つづきです。 

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【Episode12】(1) はこちらから

【Episode12】(2) はこちらから                 

 

 ホテル・デルーナ호텔 델루나

【Episode12】(3)

 

~巨木の庭~

麻姑神(長女)「マノリがこんなに、見事になるとは思ってもみなかったよ」

引導使者「花が落ちてしまえば、月の木も終わりを迎えるのですか?」

麻姑神「そうだよ。月の木の死は、木に結び付けたあの子の死も意味するんだ」

使者「チャン・マンウォル社長もついに、来世に逝くことができるんですね」

麻姑神「最大限に開花した彼女にとっても、そして小さな光(ホタル)として残っていなければならなかったその人にとっても、ずいぶん長い時間だったよ」

麻姑神の視線の先には、1匹のホタルが飛び回っている。

麻姑神「私が来世に連れて行こうとした時、彼は引き返したんだよ。彼も、こんなに長い間、ここにとどまることになってしまった・・・」

ああ、あのリヤカーから、一匹だけはぐれたホタルは、やっぱり、チョンミョンの魂だったんだね。

 

月の枝の周囲を飛び回るホタル。

麻姑神「お前も、もう行くべきなんだよ」

慈愛に満ちた目でホタルを見つめる麻姑神。

 

~1000年前~

荒野で、顔を合わせたマンウォルとチョンミン。

ケガをして隠れていたマンウォルとの再会。

月明かりの中、“満月”という字を手でなぞらえてみせたこと。

マンウォルの印の銀細工のかんざしを持って、月の入り江で待っていたチョンミン。

ヨヌを処刑され、恨みを抱き続けてきたマンウォル。

 

使者「麻姑神様が、連れて行かないようにと言われたので、放っておきましたが、人間の魂がこれほど長い間、蛍としてとどまることができたのは、驚くべきことです」

麻姑神「それこそが、あの者が自分自身にかけた呪いだからだよ。マノリと交わした約束のせいで、蛍となって、あの子の側にとどまったんだ。」

使者「チャン・マンウォル社長は、花を咲かせたク・チャンソンの負担を軽減するために、私と取引をしました」

麻姑神「マノリは、チャンソンが支払わなければならない代償について、まだ、何もわかってないようだね。もしも、彼女がそれに気づけば、悲しく恐ろしい思いをするだろうねぇ」

 

~クリニック~

チャンソンが、じっと自分の生命線を見つめているに気づいたマンウォル。

マンウォル「緊張してるの? あんたの生命線が取られるかもしれないって・・・。あんたは、長生きしたいんでしょ。心配することはいわ。あんたは長生きするから。」

チャンソン「・・・彼の両親が他人の生命線を自分たちの息子に移植しようとする気持ちを理解しようとしてました。」

チャンソンの手のひらに、自分の手のひらを合わせるマンウォル。

マンウォル「私があんたを守ろうとする気持ちと同じだから、彼は、あんたを連れていくことはできないわ。私は、ただ、あんたの生命線を守るだけ・・・」

手のひらを握り返すチャンソン。

チャンソン「あの人たちも、自分たちの息子を手放したくないだろうと、確信してます。彼らも、必死に息子の手を握っているにちがいありません。」

無言で、見つめ合っちゃう頻度が多くなってます。。。

 

入り口から入ってくる院長夫妻。

医師「もう来ていたんだね。では治療室に行きましょう」

メスを消毒する医師。

医師「これは、あなたを傷つけたり、害を与えるものではありません。ほんの1センチほど切り取るだけです」

自分の手のひらを見つめるチャンソン。

チャンソン「あなたはお子さんに与えるために、生命線を切っているんですか。あのあと、あなたには、病気の息子さんがいらっしゃると伺いました。」

メスを置き、座りなおす医師。

医師「息子は重い病気です。アメリカで生命線の手術について聞いたあと、失うものなどなかった私は、それを試してみました。本当に奇跡的に、息子は生き返りました。」

チャンソン「あなた方は、まだ、お若いでしょう。お二人にとって、かなりの試練だったに違いありません」

医師「息子はまだ幼いのに、家内と私はまるで老人のようでしょう。他の人は、我々をあの子の祖父母だと思っているはずです。」

ロビーで、心配そうに、治療室の様子をうかがっている奥さん。

その隣には、マンウォルが控えている。

 

息子の病室に入るマンウォル。

マンウォル「こんばんは。本を読んでいたの?難しい本ね。」

ヒョンジン「難しくないよ」

マンウォル「そう。私、自慢する人間が好きなのよ、だって、本当に知的だから。あなたも気に入ったわ」

ヒョンジン「アジュンマ、直符使者なの?いつも、手術を受ける日になると、夢の中で黒い服を着た男の人を見るんだ」

マンウォル「その人と私とでは、黒い服を着てても、ファッションコンセプトがまったく違うの。あっちは、ただ、黒い服を着てるだけ。でも、私は、ダークブルーをヒントにしたミッドナイトブラックを着てるのよ」

ヒョンジン「ミッドナイトブラックも、ブラックも、同じでしょ」

少年にやり込められるマンウォル。(苦笑)

マンウォル「そう? どっちにしても、彼のやってることと似てることをしに、ここに来たの。

私はね、あなたの意志に反して、あなたを連れていくことはできない。あなたは賢い少年だから、私の話をよく聞いて、それについて考え、そして、自分で決断を下しなさいね。」

じっと、自分を見下ろしているマンウォルを見つめる少年。

マンウォル「あなたのお父さんやお母さんが、突然、年を取ってしまったことは気づいてるでしょ?」

ベッドサイドの写真を見つめる少年。

明らかに、それほど昔の写真ではないのに、若々しい院長夫妻。

ヒョンジン「これのせいなの?」

自分の腕に延びる筋をマンウォルに見せる。

マンウォル「そうよ。あなたのそこにつけられたものは、あなたの御父さん、お母さんの命そのものなの」

 

~治療室~

チャンソン「あなた方が代償を支払ったことで、あなた方の子供を救いたいという必死な願いは聞き届けられました。あなた方は、他人の命を買ったわけではなく、ご自身たちで、あなたのお子さんに命を与えていたんです。それが、あなた方が急激に年をとってしまった理由です。」

医師「あなたが何をご存じなのか、知りませんが、私の息子は生きていられるなら、何を取られようとかまいません」

チャンソン「悲しいことですが、お子さんは、自分自身で決断しなければなりません。お子さんが選択をしたら、あなた方は、彼を手放さなければならないのです」

急に立ち上がる医師。

俯くチャンソン。

 

息子の病室に駆け付ける夫を見て、妻もそのあとに続く。

「ヒョンジナ・・・、ヒョンジナ!」

「起きて、ヒョンジナ!ねぇ、一体どうしちゃったのよ、あなた?」

身体をさすられたヒョンジンの腕は、きれいに線が消えている。

「ダメよ、ダメ、まだ、だめよ。ねぇ、一体、何がおきたの?」

泣き崩れる両親。

その様子を病室の入り口に立ち、泣きながら見ているヒョンジンの霊。

となりにはマンウォルが立っている。

そこへ、下からあがってきたチャンソン。

言葉もなく、ヒョンジンの霊を見つめるマンウォル。

 

~スカイバー~

引導使者「チャン社長が解決してくれて、本当に良かった。もし、来るのが遅かったら、彼ら3人の命を奪わなければならないところだった」

マンウォル「・・・彼の両親は、それを望んでいたかもしれない」

 

~回想~

病室での会話。

ヒョンジン「もし、僕が一緒に行ったら、僕のパパやママは、すごく悲しがるでしょう?」

マンウォル「それは、あなたが心配することじゃない。それは、残されたものたちがすることだからよ」

ヒョンジンの腕をそっと撫でるマンウォル。

ヒョンジン「でもね、僕はそれが本当に怖いよ」

こんなに幼くても、あとに遺す者を苦しめることを恐れるヒョンジンに、自分の姿を重ねるマンウォル。

 

~スカイバー~

マンウォル「“怖かった・・・”」

使者「そう恐れることはない。約束したとおり、悪鬼は見つけてやる」

マンウォル「そうね。もう誰も怖がるものがなくなるように、急いで見つけてちょうだい」

 

~支配人室~

ソファに横になりながら、自分の手のひらを眺めているチャンソン。

 

医師≪もし、すべてを渡すことになっても、まだ、手放すことなどできません≫

その言葉が、まるで、自分の言葉のように思えて、目を伏せるチャンソン。

 

~ロビー~

ユナの勉強を見ているヒョンジュン。

ユナは、英語のつづりに難あり。

間違えたら、おでこに、しっぺです。。

「あ、痛っ」

おでこにふ~ふ~するヒョンジュン。

「こうしたくて、わざとやったでしょ」

「押しても、なんの助けにもならないじゃないか」

 

そんな仲睦まじい様子を、見ているソンビとソフィ。

ソンビ「あれを見て、どう思う?」

ソフィ「インターンとフロント係は、仕事中にデートしてますね」

ソンビ「なんてこった・・・。インターンはまだ、ここに来はじめたばかりだろう。もう付き合いはじめるとは、とても信じられない」

ソフィ「あの子たちは若いんです。男と女が一緒にいれば、親しくなるのは当然です。この世であろうと、あの世であろうと、変わらないものですよ。」

ソンビ「さぁ、我々は200年も一緒にいるが、いまだに、仕事上の付き合いだが。。。」

ソフィ「・・・・2000年一緒にいようと、そんなことにはなりません。キム・ソンビ様は、私のタイプではありませんから。夢にも思わないでください」

ソンビ「夢?何も夢なんかみないぞ。」

呆れて、立ち去るソフィ。

ソンビ「おい、話は最後まで聞いていかぬか。私も、絶対、そんなんじゃないぞ」

 

~サンチェスとチャンソンの自宅~

出勤しようと準備をして出て来たチャンソン。

サンチェスがイタリアから戻ってきた。。。

驚くチャンソン。

チャンソン「もう戻ったのか?」

サンチェス「ああ」

まだ、意気消沈してるサンチェス。

 

~サンチェスの店~

ピザ生地をこねているサンチェス。

客席についているチャンソンと、マンウォル。

マンウォル「サンチェスが葬儀に行ったあと、様子が変だって? なにがあったの?」

一応、気に掛けるマンウォル。

チャンソン「実は、そのことで話があるんです」

 

~回想~

庭で話すチャンソンとサンチェス。

チャンソン「葬儀にいってどうだった? もっと向こうにいたほうがよかったんじゃないか」

サンチェス「そんなことできないよ。ヴェロニカがまだ、お前のホテルにいるのに・・・」

チャンソン「・・・・・」

サンチェス「そうなんだろ、チャンソン?まだ、そこにいるんだよな?」

 だいぶ、思い詰めちゃってるね。


チャンソン「相当、感情的に切実な感じだったんで、僕は何も彼に言えなかったんです。サンチェスも、うちのホテルに行くことはできないことや、もし、ホテルに行っても、彼女を見ることができないことは受けいれました。ただ、彼は、見ることはできなくても、まだ、ここにいると考えているんです。僕が彼と話をするので、どうか、話をあわせてくれませんか。彼の心が落ち着くまで。」

マンウォル「いつになったら、落ち着くの?」

すでに、その表情は厳しいです。。。

チャンソン「・・・・・・」

それには、答えられないチャンソン。

 

サンチェスが席に近寄ってくる。

無言で、ピザを食べているマンウォル。

サンチェス「マノラ、この間はどうもありがとう。君のおかげで、彼女に挨拶ができたよ」

少しだけ、顔を見て、反応するものの、すぐに顔を横にむけてしまう。

サンチェス「ヴェロニカが好きだったピザを作ってるところなんだ。ヴェロニカは、彼女のために俺が作ったものが大好きだったんだ。持って行ってもらえないかな?」

もう、かなり、不満一杯のマンウォル。

チャンソン「わかった。そうするよ」

代わりに、そう答えるチャンソンのほうを睨むマンウォル。

それが、ただの同情でしかないとわかっているからよね。

マンウォル「はっ、ク・チャンソン。あんた、本当に演技が下手ね。もし、そんなことをしたいなら、ちゃんとやりなさいよ」

サンチェスのほうに向きなおるマンウォル。

マンウォル「サンチェス、彼女に、ピザの他になにかあげたいものはないの?例えばヴェロニカが好きだったような靴とか宝石とか・・・ああ、 車とかも運べるわね」

サンチェス「本当に、彼女にもっていってくれるのか?」

マンウォル「もちろんよ。なんでも持ってきて。私が彼女になんでも渡してあげる」

心配になるチャンソン。

マンウォル「ああ、うちのホテルには海もあるのよ。ヨットも私に渡したくない?もし、ホテルで彼女がヨットに乗れたら、素敵じゃない?」

チャンソン「チャン・マンウォルさん!!(怒)」

マンウォル「なによ? 私は、彼を慰めてるだけよ。もし、すぐに良くならなければ、私は彼の財産を手に入れることにするわよ」

立ち上がると、マンウォルの手を引き、店から連れ出すチャンソン。

 

がっくりとテーブルに手をつくサンチェス。

 

チャンソンの手を振りほどくマンウォル。

チャンソン「なぜ、こんなことをするんですか?」

マンウォル「あんたのせいよ。あんたが、彼に本当のことを言わないからでしょ!」

チャンソン「今は、悲しみの中にいるから、彼を元気づけようとしただけです。それをバカなことだと思うんですか?」

マンウォル「そうよ、笑っちゃうわ。ほとんど死んでる息子のために、生命線を移植する両親も、死んだ彼女のためにピザを作るあんたの友人もね。ただの自己満足なのよ」

あまりのいいように、言葉のでないチャンソン。

マンウォル「彼らを見てると、腹がたって仕方ないわ。あんたも彼らの真似をしないで」

ああ、なんで、こんな・・・お互いの言葉が刃のようになるの

チャンソン「どうして、僕が彼らのようにならないと思うんですか?僕は、あなたを逝かせたくないんです。見送りたくなんかないんです。あなたに会えなくなると思うと、おかしくなりそうなのに、どうやって・・・・どうやって、平気でいろ、なんて言うんですか?」

マンウォル「あんたは、私を見送らなければならない人間なんだから、大丈夫だって言ってよ。あんたが、大丈夫だって、言わないと、怖くてたまらないじゃない・・・」


もう言葉を紡ぐのに必死なチャンソン。

チャンソン「ずいぶん前に、あなたのそばにいてあなたの面倒を見ることが出来るなら、代価を払うのが怖くないと言いましたよね。それはこういうことだったんですね。 あなたがこんな風に軽蔑するほど、迷惑なことだったんだ。もう帰ってください。

僕は、友達のところに戻ります」

一人残されて、必死に耐えるマンウォル。

 

~サンチェスの店~

チャンソンが戻ってみると、まだ、同じ体勢のままでいるサンチェス。

自分のことのように思えてしまうチャンソンには、サンチェスの肩に手を置くことしかできない。

サンチェス「もう、彼女はいないんだな・・・。ヴェロニカはそこにはいないんだろ?」

サンチェスもちゃんと気づいていることを、マンウォルの甘やかさない姿勢は示していたのね。

 

~巨木の庭~

月の木を見つめているマンウォル。

ああ、マンウォルの恐れる気持ちが、花散らしを加速させてます。

無数の花びらを、目で追うマンウォル。


麻姑神≪お前が恐れるようになったとき、花は散り始める≫

 

~サンチェスとチャンソンの自宅~

ゆっくりと、自宅に戻ってきたチャンソン。

目の前に、マンウォルが待っているのに気づく。

気高く、真っ白な装いで、木々を眺めているマンウォル。

 

マンウォル「はじめて、あんたに会った時、このあたりの花は綺麗に咲いてたのに、今は、もうなくなってるのね」

微笑むマンウォル。

マンウォル「あの日、あんたは幽霊を見て、本当に怖がってた」

思い返し、うっすらと笑みを浮かべるチャンソン。

マンウォル「今日、私も臆病者だった。花が木から散ったの」

改めて、チャンソンに微笑みかけるマンウォル。

マンウォルがここに来た意味も、なにもかも悟るチャンソン。

チャンソン「そうなんですね」

マンウォル「花びらは、この世には一切残らない。地面に落ちる前に消えていくから・・・。何一つ、残らないの」

チャンソン「おそらく、あなたの木の花が落ちた花は、最初の葉っぱがそうであったように、僕のところに落ちているのかもしれません」

思ってもみなかったことを言われたマンウォル。


チャンソン「そして、それらの花びらたちは、積みあがっていくんです。だから、とても重くて、持ち運ぶことなどできません。僕は自分の責任として、その山を背負うことを考えます。だから、僕をあとに残していくことを恐れないでください

自分のことをそこまで想ってくれている相手を前にして、涙することしかできないマンウォル。

チャンソン「ここで、僕がしようとしていることは・・・もろい人間による、精いっぱい愛の表現です・・・」


マンウォル「ただ消えていく花びらだけを残していくなんて、悲痛すぎるじゃない」

そういって、チャンソンに近づき、キスするマンウォル。

ここで、IUのOSTが初披露です。。。

 

離れても、今度は、チャンソンが離しません。

ああ、首元を押さえる手が「フレミング左手の法則」よ。。。

 

月の木の花びらは、地面に落ちても、消えずに、落ち続けてます。

 

マンウォルを、力強く抱きしめるチャンソン。



★『ホテルデルーナ』12話(3)雑感★

あの~~~、マンウォルがチャンソンに初めて会ったのって、アッパが思い直して、お金を返そうと、デルーナを探し回った時、おこちゃまだったチャンソンと、車に乗って会話した時じゃなかったかと思うんですが、アニエヨ?

で、次は、地下鉄で会って、幽霊が見えるようにされたんだよね?

で、サングラスガールと出会って、無茶苦茶、怖がって・・・、ああ、確かに、その様子を見てたとき、花を眺めてたりしてたっけ。。

そして、リヤカーの夜につながっていくんだけど、ああ、そう、あの時の衣装も、今晩みたいな、全身、白づくめだったよね。。

 

すでに、1話が懐かしい・・。

 

本当は、こんな風に、離れなければならない日が刻一刻と近づいてきているときの、二人の想いが、一緒になって、ずど~~~んと腹にくるというか、胸に迫るというか、その重さに耐えようとしているチャンソン、すげぇ~な、とか、もう、千々に乱れちゃうんです。

いいシーンなんですが、あまり、解説めいたことはしたくないというか、逆に、えぐられるんだもん。。。

これで、まだ12話、私、もつのかな。。。

 

★『ホテルデルーナ』13話(1)に続く★