ドラマ「我的危険夫君」
第6集
<第6集>
ひたすら馬で疾走する青年がいた。白芷の次兄、白青琅である。
阿芷、必ず助けてやる。待っていろ。
白芷と素秋は地下牢に忍び込んだ。眠り薬で牢番を眠らせ、鍵を奪って使者を捜す。
頬に傷のある使者が見つかった。素秋が彼に包帯を巻き、地下牢から連れ出す。
白芷と素秋は、使者と一緒に侯府を抜け出すつもりだ。三人は塀の狗洞をくぐり、脱出した。
ところが、山中で男ふたりと合流するや否や、使者の目つきが変わった。
彼の名は狗哥、宮中からの使者ではなかった。白芷は椅子に、素秋は柱に縛り付けられる。
狗哥が白芷の持っていた袋に手を突っ込み、干し肉を見つけた。
「それ、あなたの頬肉…」
「は? 食ってみるか?」
鼻先に突きつけられた白芷は、匂いが違っていることに気づいた。人肉ではなかった。
「白大人はいい人だ。おまえは白大人の娘だから、ここに拇印を押したら解放してやる」
紙を見せられた白芷は、書かれている文言を見て憤る。
「これ、酷いじゃない!」
「酷いも何も、ヤツは民から税金をむしり取り、平気で人を殺している。しかも、朝廷では我が物顔にふるまっているんだぞ!」
衛商枝のことだ。
「巷の噂を信じるなんて、バカじゃない!?」
「三つ数えてやる。一、二…二点九!」
狗哥たちは、強引に白芷の指に朱肉を付け、拇印を押す。
「放して、放してよ!」
狗哥の手下ふたりが身振りでハートマークを作った。
「ああ、衛夫妻が本当に愛し合っているか、試せってことだな。確か、頬の肉が一番柔らかいとか…」
「ちょっと! 小姐に手を出したら、うちの公子が黙っちゃいないわよ!」
「白公子はできたお方だ、分かってくれるさ。残念だが、嫁ぐ相手を間違えたな」
狗哥が白芷にナイフを近付ける。
今の今まで白青琅が派遣した三人だと思っていた素秋は焦り始めた。まさか、彼らは本物の無頼だったのか。
<第7集に続く>