ドラマ「欽天異聞録」第6集 | 江湖笑 II

江湖笑 II

中国ドラマ・小説の各話あらすじです。完全ネタバレしております。
5/13より更新は
月曜~木曜:短劇「与鳳飛」(「寵妃凰図」続編)
金曜~土曜:短劇「難尋」

ドラマ「欽天異聞録」

 

第6集

 

 

 

 

 

 

 

<6>

 

 

「おまえ、たしか死んでるはずだろ?

 白洛書に言われた蘇建翊は意味が分からない。童肦秋もだ。

「白大人、もしや私を侮辱しているのですか?

「そうじゃなくて…」

 聖都へ入るためには、戸牌という身分を証明する札が必要である。死亡した場合、戸牌は戸部へと返還されるので、死者は城内に入ることが出来ない。

 蘇建翊は死亡したことになっているので、四年前に天策府から戸部へ通知されているはずだ。だから、死人である蘇建翊は聖都に入れないはずだった。

 ところがかれは聖都内の落花榻にいた。ということは、同様の方法で誘拐犯は聖都に入ったのではないか。白洛書はそう思ったのだ。

 鍵は戸牌だ。戸牌は蘇建翊の荷物の中だ。かれの荷物は…

「百草廬!

 

 

 やはり蘇建翊の荷物の中に戸牌があった。

「陸瑾?

 蘇建翊の名前ではない。陸瑾はかれの同僚の名前だ。しかし身分は青州商人となっている。軍籍ではなかった。

 余瓊を通じて戸部に問い合わせたところ、陸瑾の戸牌は精巧な偽造であることが判明した。

「ところで、失踪事件の進展は?

「まだ確たる証拠を掴めていません」

 余瓊に訊ねられた童肦秋はそう答えてから、蘇建翊の件を報告した。

「四年前に発生した天外奇石事件の手掛かりになるやもしれません」

「この期に及んで、まだこだわっているのか!

 一喝した余瓊は、三日以内に失踪事件を解決せよと童肦秋に命じた。

「天策府の男は、その戸牌で聖都に入りました。誘拐犯も同じ手口で聖都に侵入したと考えられます」

 戸牌の偽造について調べることが先決である。

「これほどの腕前を持つ者となれば…鬼市かもしれん」

「鬼市?

 鬼市とは、違法な物品を違法な価格で取り引きする場である。もちろん、出店者も違法なら、客も違法性を理解している。毎月十五日、満月の夜に、知る人ぞ知る聖都のある一角で開催される。集まる者は人族と異客だ。

 なぜ違法な場所を放置しているのか。実は鬼市には朝廷の貪欲な高官も関与していたのである。ひとりやふたりではない。そのため、欽天監といえども手出しは出来なかった。

 

 

 鬼市への案内人は酒屋の店主だった。誤魔化そうとする店主を、童肦秋と白洛書が店の封鎖を盾に脅す。

「役人は入れちゃいけないって規則なんですよ。…ところでお役人様は何のために鬼市へ行きたいんです?

「腕の立つ贋作師を捜している。少し質問するだけだ」

 根負けした店主は、小さな酒壺をひとつ出してきた。

「銀五十両です」

 童肦秋に促されて、しぶしぶ白洛書が払う。

 

 

 鬼市へ通じる道は、もともと聖都の内外をつなぐ通路だった。聖都に護国大陣が敷かれたため、鬼市と鬼市へつながる道は徹底的に隠匿された。

 その通路の通行料に五十両もする黄粱酒が必要であった。

 毎月十五日の亥の刻から子の刻にかけて、通路の現世側にある行燈に黄粱酒を注いで明かりを灯し、護国大陣をかく乱して鬼市に出入りするのである。

 夜を待ち、説明しながら歩く酒屋の店主に先導されて、童肦秋と白洛書は小さな渡し場にたどり着いた。店主が行燈に黄粱酒を注いでいるあいだに、白洛書は先へ進もうとする。

「ああ、待ってください!

 店主の注意が一瞬遅く、白洛書は透明な壁に額をぶつけた。

 

 

 

 

 

 

<7集に続く>