた趙沅は悪夢を見た。恨みを抱いた目で晏長昀から睨まれ、刺殺される夢だ。

 はっと目覚めると、晏長昀が頭を下げている。いつもの無表情な彼が立っていた。

 晏長昀が秦琰だとして、なぜ彼は何年も趙沅に仕えているのだろう。趙沅が玉璽を押した聖旨で彼の一族は皆殺しの憂き目に遭った。にもかかわらず彼は体を張って趙沅を守っている。

 まさか、悪夢に見たような復讐を考えているのか?

 趙沅は動揺を悟られないよう、努めて平静を装った。

「昨日はよく朕を救ってくれた。褒美は何が欲しい?

「皇上、私は罪を犯しました」

 晏長昀はひざまずいた。街で見かけた民間療法をとっさに試してしまったと話す。

「危険すぎる行為だったと猛省しております」

「それでも朕の命を救ったのだから、褒美を得るに値する」

 趙沅は金錠の褒美を与えた。

 

 

 趙沅は食事に小強子を呼んだ。ガツガツと食べる小強子を見つめる趙沅は箸が進まない。どうしたのかと訊ねられた趙沅は、最近一緒に食べてくれないから食欲が湧かないと言う。小強子は慈善活動で忙しくしていたのだ。

「千羽衛の食事はいまひとつだろう?

「そりゃあ、皇上の食事に比べたらね。でも、味はいいですよ」

 そんな他愛もない話を発端に、趙沅は晏長昀の背中の傷について訊ねた。

「まだ完治していないだろうに、無茶をさせないでくれよ」

「晏統領の傷はほとんど治っていますよ。私が毎日薬を塗っていますから、間違いないです」

「じゃあ…右胸の傷は?

 そんなところに傷があったのか、と小強子は首を傾げた。

 ひと通り食べ終えた小強子が立ち上がった。これから剣の訓練があると言う。

「晏統領の試験に合格しないと、千羽衛を追い出されるんです」

「私が教えてやろうか? すごい剣法を知っているんだ」

 

 

 趙沅は蕭蘅が会いに行くのを嫌がる。けれどもどうしても会いたい蕭蘅は、侍女の雪茹を伴って出かけた。

 中庭で趙沅が剣を振り回しているのが見える。相手は小強子だ。それを知った蕭蘅は腹を立てた。

「娘娘、国舅爺に頼んで消してもらいましょう!

「何てことを言うの、人ひとりの命なのよ!

 蕭蘅が叱る。それなら、と雪茹は小強子を鳳儀殿付きの太監にしようと言い出した。

「それはいい案だわ!

 小強子は趙沅のお気に入りだ。小強子が鳳儀殿にいれば、きっと趙沅はやってくる。

 ただ、雪茹は別の物騒な案を考えていた。

 

 

 

 

 

 

<7集前編に続く>