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ホテル・デルーナ호텔 델루나
【Episode10】(3)
さすが、生真面目なチャンソン、ただの図書館デートじゃないってところが、なんともいえません。。
チャンソン「このあたりに、幽霊が出るっていう噂があるんです。図書館の館長さんがとても心配してました。もし、本当に幽霊がいるのなら、うちのホテルに連れていくべきですからね」
マンウォル「幽霊が憑りついてる本があるですって?」
チャンソン「ええ。噂では、その本は以前に、幽霊が寄贈したものらしいんです。その人は、小学校の校長で、ずいぶん前に亡くなったそうです。それで、家族の方が、彼女の本を寄贈したとのことです。その本は、その人にとって、とても大切な価値のあるものだったに違いありません。」
マンウォル「さあね、どうかしら・・・。大抵の人は、大切にしていたものでも簡単に捨てるものよ。彼らの人生で隠したいことを守るためにはね・・・。その幽霊は、その噂のせいで、多くの人が本を借りに来ることに、神経質になってるのかもしれない。」
悲しいけれど、そういう側面は否定できませんね。
チャンソン「その本の中に、なにか隠しているものがあるっていうことですか?多分、へそくりかなにかでしょう。」
金・・・と聞いて、がぜん、本探しの足を早めるマンウォル。
なんて、わかりやすい(笑)
チャンソン「あ~あ、金をなんとかしようとするときだけ、スピードアップするんだから」
そんな彼女を愛してるのは、あなたです。
ある本棚の前に立つマンウォルとチャンソン。
マンウォル「あんたは人間だから、本を取り出してみて。 そうしたら、幽霊のほうからやってくるわ」
チャンソン「『存在と時間』・・・」
マンウォル「こんな本、誰が読みたいっていうのかしら」
チャンソン「僕は読みましたよ」
マンウォル「はいはい、そうでしょうね。おりこうさんのク・チャンソン先生ですものね。さすがだわ~~」
マンウォルの皮肉に、皮肉でかえすチャンソン。
チャンソン「ええ、そう見せびらかすために、読んだんです。でも、理解するには、難しすぎました。」
マンウォル「(膨大な)時間を通り過ぎながら、1000年以上も生きて来た私でさえ、存在やら、時間やらが何なのか、わからないんだから、30年くらいしか生きてないあんたに、どうやってわかるっていうのよ」
チャンソン「この本が時間の何を語ってるのか、読んでみましょうか」
マンウォル「私がここにいると、幽霊が出てこないかもしれないから、後ろの書庫の近くにいるわ」
マンウォルがいなくなってから、チャンソンが本に手をかけてみると、確かに本を押さえる手が現れる。
横を向いて、幽霊と目が合うチャンソン。
幽霊「私が見えるの?」
不思議そうな幽霊。
チャンソン「はい、見えます。ここで、何をしてるんですか?」
幽霊「この本を誰にも読ませたくないの」
チャンソン「この本の中に、あなたの大切なものがあるんですか?」
チャンソンを見上げる幽霊。
チャンソン「それとも、なにか隠しておきたいものでも?」
幽霊「この本の中から、何かを取り出すことができるの?」
チャンソン「お手伝いしましょう。そのためにも、この本を取り出さないとなりません。」
頷く幽霊。
ゆっくりと、本から、幽霊の手が離れたあとで、それを取り出すチャンソン。
本に挟まれていた写真を取り出すと、古く変色した赤ちゃんの写真や、赤ちゃんを抱いている女性の写真・・・・そして、自分自身の写真が出てきて、衝撃を受ける。
目の前の幽霊を見つめるチャンソン。
幽霊「私が隠してきた過去です。私の家族には決して知られてはならないんです。どうか、捨ててください」
呆然としているチャンソンから、マンウォルが本をひったくり、本だなに戻すと、姿が見えなくなる幽霊。
チャンソン「たった今、見た女性は・・・僕の母のようです」
驚き、チャンソンの持っている写真に目を向けるマンウォル。
あのお母さん幽霊も、目の前の男性が自分の息子だとは気づかなかったみたいだし、幽霊でも、結構、知らないことも多いのね。
チャンソン「小さかった頃から、一度も会ったことはありませんでした。亡くなったことすら、知りませんでした。父があの人に、これらの写真を送っていたことも知らなかった。」
写真の裏に書かれた小さな文字。
≪チャンソンと俺は、アメリカに行くつもりだ≫
チャンソン「母にとっては、大切なものなんかじゃなかった・・・。隠したかったものでした」
赤ん坊を抱く若かった頃の母親の写真。
チャンソン「本当に、私が生まれることに、“チャンソン(賛成)”ではなかったんですね」
見ていられないほど、ショックを受けているチャンソンの肩にそっと、手を置こうとするマンウォル。
それすらも躊躇い、手を降ろしてしまう。
逆に、口調を厳しめに変える。
マンウォル「あんたが、面倒に巻き込まれたいと志願したのよ。だから、こんなことまで見つける結果になったの。なんの役にもたたず、ただ、動揺しただけ」
あえて、冷たく言い放つマンウォル。
さすがに辛そうに、マンウォルのほうを見るチャンソン。
マンウォル「なによ、間違ってる? 母親に会えて幸せだったとでも言うつもり? 親子の名乗りをあげて、ホテルで世話をしたいの?」
チャンソン「僕がそんなことしたくないって、思わないんですか?」
マンウォル「よかった。それを貸しなさい。戻してきてあげる。そうすれば、あの幽霊は永遠にあそこにいることになるわ」
チャンソン「それも、僕が望むことじゃありません」
マンウォル「じゃ、あんたはどうしたいの?私のせいで、幽霊なんか見えるようになったばっかりに、こんな目にまで合ったって言うのに、どうすれば・・・・・」
チャンソン「俺はただ、はじめて、母に会えたあとでさえ、幸せに思うことができなくて・・・悲しいだけなんだ」
言葉を失うマンウォル。
チャンソン「ただ、悲しませてくれればいいんだ」
思わず、チャンソンの袖をぎゅっと掴むマンウォル。
お互いに無言だけど、これがどんなに残酷なことか、十分すぎるほど、痛みを味わってる顔でしょう。。。
そっと、袖をはなすマンウォル。
マンウォル「わかったわ。行きなさい」
本当に、一人で歩き出すチャンソン。
残されたマンウォルは、ただ、黙って、立ち尽くすだけ。
~サンチェスの店~
じっと黙って、席についているチャンソン。
サンチェス「なにかあったのか? なんで、そんなに動揺してる?」
チャンソン「ああ、ちょっと、悲しいことがあって・・・」
サンチェス「わかった、わかった、酒でも飲むか。出よう、奢るよ」
立ち上がったサンチェス。
サンチェス「おい、ボタン、取れてるぞ。こっちまで、申し訳ないような気分になるな」
袖のボタンを見つめるチャンソン。
自分の袖を強く掴み、じっと見つめていたマンウォルを思い出す。
チャンソン「俺のこと、慰めようとしてたのか・・・」
自分のことで精いっぱいだったけど、ようやく、そこに思い至ったチャンソン。。。
サンチェスが上着を羽織っていると、ミラが入ってくる。
ミラ「サンチェス・・・」
サンチェス「ああ、ミラさん。たった今、チャンソンと一緒に、店を出ようと思ってたところだよ」
ミラ「ん? チャンソンがここにいるの?」
サンチェス「今日は、君が一緒じゃないほうがいいみたいだ。一人で食べてくれるか・・・」
ミラ「ああ、気にしないでよ。一緒に食べてくれる人くらいいるわよ」
サンチェス「そうなのか」
ミラ「うん」
その時、店の中に入ってきたのは・・・・ヨンス。
その顔を見て、固まるチャンソン。
ヨンス「うわぁ、いい店だな」
サンチェスと挨拶をかわすその人は、まぎれもなく、散々、夢の中で見た、過去のヨヌそのもの。
大混乱のチャンソン。
チャンソン「これは、どういうことだ・・・」
ミラ「チャンソン、挨拶して。彼は、パク・ヨンスさん」
軽く会釈するヨンス。
ミラ「私が、彼にとって、とっても重要なものを探す役にたったの。それで、食事をご馳走してくれることになったのよ」
知り合った経緯を簡単に説明するミラ。
チャンソン「(小声で)君のせいで死んだのに・・・」と呟くチャンソン。
ミラ「ん? あ~~、わかる? 彼の見た目って、死にそうにかっこいいでしょ」
ヨンス「ちょっと、ミラさん」
テレるヨンス。
ミラ「この人、警察官なの」
ああ、と頭を下げるチャンソン。
ミラ「サンチェスと出かけるところだったんでしょ。また、あとでね」
ミラとヨンスが席についてしまっても、まだ、見つめているチャンソン。
様子のおかしいチャンソンに近づくサンチェス。
サンチェス「どうした? 知ってるのか?」
チャンソン「いや、俺じゃない。チャン・マンウォルさんが知ってるんだ」
サンチェス「マノリが? 彼も、マノリを知ってるのか?」
チャンソン「いや、たぶん、彼は知らない」
深く溜息をつくチャンソン。
チャンソン「ヒョン、今日は飲めそうもない、すまない」
サンチェス「わかったよ」
過去のあり得ない縁が、目の前でつながっているのを見て、不安を覚えるチャンソン。
~スカイバー~
3人組を問い詰めるマンウォル。
マンウォル「もし、ク・チャンソンの人生について、個人的なこととか、私に話してないことがあれば、言いなさい。彼に、連絡を取り合うような親戚とかいるの? 友達は? サンチェス以外で親しい友達とか、他に誰がいるの?」
顔を見合わせるソンビ、ソフィ、ヒョンジュン。
マンウォル「何も知らないの? 本当に?」
ソフィ「ク支配人は、大抵、社長様の側にいて、つまり、ほとんどの時間、社長様と過ごしてましたけど、社長様はなにもご存じないんですか?」
マンウォル「私は上司なんだから、知らなくても当然でしょ。あんたたちは、同僚なんだから、知ってるべきでしょう。自分の同僚に対して、なんで、そんなに無関心でいられるの?」
ヒョンジュンが、しきりに、ソンビのほうを目で示す。
マンウォル「キム・ソンビ!あんた、会長の孫娘に、彼を紹介までしたでしょう。なにも知らないの?」
ソンビ「私は、ただ、彼が性格がいいので、すすめただけです」
マンウォル「ヒョンジュンは? あんたは、彼とはちょっとは親しいわよね?」
ヒョンジュン「ええっと、記憶によると、ク支配人は・・・茶色が好きです」
なんとか捻り出した答えが、これか(苦笑)
マンウォル「そんなの、私だって知ってるわよ!(怒)」
なぜか、呼ばれもしないのに、引導使者がカクテルを飲んでる。
しかも、“Tears”(笑)
マンウォル「あ、使者がこんなところにいた」
使者「彼らを、しつこく詰るのをやめたらどうだ?お前も、何もわかってないくせに」
マンウォル「じゃ、あんたは? あんたは何か知ってるの? (チャンソンと)時々は会うでしょ。」
なにも答えず、ささ~っと、いなくなる引導使者。(笑)
マンウォル「いくら、あんたたちが幽霊だとは言っても、そんなに冷たい心だとはねぇ」
ネチネチと、更に続けるマンウォルに、
ソフィ「社長様、なぜ、社長様は、ク支配人に直接、お訊ねにならないんですか? ク支配人なら、そこにいらっしゃいますよ」
期せずして、すごい空気の中に姿をみせたチャンソンを、当惑しながら、迎えるマンウォル。
~屋上庭園~
マンウォル「あんたは当分の間、悲しみに浸るのかと思ってた。」
チャンソン「まだ、大丈夫じゃないですが、でも、あなたのために来ました」
マンウォル「私のため?」
不思議そうなマンウォル。
チャンソン「僕は、あなたの存在と時間の背後にある理由を明らかにしたようです。あなたの悲しい記憶の中のある人物に会いました」
マンウォル「・・・・・」
警察署の前で、同僚と一緒に、飲み物を飲みながら、なにか携帯を見て、笑っているヨンス。
その姿を少し、離れたところから、マンウォルに見せるチャンソン。
マンウォル「盗賊だったのに、今は、警官になったのか・・・」
感無量とばかりに、涙ぐみながら、ヨンスを見つめているマンウォル。
マンウォル「今度は、いい人生を送っているようだ。良かった。。本当に良かった」
そっと、マンウォルの側に近づくチャンソン。
チャンソン「近くにいって、彼と話をしてみたいですか?」
マンウォル「やめておく、私は何者でもないのだから。」
チャンソン「あなたにとって、家族のような人だったのに・・・それで、いいんですか?」
マンウォル「大丈夫なはずはない。ちょっと悲しい。」
チャンソン「僕が、あなたの過去から、再び、この縁をもたらしてしまったですね」
チャンソンのほうを向くマンウォル。
マンウォル「ありがとう、ク・チャンソン」
同僚と話をしていたヨンス、なぜか、署の前の通りに立つ女性(マンウォル)を見て、気になってしまう。
お互いに、とても大切で、決して忘れてはいけない人。
微笑むマンウォル。
そして、黙って去っていく。
その後ろ姿から、目をそらせないヨンス。
そんなヨンスに、同僚が事件について話しかけてくる。
「あの連続殺人事件、お前、ショベルについてた汚れの分析結果、受け取ったか?」
連続殺人犯の話題に、現実に戻されるヨンス。
「え? ああ、遺体が発見された山の土と同じ成分でした。」
「だろ?だが、なぜ、容疑者は、彼らを殺したことを否認し続けるんだ? ああ、頭痛いぜ」
「ところで、彼には、妻殺しのほかには、別の動機なんかありません。」
「サイコパスのタイプなんじゃないか。殺人快楽。」
納得いかない感じのヨンス。
~橋の下の河川敷~
証拠となる遺留品を燃やすソル・ジウォン(真犯人)。
「おしまい!」
車に戻ってきて、CCTVからデータを外すジウォン。
ふと、一台の引っ越しトラックを追い抜いた時のことを思い出す。
映像から、引っ越し業者を割り出したジウォン。
ジウォン「その日、荷物を運んだトラックに問題があったんですよ」
依頼者の振りをして、電話をかける。
業者≪すべて、問題なく、到着してますけど≫
ジウォン「ああ、もう一度、予約者の名前を確認してもらえますか?」
業者《3465のトラックの予約は、ク・チャンソンさんのお名前でされてますね》
衝撃を受けるジウォン。
ジウォン「誰ですって?」
業者《そちらは、ク・チャンソンさんではないんですか?》
電話を切るジウォン。
ジウォン「ク・チャンソン? まさか・・・。 ク・チャンソン・・・・」
チャンソンの知らないうちに、ジウォンの魔の手が忍び寄ってる。
ジウォン「なぜ、ここで、お前に会うんだろうなぁ」
~チャンソンの自室~
部屋で、母親や自分の写真を見ているチャンソン。
サンチェス「まだ、今日も家にいるのか?」
サンチェスが心配してます。
チャンソン「うん」
サンチェス「もう、マノリのホテルには行かないつもりなのか?そこに通い続けて、復職できたって言ってただろ?」
チャンソン「まだ、片付いてない件があるんだ。もし、このまま、あそこに行っても、ホテルのお客様のお世話をすることが出来るとは思えないんだ」
そう言って、写真に、視線を戻すチャンソン。
~図書館~
一人、チャンソンの母のいる本棚にやってくるマンウォル。
『存在と時間』を手に取る。
マンウォル「この難しい本を読んだら、答えが見つけられるの?『存在と時間』に費やした、完全に拒否された男を慰める方法を・・・」
パタンと本をとじると、その場に、母の幽霊が現れる。
マンウォル「あなたが隠してきた秘密が暴露されそうなのが、心配なの? 心配いらないわ。あんたの息子はそんなことは望まない。」
息子と聞いて、マンウォルに近寄ってくる母。
マンウォル「あの子は悲しんでいる。そして、私は彼を慰めたい。」
マンウォル「あんたが必要だわ。あんたを私のホテルに連れていくわ」
マンウォル≪復職。4番線に乗ってホテルに来なさい。あんたが見送る必要のあるお客様が待ってる≫
マンウォルからのメールを受け取ったチャンソン。
「俺が見送る必要があるお客様?」
~もとのホテルデルーナ~
最初、このネオンの看板、どーなのって思ってたけど、なんか、元通りのデルーナを見て、ほっとする。。
しばらく、ホテルの前に佇んでいたチャンソンが、ようやく、ホテルの中に入る。
ヒョンジュン「ク支配人様、復職をお祝いいたします」
チャンソン「また明洞に戻ったんだな」
ヒョンジュン「他の場所より、ここが一番好きなんです」
頷くチャンソン。
ロビーでも、ソンビやソフィが待っている。
チャンソン「今後ともよろしくお願いします。」
頭を下げるチャンソン。
そのまま、奥へと進んでいく。
ソンビ「富豪の家族と結婚すると思っていたんだがな。この幽霊ホテルに戻ってきた・・・。あいつは野心のない男なのか」
ソフィ「社長様には、ク支配人が必要なんです。野心のある男なんて、女には人気がないんです。時代遅れですよ。それに、その絶滅危惧種みたいなしゃべり方を止めるように言いましたよね」
ソンビ「私だって、たくさん、話し方を変えてみたんだよ。な、ほら。」
~三途の川への出発地~
リムジンに乗り込もうとする母親の幽霊と傍らに佇む引導使者。
そこへ、見送るために、チャンソンがやってくる。
複雑な想いを抱えながら、一礼するチャンソン。
「お待たせして申し訳ありませんでした」
「来てくれてありがとう」
「本の中の写真、僕が持っていてもいいですか?」
「そうしてくれる? 本当にごめんなさい」
「・・・・・」
ほんの少し、心が動いたような表情を見せるチャンソン。
乗り込む母に、それ以上、言葉をかけられなかったチャンソンが、出発したあとに、「どうかお元気で。 お母さん」とだけ呟く。
そのまま、巨木の庭にやってきたチャンソン。
待っているマンウォル。
マンウォル「見送ってきたの?」
チャンソン「はい」
マンウォル「ここに連れてきてしまって、悪かったわね」
チャンソン「連れてきてくださってありがとうございました。それから、また戻ってこいと言ってくれたことも・・・。」
マンウォル「こんなことを言うのは、すごく恥ずかしいけど、はっきりさせておくわ。あんたは、私が戻ってこいと言ったから、戻ってきたわけじゃない。私のためにそうしたんでしょ。あんたが戻ってこないように、薬を飲ませることもできたけど、私はそうしなかった。逃げ出す機会を与えるたびに、あんたが喜んで戻ってくると思ってたけど、本当は、私が、あんたが戻ってくることを望んでた。」
うん、ちゃんとわかってるじゃん。
チャンソン「僕のことを、復職させろ、としつこく迫るだけの人間ではないと認めてくれて、嬉しいですよ」
マンウォル「ク・チャンソン、私、あんたを利用するつもりよ。」
チャンソン「・・・・?」
マンウォル「あんたは、私のもとへ、あの女とヨヌを連れて来た、それって、あんたが、あの男も連れてくるって意味でしょ」
頷くチャンソン。
チャンソン「ええ、おそらく」
マンウォル「私は、そうなると確信してる。私は、絶対に、あいつを無傷では、ここを通さない」
チャンソン「それが、僕を利用する理由ですか?」
マンウォル「そのとおりよ。私は、悪くて、ずるいの。その結果、私のせいで、利用され、酷い目に合い、壊されてしまうかもしれない。」
チャンソン「それって、また、僕を逃がすために脅かそうとして・・・」
マンウォル「違う。逃げたりしないで。あんたは、既に、自分を危険に身をおくことも、さらすことも、決心してるでしょう。(だから)どれほど、危険だとわかっても、死にそうになっても、私の側にいて。たとえ、もし、私が狂暴になって、狂ったことをしでかし、いつの日か消えてしまうとしても、お願いだから、私の側にいて。」
目に涙をためて、訴えるマンウォル。
チャンソン「いいえ。」
え?と、チャンソンの言葉を待つ間の、マンウォルの瞳に、不安が浮かぶ。
マンウォルに近づくチャンソン。
チャンソン「僕は、あなたを消えさせたりしない。」
マンウォルの頬に、そっと手を添え、涙をぬぐう。
チャンソン「僕を信じて。」
そのまま、マンウォルを抱きしめるチャンソン。
そんなチャンソンを、ゆっくりと抱きしめ返すマンウォル。
抱きしめる手に力を込めたチャンソンが、がっつり大人の男で、でも、がっついてなくて(笑)、マンウォルを包み込む感じが、すごくチャンソンらしい~♪
二人の傍らに立つ、巨木の青いつぼみがまた、膨らみ、一気に花開いていく。
★『ホテルデルーナ』10話(3)雑感★
まずは、チャンソンのオンマの件、ちょっと唐突な気もしないでもないけれど、事情や経緯には一切、触れず。ただ、一言だけ、母親が謝罪するというだけにとどめてました。
それでも、チャンソンのアッパは、本当は、オンマが校長先生をしている小学校に、チャンソンを入れたかったんだろうなぁ、とか、高級住宅エリアに住めなかったけど、時折、連れてきていたのは、少しでも、母親を感じるそのエリアで過ごさせたかったのかな、とか、いろいろ、推測できるヒントは、会話の中にちりばめられていましたね。
いつもは冷静なチャンソンがマンウォルを拒絶するほどの悲しみと混乱を見せても、結局はマンウォルのために動くことも、生まれ変わったヨヌを見た時の、マンウォルの表情も、良かったです。
お互いを想う気持ちの深度が深まっているような気もしますが、なんとなく、この2人は、もともとそうだったような気もします。
花は見事に開きました。。。