ドラマ「千金丫鬟」第21集 | 江湖笑 II

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※「幻鏡閣」は4/26にて大結局です。

ドラマ「千金丫鬟」

 

第21集

 

 

 

 

 

 

 

<21集 不許娶別人>

 

 

 このところ、董聴瑶は元気が無い。

「聴瑶、少し痩せたのかしら?

 老夫人に訊かれた董聴瑶は、熱い日が続いているので食欲があまりないと話す。

「それは、いけませんね」

 痩せていると婚礼衣装に映えないし、もうすぐ若奥様になるのだから、体調を整えて方家の跡継ぎを産まなければ、と老夫人は言う。

「あら、私もそれくらい出来ますわ」

 方天逸と腕を組んだ紀明月が応接間に入ってきた。

「天逸、顔色がよくありませんね」

「忙しかったものですから」

 ここ数日、方天逸は仕事と称して部屋に籠り、ナイフで受けた傷を癒していた。そのあいだ、彼は紀明月とも会っていなかった。

「董小姐、もうじき家族になるのだから、過去は水に流してくださいね」

「紀小姐、恐れ入ります。あなたは目上にあたるのですから、お気になさらないで」

 同年代とはいえ、紀明月は方天逸の妻となる。董聴瑶から見れば、方予澤の叔父の妻である。

 テーブルの上に金の腕輪を見つけた紀明月は、腕に嵌めてみたいからと方天逸のほうに腕を出した。ほほ笑みながら彼女の手を取った方天逸は、左腕に嵌めてやる。

 

 

 方天逸と紀明月の仲睦まじい様子を見せつけられた董聴瑶は、心中穏やかではなかった。董雁児に会いに行き、いつものように悩みを打ち明ける。

「雁児、彼がとても遠くに感じられてつらいわ。引き留めるには、もう遅いけれど…」

 突然、董雁児が暴れ出した。”少爺”には嫁がせないとわめく。

 なだめていた董聴瑶は、布団の中に折りたたんだ紙があることに気付いた。広げてみると、5桁の数字がいくつも並んでいる。

 雁児が、なぜこれを?

 

 

 庭で酒を飲む方天逸のところへ、紀明月がやってきた。董聴瑶の前ではまるで恋人のように接していたが、今の彼はにこりともしない。

 ところが董聴瑶の姿を見るや否や、紀明月を引き寄せた。董聴瑶が視線を向けていることを知っていて、わざと紀明月に顔を近づける。董聴瑶からは、口づけを交わしているように見えた。

 思わず董聴瑶は逃げる。

 そんな彼女の後ろ姿を目で追った方天逸は、すっと紀明月から離れた。

 

 

「今日の聴瑶はとりわけ美しいよ」

 純白のウェディングドレスを試着した董聴瑶は、大きな姿見の前に立った。方予澤が豪華なネックレスをつけてくれる。だが、着飾った彼女に笑顔は無かった。

 応接間にはほかに幾着ものウェディングドレスが用意されていた。

 ウェディングドレスを試着するもうひとり、紀明月が、方天逸にエスコートされてきた。

 董聴瑶を見た方天逸が目を奪われる。何度も紀明月に名を呼ばれて、やっと我に返った。

「…もう試着はいいわ」

 いくつも試着していない董聴瑶が、着替えに行こうとして方天逸の横を通り過ぎる。

 その時、董聴瑶がつまずいた。とっさに方天逸が支える。董聴瑶の手が傷がある方天逸の左胸に当たり、彼は一瞬痛みで顔をゆがめた。

「…ありがとうございます、二爺」

 体を離した董聴瑶は、方予澤に付き添われて応接間から大階段のほうへ歩いていく。

 方天逸は鏡越しに、遠ざかる董聴瑶の後ろ姿を見つめた。

 

 

 着替えた董聴瑶は廊下に出た。

 廊下の壁にもたれた方天逸がタバコを指に挟んでいる。

 いったん彼の前を通り過ぎた董聴瑶は、足を止めて振り返った。

「二爺、ご機嫌いかが?

「いいよ」

「…本当に紀明月と結婚するの?

「だから?

「できたら、止めてほしいの」

「何故?

「それは…嫌だから」

 嫌だ、とはずいぶんと都合のいい言い訳だ。

「董聴瑶、私があいつに嫁ぐなと言った時、おまえは何と答えた? 私はおまえの玩具じゃないぞ!

 

 

 

 

 

 

<22集に続く>