ドラマ「虚顔」第17集 | 江湖笑 II

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木曜~土曜:鋭意調整中
※「幻鏡閣」は4/26にて大結局です。

ドラマ「虚顔」

 

第17集

 

 

 

 

 

 

 

<17>

 

 

 沈沁の殺気に気付いた十七は、ふり向きざま、短剣を振り下ろす沈沁の腕を掴んだ。

「どうして私は、いつまでもあなたにまとわりつかれるのよ! どうしてあなたが私の男を奪うのよ!

「十七!!

 蕭寒声が飛び込んできた。走りながら長剣を鞘走らせる。

「私を殺したら、顔は戻せないわよ!

 突然、鈍い音がして沈沁が倒れた。いつの間にかそこに寧王が立っていた。彼の手から硯が落ちる。

 寧王は、沈沁を捕えて短刀を突きつける。

「将軍、どうしてここへ?

 駆け寄った蕭寒声は、十七に赤い布を見せた。沈沁が呼び出しに使う細く赤い布だ。そんなところまで、蕭寒声は捜査済みだった。

 蕭寒声と十七の背後で、寧王は短刀を持った手に力を籠める。

「だめよ! 彼女が沈沁なのよ!

 寧王は、まじまじと沈沁の顔を見る。

「そんなはずは…」

「容姿に騙されて、私だと気付かなかったのね」

「沈沁はおまえじゃない、彼女のほうだ! そうだと言え!

 誰がどんな名前であろうと、もう沈沁としてはどうでもよかった。

「私があなたのそばにいるわ」

「おまえ、狂ったか!

「あなたが狂っているから」

 短刀を突きつけられている沈沁は、ぽろっと涙を落とした。

 

 

 寧王と沈沁が愛憎劇を繰り広げる一方で、蕭寒声と十七は姉がいるはずの部屋を覗いた。

 暗い室内は、凄惨だった。散ばら髪の女性が男に馬乗りになっている。女性の持っている短剣が何度も男に突き立てられていた。すでに動きを止めている男は、顔の交換術を行った、あの男だ。

 女性がふたりのほうを向いた。

「姉さん!!

 

 

 雷鳴が轟いた。

 蕭寒声と十七が連れ帰った女性は、警戒して短剣を振り回し、世話をする侍女を寄せつけない。

 廊下に追い出された茯苓に代わって、十七が部屋に入った。刺激しないように、ゆっくり近付く。

「私は沈沁ではないわ。十七よ。数か月前、沈沁に顔を交換されたの」

「十七…?

 女性が怪訝な顔をする。

「あなたは私の姉さんよね。肩に梅の刺青があるもの」

 それまで切っ先を十七に向けていた女性は、短剣を下ろした。突然、十七の腕を掴む。

「私はあなたの姉さんじゃないわ! 私が沈沁なのよ!

 何年も前に家人とはぐれた沈沁は、水場で溺れそうになったところを助けられた。ところが、目覚めた時には今の顔に替えられていたと言う。

 その後、芊影山荘の地下室に監禁され、梅の刺青を彫られた。

「でも、あの沈沁には刺青が無かったわ!

「私の目の前で、激痛に耐えながら刺青を消したのよ」

 あの沈沁が姉だったならば、知恵の輪のことを知っていてもおかしくない。

 花街で行方不明になった十七の姉は、溺れる沈沁を救って顔を交換し、相国の娘として生活していたのだ。そして寧王への思慕のあまり、蕭寒声との婚姻から逃げて、沈沁の顔と十七の顔を入れ替えた。

 まさか、ずっと捜していた姉があの沈沁だったとは。

 廊下へ出た十七は膝に力が入らず、崩れるように座り込んだ。うしろから蕭寒声が抱いて支える。

「…将軍、皇宮へ行ったのでは?

「きみひとりで彼女と対面させるのは不安だったから」

 窓からそっと覗いていた蕭寒声は、ふたりの会話をすべて聞いていた。

「…とにかく姉さんに会わないと!

 もしも、いま寧王の身に何かあれば、姉は死を選ぶだろう。顔を元に戻すためにも、十七は姉を守りたかった。

「ずっと捜査していたが、皇太子殺害の犯人は寧王ではないようなんだ」

 当時、皇太子はぜんそくを患っていた。寧王が皇宮へ参内し、皇帝の前で釈明すれば、あるいは一命を許されるかもしれない。

 だが、誰が寧王を説得し、参内させるのか。

 そこへ、茯苓が来客を知らせてきた。蕭寒声と十七は裏門へ行く。

 そこには、十七の顔を持つ姉が立っていた。

 

 

 

 

 

 

<18集 大結局へ続く>