ドラマ「虚顔」第14集 | 江湖笑 II

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※「幻鏡閣」は4/26にて大結局です。

ドラマ「虚顔」

 

第14集

 

 

 

 

 

 

 

<14>

 

 

 相国府から送られてきた絵には、寧王と沈沁の”私房図”が描かれていた。

 雲諾に確かめても、描かれている女性は沈沁に見えた。

 だが、ここに描かれている沈沁や噂に聞く沈沁は、現在の蕭夫人と表情も気性も、そして食の好みも違う。

 蕭夫人である沈沁は、いったい何者なのだろうか。

 昼食時もそのことで頭がいっぱいだった蕭寒声は、習字の練習をする圓宝にうわの空だったことを指摘された。

「まだ来ていない雲叔叔の代わりに、私が軍師になってあげる!

「子供には分からないよ」

「じゃあ訊くけど、母さまが父さまのことをどう思っているか、知りたくない?

 立ち上がった圓宝が、離れから一幅の絵を持ってくる。絵を見た蕭寒声は、驚きのあまり一瞬言葉を失った。

「母さまが父さまを描いたんだよ」

「いつ!?

「初めて出会った時だって」

 絵には弓を引く蕭寒声が描かれていた。この姿を知る者は、あの女性しかいない。

「圓宝、父と娘のあいだで重要なのは何だった?

「厚い義侠心!

「その通りだ! それじゃあ、母さまが何と言っていたか教えてくれるな?

 圓宝が蕭寒声の耳元でささやく。蕭寒声はにやにやしながら、何度も聞き返した。

 

 

 寧王と沈沁を描いた”私房図”と、蕭寒声を描いた絵の両方に同じ句が添えられてあり、その下に同じ落款が押されていた。句は”朝花夕拾 心有戚柒”の8文字だ。

「描いたのは…十七?

 ”柒”は漆の意味だが、”七”の誤写や改ざんを防ぐために用いられる大字でもある。

 蕭夫人は、あの時に山寨で出会った十七という名の絵師だったのか。

 確認のため、蕭寒声は捜査途中で名前が挙がった鎏金坊の娼妓、盈袖を訪ねた。

「娼妓の絵を描く十七という絵師がいると聞いた。彼女は技術に優れ、文才にも秀でている。きみの友人らしいが…」

 盈袖は明らかに動揺していた。それを隠すため、酒を勧める。蕭寒声は一杯目を飲み干した。

「…そうです、親しい友人です」

「十七姑娘は、もう嫁いでいると?

 また盈袖が酒を勧める。蕭寒声は一気に飲み干した。

「十七姑娘は結婚しています。将軍、三つ目の質問をどうぞ」

 蕭寒声は持参した絵を卓に広げた。弓を引く蕭寒声の絵だ。

「この落款は十七姑娘のものかな?

「これは…!

 盈袖は言葉を詰まらせた。

「是非を答えてくれたらいい。判断は私がする」

 盈袖は短くはい、と答えた。

 それを聞いた蕭寒声は三杯目を飲み干し、礼を言うや否や立ち去った。

 盈袖は十七の秘密がばれたと直感した。

 

 

 顔がゆるんで仕方のない蕭寒声は、絵を描くのに夢中になっている十七に呼びかけた。

「十七」

 十七が反射的に返事をして、立ち上がる。

 確定だ。

 彼女は相国府の沈沁ではなく、蕭寒声が山寨で恋に落ちた絵師の十七だ。

 

 

 夜、蕭寒声は離れの部屋に鍵を掛けた。困り果てた十七が蕭寒声の居室へ来る。

 蕭寒声は長椅子のあった場所に文机を置いて、にやにやしながら”朝花夕拾”と紙に書いている。

「部屋にいないから鍵を掛けたのだ。ちょうどいいところに来た。墨を磨ってくれ」

 十七は仕方なく墨を磨る。だが、意地悪をする蕭寒声は、硯をあちらへこちらへと移動させた。翻弄された十七は怒る。

「将軍、私をもてあそんでいるのね! 鍵を下さい!

「鍵はたしか池に投げ入れたよ。私たちは夫婦なんだから、一緒に眠ってもいいだろう?

 呆れた十七が居室を出て行こうとする。その背中に、蕭寒声は声を掛けた。

「実は、この絵を見せようと思ったんだ」

 十七の前に絵を広げて見せる。

「この絵を見たことがあるかい?

 

 

 

 

 

 

<15集へ続く>