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【Episode16】(1) はこちらから

【Episode16】(2) はこちらから                 

 

 ホテル・デルーナ호텔 델루나

【Episode16】(3) 

ラストォ~~!

 

~サンチェスの店~

ミラとヨンスが、店に来てます。

サンチェス「どうして、突然、ミラさんの両親に会うことになったんだ?結婚でもしようとしてる同士みたいだ」

ヨンス「僕たち、この冬に結婚するつもりなんです」

えっと驚くサンチェス。

冗談で言ったのに、大当たり・・・みたいな(笑)

サンチェス「いやぁ、それなら、本当に重要なイベントじゃないか。こんなピザレストランで、彼女のご両親に会うなんて、変だろ」

ミラ「サンチェスがいるから、ここにしたのよ。うちの両親がどれだけ、あなたのことを信頼してるか知らないでしょ。私がアメリカから戻ってきたときだって、友達全員が、うちの両親から私を隠すのを手伝ってくれたのに、あなただけは、私がいる場所を両親にしゃべったじゃない。それで、ずいぶん、点数稼ぎしたのよね。うちの両親は、サンチェスのことを正直な先輩だって。」

サンチェス「まぁ、ご両親が僕を信頼してくれてるってきいて嬉しいけどさ、それでもまだ、君が、ご両親に彼を紹介する席に、僕にいてほしいって望んでるのかがわからないよ。」

ミラ「もし、うちの両親が、ヨンスさんのことを気に入らなかったら、説得するのを手伝ってほしいのよ」

サンチェス「なんで? 君たちの結婚だろう? 僕は、ヨンスさんのヒョン(兄さん)でもないのに」

ヨンス「僕には、挨拶をする家族がいないので、それで、ミラさんがとても心配しているみたいなんです」

ミラ「サンチェス! あなた、ヒョンになってくれない? ヒョン! ヨンスさんが本当に素敵な人なんだって、うちの両親に話してよ。いいでしょ?

いいえ、いいわ、いっそ、妊娠してるって話してよ」

呆れるヨンス。

サンチェス「なんで、そんな産婦人科医でもないのに・・・。俺はただのピザ屋の社長だぞ。まったく、変なことばかり言うんだから・・・」

ヨンス「ミラさん、ご両親に、そんな嘘をつく必要なんかないよ。もし、僕のことを認めてくれなくても、僕がご両親を説得するために、努力するよ」

ミラ「私はただ、あなたに、これ以上寂しい思いをしてほしくないの。あなたの家族になるのを待てないの」

ヨンス「ミラさん・・・」

感激したヨンスがミラの手を握るのを見て、固まるサンチェス。

サンチェス「別に、今年の冬に結婚しても、なんの問題もないだろうと思うけどね。」

 

~家電屋さん~

ミラ「あ~、冷蔵庫を選びにきたけど、なんだか、難しいわね。冷凍庫が大きいほうがいいでしょ。冷凍庫に入れておくものはたくさんあるんだし。」

あら、家電を選びに来たってことは、結婚のお許しは、すんなり出たんだね(笑)

あ、先に同棲するんだっけ。

ヨンス「でも、君は、そんなに冷凍食品を食べたりしないだろ。だから、冷蔵スペースの広いほうを買おうよ、そのほうが新鮮なものが食べられる」

ミラ「あなた・・・。あなたは、私と冷蔵スペースのどっち(を選ぶの)?」

は??

ミラ「あなたの私に対する愛は、冷凍庫のサイズと同じであるべきでしょ」

は??

ヨンス「俺は、北極と同じくらい愛してるけどね。だから、冷蔵スペースがたくさんある冷蔵庫にしよう!決定!」

ミラ「ああ、もういいわよ。私、家具を見に行くから」

さすがヨンス・・・、このくらいじゃ、もう動じないのね。(笑)

 

テレビ売り場を通り過ぎたところで、「ちょっと止まって」と声をかけられるミラ。

ミラ「チャン・マノルさん?」

マンウォル「結婚するそう・・・ですね」

ミラ「ああ、チャンソンから聞いたんですか?チャンソンもいるんですか? 一緒に来たんですか?」

マンウォル「ミルクティーを買いにいって・・ます。結婚するなら、頼みたいことがあるの。」

いちいち、丁寧語に言い直すマンウォル。

ミラ「ああ、ええ、この冬に結婚することになったんです。印刷が上がってきたら、招待状をお渡ししますね」

マンウォル「先に、贈り物をしたいの」

ミラ「私にですか?」

マンウォル「記憶に残るものを、あげたいのよ。さ、あれを見て」

壁に掛けられたテレビを見るように促すマンウォル。

催眠術に掛けられたような表情になるミラ。

マンウォル「ソンファ、ヨヌのこと、大事にしてあげなさい。もし、ヨヌを泣かせるようなことをしたら、ちょうど、あのテレビみたいに、あんたの人生をあげたり下げたりしてやるからね」

ぼう~っとしたまま、頷くミラ。

マンウォル「気に入った?」

ミラ「あ、ええ・・・・」

マンウォル「結婚のお祝いにこのテレビをあげようと思って・・・。あなたがそれを見て、私が言ったことをいつも覚えていることを願ってるわ」

微笑むミラ。

 

~公園~

チャンソン「ミラに何を言ったんですか?」

マンウォル「別に。ただ、旦那さんと一緒に、テレビをみて、幸せな生活を送ってねってだけよ」

スマホを取り出すチャンソン。

文面を読んでびっくりする。

チャンソン「ミラに、結婚祝いをあげたんですか?」

マンウォル「ああ。あの二人が冬に結婚するって聞いたからね。どんなものでも買ってあげることができないでしょ。冬にはもう、私はここにはいないから・・・」

そこかしこに、カウントダウンの地雷は埋まってるのね。

黙ってしまうチャンソンの手を握るマンウォル。

マンウォル「客室長が今日、ここを去るわ」

空を見上げ、「満月はもうすぐね」と呟くマンウォル。

同じように、空を見上げるチャンソン。

 

麻姑神≪お前の月の宿屋は、次の満月まで存在するだろうよ

 

チャンソン「ずいぶん、手が冷たくなってますよ。暖かい飲み物でも買って来ましょうか?」

マンウォル「ううん。気持ちいいわ。まるで冬みたいに感じる・・・」

チャンソン「ところで、どうして、彼女にテレビなんか?」

マンウォル「あのテレビの画面が、横や縦に回転したりするのが気に入ったのよ」

チャンソン「それのどこが?」

マンウォル「たいしたことじゃないわ」

チャンソン「あなたは、ヨヌのことを覚えているんですね?」

マンウォル「ヨヌって誰よ?」

覚えていない振りをするマンウォル。

チャンソン「もはや、あなたのことを最も愛している人間は、ヨヌじゃありませんよ」

マンウォル「わかってる。客室長でしょ」

やれやれ・・・なチャンソンと、楽しそうに笑うマンウォル。

 

~デルーナ 客室~

恋人たちのジョークの出しに使われた客室長様が、最後の、客室チェックをしています。

感慨深げに廊下を振り返るソフィ。

ソフィ「これで、全ての客室が空室になりました」

月のマークの社員バッチを外すソフィ。

 

~リムジンタクシー乗り場~

とうとう3人組の最後、ソフィを見送る番になりました。

ソフィ「社長様。お先に、行きますね。これまでの長い間、置いて頂き、そして、守っていただき、ありがとうございました。」

マンウォル「客室長のおかげで、とても重要な局面のいずれの時も、とても大切なことを学ばせてもらったわ」

胸がいっぱいになるソフィ。

マンウォル「ありがとう」

ソフィ「ク・チャンソンさん」← もう ク支配人様とは呼ばないのね。(涙)

ソフィのほうを見つめるチャンソン。

ソフィ「あの時、あなたを13号室に入れようと提案したのは、私だったんです。それについては、ずっと罪悪感をかんじてました。ごめんなさいね。」

チャンソン「平気です。もし、あの日、13号室に入らなければ、あのような機会を得ることはできなかったでしょう。」

ソフィ「もし、あなたが完璧な人生を手に入れたとしても、あのトラ柄のスーツを人前で身に着けてはいけませんよ。すべてを一瞬で失いますよ」

真顔なソフィ。

思わず、笑ってしまうマンウォル。

チャンソン「こころしておきます」

 

ソフィ「社長様、お別れを言うときになって、突然ですけど、私がはじめて、満月堂を訪れた日のことを思い出しました。」

もう、マンウォルの涙が決壊寸前。

 

~約200年前の満月堂~

マンウォル≪なにしにいくつもりだ? 包丁を盗んで、あの一族の誰かを殺すつもり?≫

包丁を固く抱えるソフィ。

ソフィ「私の娘、そして、自身の娘を殺したあの男が、新しい子供を迎え入れたらしい」

マンウォル「お前には、そんな包丁なんかでは誰も殺すことなど出来ないよ」

ポンと、ソフィの前に、剣を放り投げるマンウォル。

マンウォル「これを使えば、少なくとも、数人くらいは殺すことができるだろう。そのあと、お前はいつも願っているとおり、捕らえられ、煙のように消滅する。だが、お前が、本当に殺したいと思う人間は、大切な娘を守り切れなかったお前自身のはずだ

にらみつけるソフィ。

マンウォル「もし、ここにとどまり、来世に行けば、新しい人生を送ることができるが、お前はそんなことは望んでいない。既に、お前自身を嫌っているからね。つまり、お前がこの機会でさえ、捨て去りたいと思っているはずだ」

短剣を持つ手が震えているソフィ。

マンウォル「どっちにしろ、お前は、この場所での、最適な働き手になるかもしれない、永遠の死を切望しているからね。」

ソフィ「あなたも同じことを望んでいるのか?」

鼻で嗤うマンウォル。

マンウォル「私の中に、それ(修羅)を見たせいで、神は、ここに縛り付けたに違いない」

包丁を下ろすソフィ。

 

ソフィ「あの日が始まりでした。

私は、恨みを抱きながらあなたに寄りかかり、待ち続けていたため、あなたに変わってほしくなかったのです。

地獄の燃えるような穴に入ることを受け入れていたことを思えば、私たちがこの世界を、こんな風にまともな形で去っていけるなんて、驚くべきことです。本当に良かったです。おめでたいことなんですから、泣くのは止めましょう。笑って、逝くことにします。それでは・・・」

目礼するチャンソン。

その時、「客室長・・・」と呼び止めるマンウォル。

マンウォル「一度だけ、抱きしめてもいいかしら?」

同じ修羅のような恨みを抱いてきた同志をねぎらうかのように、だきしめながら、ソフィの背中を優しくポンポンと叩くマンウォル。

微笑むソフィ。

ソフィ「泣いてしまいそうです、どうして、泣かせるようなことをするんですか?」

本当の家族のように、別れを交わす二人をただ、見つめているチャンソン。

ソフィ「あなたを見ていて、つらくなるときが何度もありました。こんなふうに、一度でもあなたを抱きしめてあげたかった・・・」

マンウォル「客室長、あなたには、何度も救ってもらったわ。ありがとう」

リムジンに乗り込み、静かに出発するソフィが、はじめて、心からの笑顔を見せる。

悲しみに暮れるマンウォルを支えるチャンソン。

 

~麻姑神シスターズの薬局~

チャンソン≪僕たちに残された時間は、あと、どれくらいですか?≫

麻姑神(薬師)≪今日の・・・月が満ちた頃、ホテルの全ての力が集められることになる。すべては消滅する。チャン・マノルも旅立たねばならない≫

チャンソン≪聞きたかったことがあるんです、なぜ、私は選ばれたんですか?どうして、僕を選んだんですか?≫

チャンソンの胸を指さす麻姑神。

麻姑神≪月の夢を見る花は、まだ最後の夢を見せていないようだね≫

 

~ホテルデルーナ ロビー~

目に映る一つ一つを、焼き付けていくかのように、ゆっくりと、ロビーを歩くマンウォル。

マンウォル「・・・私一人きりね。始めた時のように・・・」

フロントの壁に掲げられた5人で写した、笑顔の写真を見つめる。

 

フロントデスクの下にもぐってさぼっていたのを見つかった時のヒョンジュンが、言い訳たらたら、一生懸命仕事をしてみせる姿。

宿泊客から頼まれた品を届けに行きがてら、別の宿泊客の要望を伝えていくソフィ。

新しいカクテルが出来たから味見をしてくれ、と話しかけてきたかと思えば、文句を言いまくってるソンビ。

 

どこを見ても、みんなの思い出が染みついている。

 

遊園地、ビーチ、スカイバー、ロビーと、一つ一つ、見て回るマンウォル。

常に変わらずに、自分を見つめていた3人組が消えてしまい、涙を拭うと同時に、エレベーターからチャンソンが現れる。

微笑むマンウォル。

マンウォル「最後の1人の宿泊客を見送る、ク・チャンソンがやってきたのね・・・」

 

え~~~、ここで、『アンニョン』がかかっちゃったら、心臓がもたないわ~~~。

 

階段を上り、マンウォルを迎えに行くチャンソン。

マンウォル「ク・チャンソン、なんだか眠くなってきちゃった・・・。眠ってしまいそうだわ。このまま、眠ってしまえば、まるで夢を見ているみたいに、ここを去ることができるのかな」

ゆっくりと、チャンソンの胸に、身体を預け、目を閉じるマンウォル。

チャンソン「眠りに落ちるまで、ずっとそばにいますよ」

それを聞き、口元で笑みを浮かべるマンウォル。

マンウォルを抱きかかえ、階段をゆっくりと昇っていくチャンソン。

 

~マンウォルの部屋~

ベッドに入り、チャンソンに腕枕をされながら、目を閉じているマンウォル。


チャンソン(今、長い時を超えて、そこで月を夢見ている花を抱いてきたあなたに巡り合いました。)


一緒に、目を閉じるチャンソン。

 

~回想~

チャンソンの前世の少年「“満月”って意味だよね、可愛いな。 月の宿屋って呼ばれてる場所があるんだって。」

 

~デルーナ~

麻姑神(ピンクさん)が、ひょっこりと、誰もいなくなったデルーナに現れる。

 

廊下で、ピンクさんに挨拶をするチャンソン。

麻姑神「まだ、ここにいたのね。」

チャンソン「まだ、この場所は存在してますから・・・。なにか御用でしょうか?」

麻姑神「少し前に、私、このホテルを訪れた新婦のために持ってきたハサミを、ここに置き忘れてしまったのよ。覚えてないかしら?」

チャンソン「手放すのは、それを掴んでいるよりも、もっと大きな愛が必要だとおっしゃってましたね。あの新婦様のために、あなたはハサミを貸してさしあげた」

そこまで知ってるのね、と茶目っ気な表情を浮かべるピンクさん。

麻姑神「そのとおりよ。ただ、それを戻してもらうのを忘れちゃったみたいなの。」

チャンソン「それでしたら、僕が預かってます」

麻姑神「まぁ・・・それは良かったわ」

 

ハサミを手渡すチャンソン。

麻姑神「大切なハサミを見つけてくれたお礼をしないとね・・・」

チャンソン「あなた方神様は僕が望むときには姿を見せることはありませんが、必ず、見返りをくれますよね。」

麻姑神「さて、なにが望みかしら?あなたと、あなたの心を傷つける誰かとの絆を断ち切りましょうか?」

チャンソン「・・・・僕たちの縁は、まだ、つながっているんですか?」

するどいチャンソン!!

麻姑神「・・・・・!」

チャンソン「あなたには、見えてるんですか?まだ、切れる絆が残されているんですね?」

麻姑神「ああ、それは・・・・その・・・私には答えられないのよ」

へたこいて、困り果てるピンクさん。

チャンソン「それなら、結構です」

立ち去ろうとしたとき、もう一度、ピンクさんのほうに向きなおるチャンソン。

チャンソン「お願いしたいことがあります。時間をさかのぼらせてください」

麻姑神「それは・・・・」

チャンソン「できるじゃないですか。必要な時には、やらせたくせに・・・」

麻姑神「それはそうなんだけど・・・でもね・・・」

チャンソン「短時間でもいいんです。どうか、僕に、彼女と一緒に、冬の景色を見させてください」

 

~巨木の庭~

不思議そうに、チャンソンを見つめるマンウォル。

ゆっくりと、マンウォルの手を引きながら、月の木の反対側に回るチャンソン。

月の木に雪がちらついているのを微笑みながら見上げる。

マンウォル「雪ね・・・。本当に、ここは冬なのね。まだ、私、夢を見てるの?」

チャンソン「あなたが望んだとおり、僕たち、一緒に冬を過ごしているんですよ」

マンウォル「これは、いつの冬なの?」

チャンソン「おそらく、僕たちが共有した過去の時間か、もしくは、僕たちが将来、一緒に共有するであろう瞬間からでしょうか。どちらかなのか、僕にはわかりません。ただ、どちらにせよ、一緒に過ごしている冬です。」

マンウォル「ク・チャンソン、私、あなたの夢を見たわ」

そう言われたチャンソンが、マンウォルの手のひらに、マンウォルのマークを指でかいて見せる。

マンウォル《マノリ・・・、月》

 

チャンソン「“満月”って意味だよね。可愛いな」 

夢と同じセリフを話すチャンソンに、笑顔を見せるマンウォル。

マンウォル「本当に、長い時を超えて、また会うことが出来たのね」

頷くチャンソン。

マンウォル「それなら、過去にもこうして、何回か雪を見たことがあったのかな?」

チャンソン「僕は、僕たちの未来でも、一緒にこうして雪を見ることができると願ってます」

マンウォル「そう? それなら、この雪がもっときれいに見えるわ・・・」

飽くこともなく、空から降る雪を見上げ、お互いを見つめあう二人。

 

~三途の川駅のトンネル~

二人っきりで、トンネルの入口に立つマンウォルとチャンソン。

チャンソン「死神を呼ばずに、一人で逝くつもりですか?」

マンウォル「私は、ここでもう長い間、主人をしていたのよ。自分で逝くわ」

このマンウォルのコートファッションは、もしかして、満月をイメージしたスモーキーゴールド?

頷くチャンソン。

チャンソン「勇敢ですね」

マンウォル「ク・チャンソン、この瞬間が来た時、あんたになんて言おうかって、数え切れないほど考えたわ。“ごめんね”、“ありがとう”、“元気でね” あんたに伝えようと、かっこいい言葉もたくさん思いついたのに、いざ、この瞬間がきたら、頭が真っ白になっちゃった。」

一言ももらさないように、じっと、そんなマンウォルを見つめているチャンソン。

マンウォル「ただね、ずっとあんたに、側にいてほしかった・・・。ずっと、会い続けていたかった。あんたを残して、ここを離れたくないの・・・。」

たまらず、流れてしまった涙をふりきろうとするマンウォル。

マンウォル「私は、少しも強くなんかない。弱い人間だけど、あんたの前では強がってみせてたの。あんたのために、ここを去るのを止めようとしたくらい・・・」

チャンソンの頬に手を添えるマンウォル。

マンウォル「ごめんね。」

マンウォルの手を掴み、同じように、マンウォルの頬を伝う涙を拭うチャンソン。

チャンソン「まさにここでしたね。あなたを見送るときには、決して寂しがらないように、と私に言ったのは。それも、つよがりだったんですか?」

マンウォル「あの時は、こんなにあんたのことを好きになるなんて、わかってなかったの・・・。私、今まで、こんなに誰かを愛するようになるなんて思ったこともなかった・・・、ほんと、バカみたい」

素直に自分の気持ちを打ち明けてくるマンウォルのことがたまらなく、いとおしくて、抱きしめるチャンソン。

涙がとまらないマンウォル。

マンウォル「私ね、前には、将来のことなんて一度だって、考えたことなんかなかったけど、今、あんたに言える言葉は、これだけしかない。」

身体を放し、まっすぐ、チャンソンの目を見るマンウォル。

マンウォル「私たち、来世でもまた必ず、会いましょう、どんなことがあっても必ず会いましょう。ん? ん?」

頷くだけで精一杯のチャンソン。

泣き崩れそうになるのを必死におさえるマンウォル。

マンウォル「ク・チャンソン、私を見守り、世話をやいて、守ってくれた。本当にありがとう」

チャンソン「元気で・・・、元気でいてください、チャン・マノルさん」

ひとしきり涙をこぼし、無理やり涙をとめると、トンネルの奥へと視線をうつすマンウォル。

つないでいた手を離す二人。

 

一歩ずつ、トンネルを入っていくマンウォル。

けっして、振り向くことなく進んでいくマンウォルを、その場にとどまり、見送るチャンソン。

たまらず、口元を押さえ、嗚咽を堪えながら、マンウォルの姿が霧に消えていくまで、立ち尽くす。

 

そして、少しずつホテルが消えていく・・・。

 

夜が明けて、それでも、まだ、トンネルの前で、立ち尽くしているチャンソン。


チャンソン(こうして、僕の愛する月は、僕の夜と夢を飲み込んだ後に、消えていった・・・。あんにょん・・・)

 

麻姑神≪消失を目撃したとき、悲しみと失望を感じるのは自然なことだ。花が枯れたとき、また、新しく咲く花を夢見るように、お前さんも生き、出会い、そして再び愛するようになるんだよ。それが、傲慢で、愚かで、大袈裟な、まだ、美しい恋人同士のお前たち二人が選んだ答えであることを願っているよ。≫

 

三途の川にかかる橋を渡りながら、不敵な笑いをうかべる、ユリの花をもったマンウォル。

え? これ以上、なにがあるの(笑)

これ以上ないくらい、晴れやかな笑顔で、一歩一歩、しっかりと進んでいくマンウォル。

 

******************

~サンチェスとチャンソンの家~

本当の冬がきました。

雪がちらつく純韓屋の庭に、ちょっとだけ場違いなクリスマスの電飾が飾られている。

いつものごとく、「ブォン ナターレ(メリークリスマス)!」とイタリア語で叫ぶサンチェス(笑)

サンチェス「うう、寒い。おい、チャンソン。」

 

部屋で荷造りをしているチャンソン。

髪型がちょっとおしゃれになってるわ。。。

サンチェス「チャンソン、おい、本格的に冷えて来るぞ、ニューヨークもソウルと同じくらい寒いんだからな、冬物の服を忘れるなよ」

チャンソン「落ち着いたら、俺の荷物、送ってくれるだろ?」

サンチェス「いいよ。持てるだけのものを持っていけば、俺が訪問するとき、残りを持って行ってやるから。明日、昼食一緒にどうだ?」

チャンソン「実は・・・予定があるんだ」

 

~図書館~

待ち合わせしたチャンソンを待っているユナ。

ユナは、ヒョンジュンから戻された懐中時計を大切に持ってるのね。

ユナの前に腰をおろすチャンソン。

チャンソン「元気でやってたか? キム・ユナ?」

ユナ「はい」

チャンソン「試験はどうだった?専攻は何にしたんだ?」

ユナ「ホテル経営学です。私も、ホテリアになりたいんです」

チャンソン「おお~、じゃ、いい点数を取らないとダメだろう」

ユナ「たぶん、来年には・・・受かると思います」

にっこり笑ってみせるチャンソン。

ユナ「だって、幽霊たちが、私をみては、邪魔ばっかりするんですよ。でも、支配人様がくれた薬のおかげで、もう、どんな幽霊も見えなくなりました。だから、勉強に集中できるようになってます」

え?え? あの薬、ユナにあげちゃったの? 

ユナの場合は、ユナの身体とスジョンの霊が分離して入ってるけど、それでも効力があるの?(笑)

チャンソン「よかったじゃないか」

ユナ「支配人様も、私にくれた薬を飲んだんですよね?もう、幽霊を見ることはできないんですよね?」

その問いには答えないチャンソン。

この角度と表情が、個人的には好みです。

 

******************

図書館に寄贈した白頭山の絵の前に立つチャンソン。

 

チャンソン≪あのトラは、絵の中に戻ったあと、見たかったものを全て、目にすることが叶ったんでしょうか?≫

マンウォル≪あのトラは、他の人ができなかったことを見て、ほとんど夢の中で生きてきたんだから、幸せだったわよ≫

 

絵を見つめているチャンソンの背後に近づいてきた麻姑神(長女)。

チャンソンに用があったのかと思ったら、図書館にいる幽霊に、ユリの花を渡している。

受け取りを拒否している女子学生の幽霊。

 

チャンソン(他の人が、決して知る事のない秘密の世界の記憶。ここにあなたがいた・・・。

そして、僕は、まだ、あなたとの約束を覚えています)

秘密の世界って、ノ支配人から、最後に庭で言われた言葉だったのね。(2話(2))

ノ支配人「あなたの仕事を通して、誰も知ることのない秘密の世界を、あなたは見つけ出せるでしょう。おもしろそうだとおもいませんか?」

 

~快晴の公園~

すでに、転生をしたのか、ジョギングをするソンビ(に似た人)

犬を散歩させるソフィ(に似た女性)

バスケットボールを拾い上げ、ソフィとおしゃべりをするヒョンジュン(に似た男子学生)

 

少し離れたベンチで、一人、本を読んでいるチャンソン。

題名は、もちろん『存在と時間』です。

そこに、一歩ずつ、近寄ってくるマンウォル。

本を傍らに置き、二人、並んで座る。

何も言わずに、チャンソンの肩にもたれるマンウォル。

チャンソン「早かったですね。もっとかかるかと思ってたのに・・・」

マンウォル「あんたが待ってると思ったから、急いだのよ」

 

チャンソン:いつの日か・・・、

マンウォル:いつの日か・・・、

チャンソン:僕たちの人生のどこかで、再会するとしたら、

マンウォル:その日がきたら、ずっと一緒にいたい

マンウォル:そして、私たちは、お互いを見つめながら、夢を見て、抱き合って、笑い合って、一緒に幸せに暮らしたい。

 

目を閉じて、肩を寄せ合いながら、一緒に過ごすチャンソンとマンウォル。

 ここで、『ホテルデルーナ』の物語は

一旦、幕を閉じます。

 

でも、評判通り、続きがあります。。

 

~ホテル・デルーナ 番外~

妹たちを睨みつけている麻姑神(長女)。

麻姑神(長女)「重要な発表があると言ったのに、他の者たちはどこだ?まだ、朝鮮時代に、6人もいるのか?はっ、信じられない。なんで、我々12人は一度に集まることができないんだい?あいつらがそんなに忙しいはずがないんだ」

麻姑神(ピンクさん)「ここにいない人には、個別に伝えればいいでしょ」

麻姑神(4番目)「それで、発表したいこととは何なのだ?」

麻姑神(長女)「うむ。。ようやく、月の宿屋の驚くべき新しいオーナーを選んだよ。他に行く場所のないさまよう魂は、彼らの想いを伝えるために滞在する場所を持たなければならないからね。」

麻姑神(薬師)「それで、新しいホテルの名前はなんていうの?」

麻姑神(長女)「ああ、それかい、それはね・・・・ホテル・・・・あれ、なんと言ったかね?ちょっとお待ち。一体、どうしたんだっけ?なんで、思い出せないんだろう」

 

ホテル ブルームーン

 

エレベーターが開き、ゆっくりと、姿を現す新しい主人。

ウィスキーのグラスを片手で、くゆらせながら現れるなんて・・・・(笑)

ちゃんと丸氷よ。

 この手! 指!




スタッフが両側に並んでいる中を、一口飲みながら、ロビーを進んでいく。

階段の途中で、振り返りました。

これよ、これ。。。シルエットですら、イケメン。

チャンソン、チャンソン、言ってたくせに、という声は聞こえません!

 

はい、キム・スヒョン(カメオ出演)です。


「月が昇ったな。営業開始だ」

 

月夜に、輝きを放つ『ホテル ブルームーン』

 

★『ホテルデルーナ』16話(最終話)完了雑感★

完走しました。

時間かかりましたが、楽しかったです!

 

初回から16話まで通じてみると、様々なオマージュを含む遊び心とカメオ出演が満載で、それでいて、死や転生を扱う基本的な部分では、おふざけ感は排除したというスタンスのドラマだったように思います。

まずは、マンウォルの衣装というか、コスプレというか、見た目も楽しませてもらってました。ハイブランドで揃えたわけではないので、そんなに高額ではなかったらしいですが、それでも、数と種類で勝負(笑)。

そうでもしないと、幽霊の恨み晴らしますメインの陰気臭い話になっちゃうしね。

 

さて、ドラマ本編についての感想は、各話の終わりにあーだこーだ、書いたりしてますが、いつもの如く、非現実を扱うファンタジーロマンスなので、回想シーンや、前出しヒントシーンが多くて、序盤は、いまいち、キャラクターが掴めないんですよね。

内容が掴みづらい&「話し言葉が不統一」などなど、自分でも迷ってんな~~~的な言い回しが多いです。(恥)

このドラマの世界観を確認したくて、時折、『とっけび』で描かれた死後や死神などの世界観を引っ張って来たりしてましたが、巷で話題になったように、二つの作品を比較するつもりは毛頭なく。

死後の世界の展開上、共通点があればおもしろく、違えばまた、新鮮で。。。

 

その代わり、今回のメインカップルは、終息に向けて動いていくことがわかりやすかったので、そこの部分は、迷いがなく、見やすかったと思います。

麻姑神の言葉を借りるなら、「傲慢で、愚かで、大袈裟で、美しい恋人」たちの耀きを、今回も楽しめました。

もちろん、二人のキャラクターがちゃんとしてこそのロマンスでした。

 

さて、最後はやっぱり、

 ★『ホテルブルームーン』へようこそ(笑)★

 と、リンクを貼りたい気分ですが、まぁ、予約の難しいホテルなので、無リンクにしておきます。

 

今回も、長ったらしい文をお読みいただきまして、ありがとうございました~~!