『金融政策の「誤解」』という本を読んだ。
この本は、2009年〜2013年まで日本銀行理事を務めた早川英男氏が2016年に出版した本である。
本著の「あとがき」に書かれているが、早川英男氏は36年間の日銀生活のうち、約3分の2はリサーチ部門で過ごしたという。
つまり、日本経済の分析においてはエキスパート中のエキスパートということだ。
タイトルにもある通り、本著の大部分は日銀の黒田元総裁が進めてきた、「QQE(量的・質的金融緩和)」についての考察である。
なお、著者の早川英男氏は、2013年以降の黒田態勢の日銀とは関係がない。
本を読み終えて、白川元総裁の著書「中央銀行 セントラルバンカーの経験した39年」の論調と似たものを感じた。
早川氏、白川氏ともに日本経済低迷の原因を、人口減少と成長率の低下だとしている点では共通していた。
また、「マネタリーベースを増やすとインフレにつながる」といったリフレ派の意見に否定的な点も共通していた。
早川氏も白川氏も、日銀という組織で働いたことの影響であるのか、データに基づいて記述しているので非常に信憑性があり、参考になることがたくさん書いてある。
本著を読んで、改めて日本の財政健全化への道のりが遠いということを痛感した。
QQEによって、長期金利が低下し、政府の財政規律が緩み、毎年巨額の財政赤字となっている現状が本著には記されている。
もちろん、QQEの「出口」は避けて通れない道だし、実際「出口」の場面になるとどうなるのかといった考察も詳しく書かれている。
日本経済の先行きが心配でたまらない。

