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 ホテル・デルーナ호텔 델루나

【Episode12】(2)

 

~病院~

首の傷の手当をうけ、病院のベッドで横になっていたジウォンが、目を開ける。。


ヨンスたちがやってくる。

同僚「いつ、意識が戻ったんだ?」

警備の警官「はい、少し前です」

ヨンスが、間仕切りカーテンを開けると、ベッドは空っぽ。

ヨンス「おい、どこいった?」

警官「ちょっと前にはいました」

焦ってしどろもどろになる警官。

同僚「おまえ、ここに立ってたんじゃないのか? 探してこい!!」

警官「すみません」

 

屋上への階段を上がっていくジウォン。

ふと、手を気にして、立ち止まる。

 

~回想~

チャンソン「お前の娯楽は、人を殺すことか?」

ジウォン「何言ってるんだ?」

チャンソン「お前、人を殺しただろう」

後ろ手で、注射器を隠しもっているジウォン。

ジウォン「誰が言った?」

チャンソン「お前に殺された人が、俺たちと共にここにいる」

ジウォン「お前、おかしいんじゃないか」

チャンソン「人は死んだら終わりだと思ってるのか?」

被害者から抜き取った血の入ったワインボトルをラックから手に取るチャンソン。

チャンソン「魂は残ってるんだ。お前の7番目の被害者は、今、ここにいるんだぞ。そして、これは・・・その彼女の血だ」

怒りをこめて、ジウォンを睨むチャンソン。

チャンソン「(俺の言うことを)信じさせるために、他の6名の分も探しださないとダメなのか?」

ジウォン「・・・・・・」

ラックから次々と、ワインボトルを引き抜き、並べていく。

ジウォン「お前、何者だ?」

チャンソン「俺は彼らを探してない。お前の被害者が見つけたんだ」

ジウォン「嘘つくなよ。そんなはずがない」

チャンソン「お前は知らないかもしれないが、この間中も、彼女はずっとお前の隣にいるんだ」

鏡の中には、ジウォンの隣に立つ被害者イ・ドヨンさん。

チャンソン「彼女は、お前の背後にお前が何を隠しているのかも、話してくれたぞ」

ジウォンが、注射器を隠している腕を掴むイ・ドヨンさん。

びくっと、なにかを感じ、周囲を見回すジウォン。

直後、注射器を構え、チャンソンに襲い掛かる。

実際には、そういう会話がなされていたんだね。


ジウォン「幽霊が存在するだって?」

 

~病院内~

屋上に向かう階段室で、電話をしている骨折患者の松葉づえを掴むと、襲い掛かるジウォン。

 

~帰路についているチャンソン~

ふふ、白い車を運転してるチャンソン。

ヨンスから電話がかかってくる。

チャンソン「はい、刑事さん。」

チャンソン「ク・チャンソンさん。今すぐ、病院にきてもらいたいのですが・・・」

緊張した面持ちで、スピードをあげるチャンソン。

 

~病院~

奪った携帯電話を操作しながら、ほくそ笑んでいるジウォン。

・・・・うわ、屋上の柵の外に立ってる!!

 

一方、病院に駆けつけてきたチャンソン。

ヨンス「いらっしゃったんですね、先ほどお伝えした通り、ソル・ジウォンは、あなたとだけ、話をしたがっています。大丈夫ですか?」

少し考えて、「ええ」と頷くチャンソン。

 

一人、屋上に上ってきたチャンソン、柵の外にいるジウォンのもとに向かう。

ジウォン「来たか・・・。お前のおかげで、こんなところにいるよ。」

チャンソン「違う、お前のせいだ。お前をここに連れてきたのは、お前が殺した被害者たちだ」

ジウォン「お前は、幽霊がいるって言ってるが、今も、お前を手助けしてる奴がいるのか?」

チャンソン「ああ、今この瞬間も、幽霊が俺を見守っている」

チャンソンがジウォンから視線をそらすと・・・あ、マンウォルだ!

マンウォル「で、こいつがその男なの? こいつを突き落とせばいいの?」

相変わらず、こういう時はストレートだよね。

超高層の病院の、遥か下を見下ろすマンウォル。

チャンソン「だめですよ。彼は生きて、自分の悪行の罪を償わなければなりません」

一人でしゃべっているチャンソンを、不思議そうに見ているジウォン。

マンウォル「そう? とにかく、こんな卑劣な奴のために、力を使いたくないんだけど・・・」

チャンソン「でしょうね」

マンウォルの姿は、ジウォンには見えません。

ジウォン「おい! お前、なにしてんだよ」

チャンソン「おまえについて、俺の守護者と話をしてたのさ」

守護者マンウォル、フェンスに寄り掛かってます。

ジウォン「あ~、ク・チャンソン、俺の人生は、お前のせいでメチャクチャになったよな」

チャンソン「違う。あの時もそうだった」

 

~学生時代~

サンチェスのメンタルを崩壊させるところだった銃入りの箱を、ジウォンのもとに戻しにきたチャンソン。

ジウォン「俺が送ったっていう証拠でもあるのか?それに、誰がお前を信じるんだろうな?何様だと思ってる? 自分のことを賢いと思ってるだろう?うぬぼれてるな・・・」

それを聞いて、かすかに笑ってしまうチャンソン。

チャンソン「別に、たった一人を除けば、誰に信じてもらわなくても構わないさ」

興味なさそうなジウォン。

チャンソン「自分の末息子がうまくやれると思って、外国に送り出した男。。。判事をしているというお前の親父さんの話をしてるんだ」

突然、父親の話をされて、不思議そうなジウォン。

箱をどけて、テーブルの上に、銃とカードだけを残したチャンソン。

チャンソン「賭けはどうなった?まったく信頼できない息子と、有名なアメリカの大学のオールAの学生の間で、お前の父親は、どっちを信じるかな?」

テーブルの上で、安全装置を外し、クルクルと銃を回転させるチャンソン。

ジウォンの前で停止する銃口。

チャンソン「俺が、全てをお前の父親に話をする前に、さっさと帰れよ」

 

んもう、誰がチャンソンのことを臆病者とか言ったのよ。

・・・って、マンウォルからしたら、たいしたことないのかもしれないけど、結構、ただ勉強できる、堅物ハーバード野郎じゃないじゃん、この男。(笑)

 

チャンソン「あの時、引き金を引いておけばよかったか・・・」

チャンソンの言葉に、ショックを受けているマンウォル。

 

マンウォル「あんた、こいつのこと、個人的に知ってるの?」

初めて知ったみたいです。

チャンソン「俺たちの不吉な関係は、過去に遡ります。とっくに切れたと思っていたのに、再会してしまった。」

 

麻姑神≪お前のせいで、あの子は、彼を最も傷つけた人間に会わなければならなくなった。あの子が、おまえのせいで、これ以上、どんな目に合わなければならないか、わかるか?≫

 

ここでもまた、麻姑神の言葉通りのことが目の前で起きていることに愕然となるマンウォル。

 

ジウォンに近づいていくチャンソン。

チャンソン「お前がやったことは、お前の死では終わらない。お前の魂を救る唯一の方法は、このまま生きて、お前の罪を償うことだ」

ジウォン「俺のせいか?俺はただ、他人から頼まれたことを、(代わりに)やっただけだ。他人を憎んだり呪ったりすることに関して、人々がどれほど熱狂的になるのか、知ってるか?」

Hellloのサイトを見せるジウォン。

ジウォン「サッカー選手がゴールを決めるのは、人々が願うからだ。そして、俺は、そいつらが願う通りに殺してやった、それのどこが俺の責任だ?」

チャンソン「おそらく、そこが人々がゴミのような感情を発散するための場所だからだ。だが、誰も、実際に、そんなゴミみたいな感情のまま、行動を起こそうなんて願う人間は誰もいない。ソル・ジウォン、ここに降りて来い!!

いつになく、激しいチャンソンの様子を見て、ジウォンに目を向けるマンウォル。

(動揺を抑えながら)携帯の画面をチャンソンに見せるジウォン。

ジウォン「俺も、そのゴミみたいなお前への憎悪を書いて、アップロードしたよ。多くの仲間が受け取るだろうよ」


携帯を放り投げると、自ら、落下していくジウォン。

手を伸ばそうとしても、間に合わないチャンソン、すぐさま、階下に向かって、駆け出していく。

 

その場に残るマンウォル。

 

~病院脇の舗道~

息絶えているジウォン。

ヨンスらと一緒に、駆けつけ、その惨状に目を伏せるチャンソン。

 

~屋上~

ジウォンが放り投げた携帯を拾うマンウォル。

画面を見て、ふと気配を感じて振り返ると、幽霊となったジウォンが立っている。

マンウォルの姿を見て、薄ら笑いを浮かべるジウォン。

ジウォンにむかって、歩み寄るマンウォル。

マンウォル「どうやら、今は、私が見えるようになったらしいわね」

ジウォン「本当だったんだな。死は、本当に、終わりじゃなかった・・・。」

マンウォル「そうよ。今や、あんたは幽霊になった」

ばっと、扇子を広げるマンウォル。

マンウォル「ク・チャンソンは、おそらく、こんなことを望んではいなかっただろうけど、私は、あんたがビルから落ちて死ぬのを待ちきれなかった。私は、生きてる人間を傷つけるのは許されてないけど、あんたみたいな“怨鬼”に関しては、そのかぎりじゃないの。」

ジウォン「“怨鬼”?」

扇子をジウォンに向けるマンウォル。

マンウォル「あんたは、ゴミ箱に捨てられるに値するわ。あんたを破壊し、灰に戻してあげる。塵

になって、来世に向かうといいわ」

マンウォルが扇子を突き立てようとすると、なぜか、ジウォンの周囲にバリアのようなものが貼られ、マンウォルの妖力が効かない。

避けようとしていたジウォンも不思議がっている。

 

マンウォル「これはどういうこと?あんたを守ってるのは何なの?」

笑いを浮かべるジウォン。

ジウォン「俺の恨みが作動したんだ。俺の憎しみと恨みは、人々を狂わせるんだ」

 

ジウォンの投稿≪俺は、俺の人生を台無しにしたク・チャンソンへの呪いに、俺の人生を捧げることにする≫

 

顔色を変えるマンウォル。

既に、ジウォンの投稿に対して、無数のコメントがついている。

≪彼の死を望む≫

≪私も彼を呪う≫

ジウォンを睨みつけるマンウォル。

マンウォル「この人間たちの醜い考えと感情が、あんたに、驚異的な強さを与えたに違いないわ」

ジウォン「ク・チャンソンを守ってるのはお前か?」

マンウォル「黙んな! お前みたいなゴミごときが・・・。すぐにでも、お前を保護しているこの恐ろしい力を取り除き、お前をバラバラに引き裂いてやる。待ってな!」

ジウォン「俺は、今よりもっと、醜く強大になってやる」

そのまま、立ち去るジウォン。

え~~~~、麻姑神や引導使者はどうしたん?

こういう時の、神様じゃないの?

 

ジウォンを睨みつけるマンウォル。

 

~病院の通り~

ヨンス「Helllo のウェブサイトに、ソル・ジウォンがアップロードした投稿を削除するように要請しました。ですが、我々は、 すでに、オンライン上に口コミで広まってしまったものについては、どうすることもできませんでした。申し訳ありません」

チャンソン「パク刑事様が誤る必要はありませんよ。では、もう帰ってもいいですか?」

ヨンス「はい」

一礼して背を向けたチャンソンに対して、

ヨンス「あ・・あの、あなたがワインバーにいた時、もしかして、別の女性がいたりとかしませんでしたか?実は、ワインバーから電話をもらったんですが、その電話をくれた女性が、自分は亡くなったイ・ドヨンだと名乗ったんです。変なことを言ってるのはわかってるんですが、ただ、不思議で・・・。」

チャンソン「彼女だったのかもしれませんね。僕、幽霊を信じてるんです。それから、生まれ変わりってやつも・・・。」

いきなり、そんな話をしたら、警戒されちゃうよ。

ヨンス「ああ・・・生まれ変わり? そうですか・・・」

変な人認定?

ヨンスの手帳をさししめすチャンソン。

チャンソン「とても、お上手に書かれてますね。手先が器用なんでしょうね」

ヨンス「ああ、ありがとうございます」

チャンソン「それでは・・・・」

更に、不思議がるヨンス。

 

~屋上~

ショックで棒立ちのマンウォルのもとに戻ってきたチャンソン。

チャンソン「ソル・ジウォンは・・・死にました」

マンウォル「知ってる。幽霊になった奴と会った。あいつは怨鬼になって、あんたへの恨みを抱き続けてる・・・」

チャンソン「知ってます。あいつがアップロードした投稿を読みました。彼がどのくらいの賛同を得たのかと思うと、かなりショックでした」

マンウォル「ああ、あいつが死んだ瞬間に灰にしてやればよかった!扇子なんかの代わりに銃を持ってくるべきだったのに・・・」

チャンソン「あいつ、あなたから逃げ出せるほど、強いんですか?」

マンウォル「なんでもないふりをしていたいけど、これは、大したことよ」

マンウォルが素直に認めたことに、驚くチャンソン。

マンウォル「ク・チャンソン、あいつを捕まえるまでは、家に帰っちゃだめよ。私の側だけにいるように」

真剣なマンウォルの様子に、圧倒されるように、頷くチャンソン。

 

~ホテルデルーナ フロント~

ソファに座るユナを、心配そうに見つめているヒョンジュン。

ユナ「社長様は、私が二度とここにくることを禁止すると思う?」

ヒョンジュン「社長様は、たぶん、もう忘れてるよ。ク支配人様が無事に戻ったし、全て、うまくいったんだから」

ユナ「本当に?」

ヒョンジュン「そうさ、それに、君のおかげで、うちのホテルのお客様たちは、不当な死を明らかにすることができたんだから。よくやったな、ユナ」

ようやく笑顔を見せるユナ。

ユナ「ああ、本当に良かった」

ヒョンジュン「あ、昨晩、新しいお客様がいらしたんだけど、その方から、君に会うことはできるか、と訊ねられたんだ。」

ユナ「ん?」

 

ロビーに座っている女性客。

あ、ジウォンの車に乗っていた幽霊イ・ドヨンさんね。

ユナを見て、立ち上がる。

ユナ「あ、あなたは、あの時の・・・」

ドヨン「最後まで、私を追いかけてきてくれて、ありがとう」

微笑み、頭を下げるユナ。

満足そうにドヨンを見つめるユナを、微笑みながら見守るヒョンジュン。

 

~納骨堂~

チョン・スジョン・・・ユナは、外見はユナなので、みんなからはユナと呼ばれてるけど、本来はスジョンの魂です。。。


ユナ「本当の私は、ここにいるのね。でも、私はここに来るのが怖かった。初めて来たのよ」

ヒョンジュンと一緒にね。

ユナ「私も殺されたから。でも、殺人事件の解決を手伝ったことで、自分が慰められたよう

に感じたの」

お、ヒョンジュンも白い花(カーネーションかな?)を取り出したよ。

ヒョンジュン「ホテルの庭から、内緒で持って来たんだ。この中に入れてあげよう」

ユナ「チ・ヒョンジュン・・・」

ヒョンジュン「ん?」

ユナ「あなたは、どこに埋まっているの?」

ヒョンジュン「山の中のどこかだよ。お墓じゃないんだ」

ユナ「じゃ、ここを一緒に使おうよ」

カバンからノートを取り出し、笑顔のヒョンジュンのスケッチを見せるユナ。

ヒョンジュン「俺か?」

そっくりです。

ユナ「ただ、人物画を描く練習をしただけよ」

自分の写真の横に、ヒョンジュンの顔を書いたスケッチも一緒に飾る。

大丈夫かな、スジョンのオンマ、お墓参りにきて、男の子のスケッチが一緒に入ってたら、びっくりするんじゃないかな。

ユナ「これからは、ここが私たちのお墓よ。気に入った?」

無表情に立っているヒョンジュン。

ユナ「気に入らなかった?あの・・・それなら、別にいいの。もう、私はあんたのことが好きだって言っちゃったけど・・・あんたは無視してるし・・・。」

ヒョンジュン「無視してるんじゃない。ユナ、お前の彼氏は 親切で生きている人間にすべきだ、だからだよ」

ヒョンジュンの頬に、口づけるユナ。

ユナのほうを向くヒョンジュン。

ユナ「好きだもん。あんたもただ、私のことを好きになるだけじゃダメなの?」

と、言いかけるユナに、正面からキスするヒョンジュン。

一瞬、固まって、そのまま、目を閉じるユナ。

前々から、このカップルは微笑ましくて、好きなんですが、なぜか、やった~~~とならないくらい、ヒョンジュンの思いつめた顔が気になります。。。

 

~マンウォルの部屋~

疲れて、ソファで眠っているチャンソンに、ハンディタイプの扇風機の風を当て続けてるマンウォル。

マンウォル「ク・チャンソン、起きろ~~」

この言い方も可愛いです!

ようやく、半覚醒のまま、直接、向けられてる風を嫌そうに避けるチャンソン。

目を開けると、なんかやたら、キラキラしてる笑顔のマンウォルが自分にむけて、扇風機をむけてるし・・・(笑)


半覚醒のせいか、すんごい意識しちゃってる(笑)

鉄の意志を持つチャンソンじゃなかったら、ガバっといってるよね。。。


ふと、我に返って、大立ち回りのせいで、痛めたらしい首元を押さえながら、起き上がるチャンソン。

マンウォル「まったく~、なんで、こんな寝にくい場所で寝たりするのよ」

チャンソン「このホテルで、人間の僕が寝れる部屋は、404号室とあなたの部屋だけしかないじゃないですか。もし、404号室に泊まったら、翌日はインチョンに飛ばされて、そこから仕事に戻ってくるの、大変なんですからね」

へぇ、あそこ、インチョンにつながってるんだ(笑)

マンウォル「誰が、404号室で寝ろって言ったのよ。私の部屋で寝ろって言ったじゃない」

あら、マンウォルちゃん、大胆。

マンウォル「あのマッサージ機と、安眠マスクがあれば、どれだけすぐに、眠りに落ちるか、知ってるの?」

チャンソン「僕が、もし、あのマッサージ機を使ったとしても、あなたの部屋で、眠れると思ってるんですか?」

思わせぶりに笑うマンウォル。

マンウォル「たしかにね。ま、ウリチャンソンも健全な大人の男なわけだし。。」

からかわれて、不機嫌なチャンソン。

マンウォル「とにかく、人間は寝なきゃダメなんだから。残念ねぇ・・・」

ムカっときて、立ち上がるチャンソン。

チャンソン「じゃ、行きましょう。チャン・マンウォルさんの部屋で、快適に寝かせてもらいます。でも、マッサージ機はいりません。あなたの腕があるから。もし、枕としてあなたの腕を使わせてくれたら、安眠マスクなんて使ったりしますか? 僕の髪を優しく撫でてくれたら、眠れそうです」

マンウォル「なんで、そんなこと言うの? 変態なの?ねぇ、落ちついてよ」

扇風機の風を、チャンソンの顔に当てるマンウォル。

その腕を掴み、引き寄せるチャンソン。

ドキドキドキドキ・・・・

そのまま、いいムードに突入か、と思いきや、その手から、扇風機を取ると、「あなたこそ、落ち着いてください。顔が赤いですよ」と、やり返すチャンソン。

扇風機の風を当て続けてるマンウォルをのこし、

「ああ、ガッチガチだ。 あのマッサージ機、試してみようかな」と部屋を出ていくチャンソン。

マンウォル「なんなのよ、顔なんて、赤くないわよ」

赤いです。。。

 

廊下に出て、チャンソンを呼び止めるマンウォル。

マンウォル「チャンソン、マッサージ機はもういいわよ。 それより、鍼に行きましょう」

チャンソン「え?」

マンウォル「鍼と、血液を外に出すカッピング療法を受けましょう。優秀な東洋医学の病院を知ってるの。死んだ人間でさえ、生き返るっていうくらい有名な医者なのよ」

 

~クリニック~

ロビーで、待っているマンウォルとチャンソン。

たしかに、お客さんは一杯だし、流行ってるみたい。

医師「ああ、だいぶいいですね、奥様。 鍼治療のために、毎日いらしてください」

客「先生、あなたの漢方薬は、ちょっとお高いわ」

医師「そんな、効果に見合ってるだけですよ。だから、いくつかの無料サンプルもお渡してるじゃありませんか」

客「ええ、ありがとう」

出口まで、送っていく医師。

 

チャンソン「あれが、あなたの言った死んだ人間も生き返らせるという医師ですか?」

マンウォル「彼は、3年前に死んでいたはずの人間を生かしつづけてるわ」

チャンソン「信じられないな・・・」

戻ってきた医者の顔を確認し、驚くチャンソン。

チャンソン「もしや、ファン・タウ(華佗)先生ですか?」

※東洋医学の伝説的な名医

マンウォル「さぁ・・・」

 

医師「奥様、躊躇うことはありませんよ。どうぞ、家族会員として、お連れください。10%オフにさせていただきますから・・・」

客「考えてみますわ」

医師「ええ、是非。お気をつけてどうぞ」

見送って、フロントに戻るなり、「今のおきゃくさん、勧め続けなさい」とスタッフに指示する。

ずいぶん、商売熱心なお医者さんだこと。

 

チャンソン「あの先生様は、僕のよく知ってる人に似て、ちょっと貪欲な感じですね」

じろり、と、チャンソンを横目でにらむマンウォル。

 

「お客様ですよ、あなた」

呼びに来たのは、医師の奥さん?

「お越しいただき、ありがとうございます」と頭を下げる医師。

「さぁ、中にどうぞ。ああ、あまり調子がよくないようですね」

 

チャンソン「彼女が、奥さんみたいですね。よく似てますね」

マンウォル「どっちにしろ、私たちは、彼が生かし続けてる患者を、ホテルデルーナに連れていかないとならないわ」

あ~~~、そういうこと!

チャンソン「でも、生き続けてる患者なんて、いるんですか?どうやって、客として連れていく人を想定するんですか?」

マンウォル「当然、死なせるのよ。直符使者から、患者が死んだところを確認しろって言われたの」

チャンソン「チャン・マンウォルさん、使者の手伝いなんかもするんですか?」目目目

マンウォル「手伝いなんかじゃないわよ!これは取引よ」

 

 

~スカイバー~

マンウォル「頼まれてほしいことがある。あんたの力が必要なの」

引導使者「もし、お前の手に負えないことならば、相当、難しい要件なんだろうな」

マンウォル「そいつは、深い恨みを抱いていて、こっちが用心していないと、うちの人間の一人が傷つけられるかもしれない。。静かに、私のところに連れてきて」

使者「チャン社長の頼みを、どうやって俺が拒否できる?だが、あんたも、俺の願いを聞く必要がある。」

おお、高そうなブランデーを飲んでるじゃないの(笑)

マンウォル「続けて・・・」

使者「我々を悩ませているものがいるのだ。俺にとって、不名誉な未解決事件だ。もし、その者をホテルデルーナに連れてきてくれたら、俺もその怨霊を連れてこよう、あんたのもとに」

マンウォル「いいわ・・」

乾杯し、取引成立。

 

~鍼クリニック~

チャンソン「ソル・ジウォンは、そんなに危険なんですか?」

マンウォル「不幸な運命のあの怨霊があんたを悩ませてる理由は、私のせいかもしれない。麻姑神曰く、あんたは花を咲かせたから、その代償を払わなければならない、と。」

チャンソン「花を咲かせたために、僕が支払わなければならない代償は、怨霊のことで僕を悩ませるってことなんですか?」

マンウォル「あんたに代償を支払わせたくないから、私ができることで何とかするだけ」

チャンソン「それについては感謝します」

 

マンウォルがずっと読んでいた雑誌の、「急募」と書かれた記事の一部に大きく丸を付ける。

「ク・チャンソンさん?」

「はい」

「どうぞ、お入りください」

 

チャンソン「僕の仕事は、彼がどれほど腕がいいのか、見ることですか?」

丸を付けた記事をやぶり、チャンソンに手渡すマンウォル。

「これを持って行って。あなたがここに来た訳を説明しなさい」

立ち上がるチャンソン。

 

チャンソンの脈を診る医師。

「肝機能化は胃の収縮を遅らせたため、消化不良と胸焼けを起こします。ストレスの多いお仕事なんでしょうね」

・・・誰でも言えそうね(笑)

「はい、最近、悩みごとも多くて・・・。」

「ええ、そうでしょう。鍼治療を受けて、薬も出しましょう。漢方薬も飲めば、ベストですよ」

「僕には、鍼も薬もいらないんです。僕のストレスの理由は、金なんです」

内ポケットから、先ほど、マンウォルから受け取った切り抜きを見せる。

「これをみたので、ここに伺ったんです。金が必要なんです」

「急募」と書かれた囲み記事。

「これは、先生の連絡先ですよね?」

「手遅れになるところでした。助かります。確かめたいことがあります。」

チャンソンの手を見て、「あなたの手相は、とてもいい。いい生命線もある」と、じっと見つめる医師。

「君の生命線を1センチほど、くれないだろうか? もし、生命線を売ってくれたら、5000万Wはらう」

予想外の申し出に、固まるチャンソン。

 

クリニックを出て来たマンウォルとチャンソン。

マンウォル「彼は他人から生命線を購入して、死者を生かし続けているのね。医者っていうのは、本当にすごいことするわね」

私から言わせれば、脚本家って、すごいこと、考え付くものね、って感じです。

チャンソン「金で、他人の生命線を買うなんてことが可能なんですか?」

マンウォル「まぁ、それが公正な取引ならばね。別に詐欺っていうこともなく、彼はちゃんと支払ってるし・・・。だから、直符使者が何も手出しできなかったってわけね」

自分の生命線を見つめるチャンソン。

チャンソン「それを売った人は、決して本気にしなかったでしょうね」

マンウォル「彼らは、簡単に金が手に入ればそれでいいのよ。購入者だけが切実だったの」

チャンソン「彼は、もっと金を作らなければならないんですね。彼が富裕層に売ってると思いますか?」

マンウォル「大切な人なんでしょうね。」

一瞬、答えをためらったマンウォル。

マンウォル「ク・チャンソン、今夜は手術を受けるんだから、なにか食べないと。。行きましょ」

チャンソン「いえ、あなたが、ただ、肉が食べたいだけですよね」

マンウォル「あっちに・・・」

チャンソン「“・・・キム・ジュヒョンが食べた食堂があるの!”、はいはい、わかってます、わかってます、行きましょう」

口真似までするチャンソンを睨むマンウォル。

 

~院長室~

医師「生命線を売ってくれる人間が現れたよ。約束した人がキャンセルしたから、すごく心配だったが 良かった。」

妻「それは、これまで貯めたお金を使うってことね」

医師「金の問題じゃない。私が救ってやれる限り、大丈夫だ」

妻「でも、そのお金を稼ぐために、無理して働いているわ」

医師「・・・・手術は今日だ。様子をみてこよう」

 

小学生くらいの男の子が寝ている病室にやってくる医師夫妻。

「ヒョンンジンったら、よく眠ってるわ」

「今夜、手術を受けられるぞ」

息子の、不自然に延びた腕の線を触る医師。

 

~車内~

チャンソン「子供ですって?」

マンウォル「そうよ。私たちが(命を)終わらせて、連れて行かなければならないのは、あの夫婦の息子よ」

衝撃をうけるチャンソン。

 

 

 

★『ホテルデルーナ』12話(2)雑感★

 

まさか、マンウォルが、あの怨鬼となったジウォンの力を封じ込められないなんて・・・・そんなことあるの?

確かに、二言目には、チャンソンに、素性のわからない幽霊と必要以上に関わることは「危険だから」と言ってたし、怖いのはよっぽど人間のほうだ、と思わされるエピソードもあったけども、マンウォル自身は、なにしろ、1000余年も“月の宿屋”の主人だったんだし、対幽霊に対しては、万能だったと思ってたのに・・・。


子供の命に係わるテーマは、どうであれ、何をみても辛くなります。

だからこそ、軽々しく扱ってはならないように感じます。

 

★『ホテルデルーナ』12話(3)に続く★