一人、なにも知らされない、ソンギョルの坊っちゃん感。

それな。

 

2分割してます。

『まず熱く掃除せよ』第14話(前半)はこちら

 

ネタバレOKの方のみ、おすすみください。お願い

 

 

~社長室~

「うわ、なんて、ロマンティックだ。デートのために、映画館を借り切ったって?そんなことは、映画の中だけでしか起きないものかと思ってたのに・・・」

クンクンは、“ロマンティック”って言葉が、結構、お気に入り♪

 

「からかうのはやめてくれ。そんな気分じゃないんだ」

「からかってなんかいない。本気で感心してるんだ。それで、うちのチョン・ソンギョル氏のほうから、私に連絡をしてきたのはどういう風の吹き回しか、しかも、こんなに、おいしいお茶まで入れてくれて・・・」

「まぁ、それほどのことでもないが、私の強迫神経症について、本当にあなたに治療できますか?その分野では、かなり有名だそうだが。」

「これまた、なんて、模範的な答えだな。驚いた。。素晴らしい答えだな。そうだな。今の状況を変えたくなったということ?」

「はっきりとは言えないが、心地よくないと感じるようになったんです、特に最近。私が、他の人と違うという事実が、どうにも、不快に思えてきたんです。前にはこんなことはなかったのに・・・。」

「その理由は?長年にわたり、そのライフスタイルを維持することで快適だったのに。私が聞きたいのは、なぜ、突然、不快になったのかということです」

「キル・オソルのため・・・です。キル・オソルさんのために、変わりたいんだ。彼女のためにしてやりたいことが・・・たくさんある」

「いい変化の傾向だ。理由はどうであれ、ついに、自分自身で変わりたいと望むようになった。」

まぁ・・・端的に言えばそういうことなので、特に、反論もないソンギョル。

急に立ち上がり、ソンギョルに近づくクンクン。

クンクンに対して、身構えるものの、これは強迫神経症の反応じゃないよね。


「それならば、精神的な治療を受ける準備が整ったとも言えるな、私が要求する何から何まで・・・」

「何から何まで?」

「ああ」

身構えを解くソンギョル。

「まぁ、仕方ないだろう」

「OK!じゃ、今日から、問題解決のために、始めることにしよう」
若干、怯えモードで頷くソンギョル。

 

~ソンギョルの車内~

え?いきなり、外出?

クンクン「なぁ、このビニールカバー外してもいい? この音がどうにも耳障りなんだよ」

またも、助手席で文句を言うクンクン。

何度も言いますが、それが許されるのは、キル・オソルだけです(笑)


「だめだ、だめだ、外すなよ。だめだからな」

「助けてほしいって言わなかったか? ああ、気分悪い」

「ところで、これから、一体、どこにいくつもりだ?」

「俺たちがどこにいくかというと・・・なんと言えばいいかな? 認知行動療法のための小さな旅行のようなものだ」

「旅行?」

「言い換えれば、“ト・レ・イ・ニ・ン・グ”?」

クンクンの軽い言い方が、逆に不安で仕方がないソンギョル。

 

~マンションの駐車場~

アッパの車掃除を手伝うオソル。

「おい、お前の助けなどいらん。もう帰れ」

「いいのよ。もう終わったもん。ね、見て、すごくきれいになったと思わない? これでも、会社では、チームのエースだったんですからね。」

「なにがエースだ。この車の持ち主は、うるさいんだぞ。ほこり一つ残ってたって、文句を言われるんだからな、・・・お、これはこれは・・・さすが、俺を見習っただけのことはあって、徹底的だな。」

オソルの仕事ぶりを評価したアッパ。

「さ、終わったね。他に、綺麗にするのは?」

「今日は、もう終わりだ」

「終わり? じゃ、早く終わったんだから、うどんでも一杯食べてく?」

「は、お前が手伝うって言ったときから、目的はそれだと思ってたよ。こっちはどうだ?」

飲む仕草をするアッパ。

「当然でしょ、行こう」

 

~郊外の公園?~

クンクン「わ~お、ネットで見た写真より、もっと、ロマンティックに見えるな」

見知らぬところに来て、緊張気味のソンギョル。


「ねぇ・・私たち、今夜、ここで一緒に寝る?」

まるで、彼女みたいな口ぶりで、はしゃぎながら、走り去っていくクンクン(笑)

「え? 一緒に寝る? ここで? なんで? どうして?なんで、ここで寝るんだよ?おい、待てったら・・・。そこで、止まれ!」

追いかけるソンギョル。

 

~いつもの居酒屋~

アッパと飲むオソル。

「なんで、突然、部屋の掃除なんかしたんだ? 母さんの忌日でもないのに・・・」

「ああ、ただ、ちょっと散らかりすぎてるなぁって思っただけよ。私、いつも疲れていて忙しいって言い訳して、定期的に掃除をしてなかったけど、もう、そんなふうにしたくないの。いろんなことをちゃんとして、問題を先延ばしにするのをやめようかと思って・・・。だから、自分の部屋を掃除したのよ」

「・・・そんなに、あの男が好きか?」

「え?」

「アッパがどんなに心配しても、お前は、俺の話など聞きいれたことはなかった。だが、あいつと付き合うようになって、お前は本当に変わったよ」

「なによ、そんなことないって。。バカなこと言わないでよ。アッパ」
「何を言うか。じゃ、なんで、そんなに耳を真っ赤にさせてるんだ。嘘ついても、顔に書いてあるぞ。アッパは・・・嬉しいんだ。もう安心だ」
嬉しそうに、オソルを見るアッパ。
「それで、これからどうする気だ?つまり、仕事を辞めたことだ。なにか考えてるんだろう?」
「しばらくは、今日みたいに、アッパを手伝いたいの。生産的なことをしないと言っているんじゃなくて・・・。少し時間をかけて、私が本当にやりたいことを見つけたいの。運動をやめてから、じっくりと、自分が本当にやりたいことについて、考える機会がなかったの。“どんな仕事でもいいから、ただ、働ければいい、ただ、まともに暮らせるように稼げればいい・・・” そんな風に思ってきたの。でも、もうそんなふうに生きたくないの。私の人生を楽しむことができるように、私が本当に好きなことや、やりたいことを知りたいの。だからこそ、どんなに時間がかかっても、正しい道を歩いていきたい」

「わかったよ。もし、母さんがそれを聞いたら、きっと喜んでくれるだろう」

「オドルの問題も解決したでしょ。オンマからの贈り物みたい。ああ、(オンマに)会いたいな。」

それを聞き、涙ぐむアッパ。

「あ、アッパ、なんで、オンマのところに一人で言ったの?一緒に行けたらよかったのに」

「え?」

「花やヨーグルトを置いていったのは、アッパじゃなかったの?」

「お前、なんの話をしてるんだ? 忙しくて、母さんのところに行ってる暇がなかったんだ。だが、すぐにでも行くべきだな。ほったらかしにしてるような気がしてきた・・・」

クンクンのところにあったレシートのことを考えるオソル。
 

~キャンプ場?~

外で火を焚いて、座っているクンクンと、ソンギョル。

「ああ、虫、どっか行け。ああ、凍えそうだ。一体、俺たちはここで何をしてるんだ。家に帰ろう」

「オソルのために変わりたいんだろ。あんたの想いは、そんなもんなのか?」

「うわ~、やっぱり、あんたはインチキ医者だった・・・。それで? これはなんだ? 俺はどうすればいい?」

「良かったよ。俺が考えてたより、あんたがいい男みたいで・・。」

「なんだよ、突然」

「俺に、キル・オソルを諦めさせても後悔させないって確信してるだろ?」

「なんの話だよ」

「なんでもいい・・・、頼むから、オソルを守ってくれ。あんたが諦めさえしなければ、きっとうまくいくって思ってるから

「それは、チョ・ハインさんが心配することじゃないが、ま、俺は絶対に諦めないけど。俺が、いつもどんな時でも、キル・オソルのことを守り、ちゃんと安全にいさせるよ。そのためにこそ、今ここにいるんだから」

「で、楽しんでる?」

「あんまり・・・。でも、やるべきなんだろ? やるよ、これから、必ず

頷くクンクン。

 

~チャン会長自宅~

書斎で、話をするクォン秘書。

「そうか。それで、懲罰委員会のリストはどこだ?」

「その前に、会長様にお話しなければならないことがあります」

「ああ」

「私は、もうこれ以上、会長のために働くことはできません。代表様がのぞまないことを、もうやりたくないのです」

「あいつが望まないこと?」

「懲罰委員会を含め、あらゆる面での嫌がらせを止めてください。キル・オソルさんの家族に苦労をかけるのを止めてほしいんです。彼女は、会長のために、自発的に仕事を辞めたんです、もうほっておいてあげることはできませんか?」
「ソンギョルが、その子とつきあうことにしたようだな」

「二人の問題です。会長様には関係のないことです」

「なぜ、あの子の母親が、あのチュンアン洞の事故で死んだと私に報告しなかった?」

目を伏せるクォン秘書。

「私は、自分のやり方で、ソンギョルを守るつもりだ。わかった。今までご苦労だった」
 

~校庭のベンチ~

ジュヨン「明日、懲罰委員会が開かれるんでしょ?」

頷くオドル。

「緊張しないでね。全部、うまくいくから」

「そんなこと、言いにきたのか?」

「ううん。これを返そうと思って・・・」

バッグの中から、バッチを取り出すジュヨン。

溜息をつきながら、受け取るオドル。

さすがに、この前の告白に対する拒絶の返事だと思うよね。

「あんたが懲戒委員会後に、勝った最初のメダルをちょうだいよ。」

驚いたように、ジュヨンを見るオソル。

「私がどんな女か、知ってるでしょ、金メダルしか受け取らないからね。だから、がんばりなさい」

「な、本気か?おい、本気だろうな。もし、金メダル取ったら、付き合ってくれるのか?」

「そういうことなんじゃない・・・ラブラブ

上着を脱ぎ棄てて、部員のほうに走っていくオドル。

「おい、やったぞ!」

とりあえず、盛り上がる部員たち(笑)

「オレ、絶対、金メダル取るからな」

 

~自習室?~

勉強中のオソル。

メッセージを受信すると

ソンギョル《窓のほうに来て》

周囲を見回して、静かに窓に近づくオソル。

“愛してる、キル・オソル”と描かれた風船が束になって昇ってくる。

《愛してる キル・オソル》

《君はたったひとり》

《とっても可愛い》

《俺だけを見ろ》

《一緒に行こう》

《いつも一緒にいよう》

思わず、笑ってしまうオソル。

 

オソル「(超小声で)もしもし・・一体、どうしたの?ちょっと待ってね」

周囲の勉強している人たちに邪魔にならないように、外に出てくるオソル。

 

「外にいるの?」

「いや、キル・オソルさんのすぐ前にいるよ」

見計らったようなタイミングで現れたソンギョル。

「でも、どうやって、ここに入ってきたの? 手袋は?」

「素手で、ドアをあけて入ってきたよ」

両手を広げてみせるソンギョル。

「特訓をうけたんだ」

「特訓?大丈夫なの?」

急に、顔が強張ってくるソンギョル。

「大丈夫だと思ったんだけど、実はちょっと、辛いんだ。早く、外に出たほうがよさそうだ。」

「行きましょう」

 

風船を飾り付けた庭に出てくる二人。

ええっと、今日は、付き合い始めて、何日目とかのお祝い?

「手を洗って来てもいいかな」

そういうソンギョルの手を取ると、自分の頬に押し当てるオソル。

「すっごく、誇らしいです、代表様のことが・・・」

「もうちょっとだけなら、こうしていられるかもしれない」

現金なソンギョルに、笑い出すオソル。

ポッポしまくりの2人、こんなとこで、なにやってんだ・・・なツッコミは無粋かもしれないけど、寒いだろうなぁ。 ← メイキング映像、見てみます?

 

~カフェ~

クンクン「CCTVの映像、ありがとうございました」

相手は、クォン秘書。


クォン秘書「申し訳ありませんでした。あれが、私があなた方に出来る唯一のことでしたから」

クンクン「ずっと聞きたいと思っていたんです。あなたと、チャ会長との間の関係は? なぜ、クォン秘書様がチャ会長を支えてきたのか、理解できないんです。それだけじゃなく、あなたは、チョン・ソンギョル氏の周囲に関しても、積極的にかかわってきた。それもまた、チャ会長のためだったんですか?」

実は、前に、クォン秘書の息子ちゃんが出てきたシーンを見て、その可能性をチラッと考えたりしちゃった。強迫神経症は遺伝じゃないけど、誘因が同じってさもありなんでしょ。



「いえ、チョ会長様のためじゃありません。自分のためです。私にとって、代表様は、私の息子の将来を意味してるんです。代表様を幸せにすることが私の使命だと思ってやってきました。でも、その判断は間違っていたようです。私がしたことは、代表様をもっと辛い立場に追い込んでしまいました。

それで、明日の懲罰委員会のことですけど、うまくいかないかもしれません」

「突然、なんですか?」

「会長様が、オソルさんのことを知ってしまわれたんです。チュンアン洞の事故で、彼女のお母様が亡くなったという事実までも。会長様は、あの二人を別れさせるつもりです。そのためには、家族も利用するでしょう」

 

~チャ会長の自宅~

会長を訪ねてきたクンクン。

「私は、チャン・ソンギョルさんの主治医、チェ・ハインと申します。少しお話できますか?チャ会長様」

 

クンクン「つまり、あなたには、せいぜい(余命が)3か月しか残されておらず、そのことを、ご家族にも告げていない。相続人が決定する前にそれが表ざたになれば、AGグループは苦境に立たされることでしょう」

チャ会長「今、わしを脅しているのか?」

クンクン「ええ、そう思われるのであれば、そういうことになります。脅迫しています」

チャ会長「望みはなんだ? 目的があって、こうして出向いてきたんだろう」

クンクン「キル・オソルの家族を放っておいていただけませんか?6年前、チュンアン洞の再開発を請けていたAGグループは、会長様の判断ミスで、4人もの犠牲者をだした。そして、そのうちの1人があの子の母親であることも、あなたは知っていると聞いています。会長様のせいで、犠牲となった者とその家族に謝罪する代わりに、二度も彼らを踏みつけるつもりですか? あなたを阻止するために、脅迫よりももっと悪いことをするかもしれません」

クンクンから、一切目をそらさず、むしろ挑発的な視線を送るチャ会長。

 

~[掃除の妖精]社内~

オソルと電話で話しているソンギョル。

「今日だったよね、懲罰委員会は?」

「ええ、でも、結果はほとんど出てるようなものですから。心配はいりません」

「それなら良かった。仕事が終わったら、うちにくる?お祝いのパーティをしなきゃ」

「そんなパーティーなんて。ケーキは? なにかおいしいものでもつくりましょうか?あ、雨だ」

振り返り、窓の外を見るオソル。

「あ、洗濯物を外に干しっぱなしなの。代表様、ごめんね。また、あとで掛けなおします」

 

屋上に来てみると、洗濯物はすでになく・・・傘をさしかけるクンクン。

「俺が取り込んでおいたよ」

 

クンクンの家で、温かいお茶を飲むオソル。

「ありがとうございます」

「オドルの懲罰委員会に一緒に行ったのかと思ってたよ」

「ああ、私までくる必要ないって、あの子が怒り出して・・・。うまくいったかしら。オドルがまた、練習できるようになれば、それだけで嬉しいのに」

その望みは、チャ会長次第と知っているクンクン、固い表情を崩せません。

「あ、あのレシートのことだけど・・・。うちのアッパがここに置いていったって言ってたけど」

「うん」

「うちのアッパは、そこに行ってないって言ってたの。私に隠してることがあるんじゃないの?」

「いや、隠してることなんてないよ」

「もしかして・・・屋塔先が、ヨーグルトを置いておいてくれた人なの?」

なんと答えようか、一瞬、迷うクンクン。

「ん。そのとおり。俺だよ、あのヨーグルト」

「本当に? なんで?」

「ずいぶん前に、君が俺にヨーグルトをくれたことがあったんだ」

 

~回想~

「さぁ、これ、飲んで」

道端にすわり、昼食を食べていた作業服姿のクンクンに、にっこりわらいかけた女子高校生時代のオソル。

「冷たくて美味しいうちに飲んでね」

 

「あのときのヨーグルトは、俺に安らぎを与えてくれたんだ。俺は慰められたのに、君はそうじゃなかった。だからだよ。あの瞬間から、俺は、君と君の家族のことがいつも頭の中にあった。俺は、君と親父さん、そして、オドルとずっと一緒にいたいんだ。あまり助けにならないこともわかってるけど、こんなふうに、ここにいてもいいかな? もし、君が許可するなら、俺は君を助けたいんだ、どんなことが起ころうと。」

今まで、断片的に聞いてきた、自分に対するクンクンの想いが、とても深いものだったと知って、衝撃をうけるオソル。

 

~懲罰委員会~

「我々は、ドンミョン高校テコンドー部のキル・オドル選手に対し、1年の練習休止を命じる」

オドル「え?」

アッパ「え?1年? あれは、誤解だと・・。自衛行為だったことはご覧になったでしょう? 先生様、先生様・・・」

部屋から出ていく審議官たち。

俯き、拳をふるわせるオドル。


アッパ「なにかの間違いにきまってる。アッパが、なにがおきたのか、コーチと話してくるから・・・心配するな」

部屋を出て、オドルを励ましているところで、少し離れた廊下から、「キル・オドルの懲戒処分については、ちょっと厳しすぎたんじゃないですか?」と話す声が聞こえてくる。

「(その学生と)AGグループとの関係は?」
「聞いてないのか?彼の姉さんがAG グループの孫と交際しているっていう噂だぞ」

「本当か?」
「しらなかったのか?」
会話をしている2人に、近づいていくオドル。
「なんの話ですか?AGグループ?」

「オドラ・・・」

ひきとめようとするアッパ。

「AGグループって、一体、なんの話ですか!?」

怒り出したオドルの代わりに頭をさげるアッパ。

「あの・・・申し訳ありません」

去っていく男たちを追いかけようとするオドルを必死になだめるアッパ。

「ちょっと、ちょっと・・・。アッパ、あいつら、一体何の話をしてたんだよ」

ショックで、涙声のオドル。。。

 

~オソルの部屋~

窓辺に飾られた、クンクンが可愛く飾ってくれたサボテンの鉢植えを見ているオソル。

 

《俺は慰められたけど、君はそうじゃなかった》

 

ふと、我にかえり、時間を確認すると、コートを羽織るオソル。

その時、玄関の開く音が聞こえる。

 

「帰ってきたのね? どうだった? 練習、続けられるんでしょ?」

じっと、オソルを見つめるオドル。

「な、なんで、そんなにびしょ濡れなの? なによ、うまくいかなかったの? アッパ・・・」

オソルに、ドンとぶつかったまま、無言で部屋に入ってしまうオドル。


アッパ「なんで、あいつなんだ?」

オソル「どういうこと?」

アッパ「なぜ、あの野郎なんだ?あいつが、AGグループの孫だと知ってたのか? なんで、あいつなんだ? なんで、よりによって、奴なんだよ? なんで、お前の母親を殺した奴の家族と付き合わなきゃならないんだ、なぜ?」

オソル「AGって? 一体何のこと? 代表様が、AGグループの一員だっていうの? そんなわけないよ。そんなの、どうやって・・・」

アッパ「あいつらは、お前の母さんを殺しただけでなく、今や、お前の弟の人生までも滅ぼそうとしてるんだ。あいつらは、お前の弟の人生まで台無しにするつもりだ。なんてことだ・・・」


言葉を失くすオソル。


 

玄関に立ったまま、その話をきいているクンクン。

避けては通れないことが、とうとう起きてしまったのね。

 

~ソンギョルの自宅~

ケーキや花で飾られた食卓。

以前、オソルに告白しようとして、「恋愛感情はない」と言われ、渡せなかったスワロフスキーのネックレスの箱を手に取るソンギョル。

 

玄関の鍵の解除音が聞こえ、ネックレスを後ろ手にもって、玄関に急ぐソンギョル。

「遅かったな」

びしょ濡れで、明らかに様子のおかしいオソル。

「どうした? なにかあったのか?なんで、そんなにびしょ濡れなんだよ?」

「私たち、これ以上、お会いするのは止めましょう」

「なんだって?」

「別れましょう」

「何言ってるんだよ? なにかあったのか?とりあえず、中に入ろう。ここじゃ寒いし、風邪を引くよ」

差し出したソンギョルの手を、思いっきり拒否するオソル。

床にたたきつけられたネックレスの箱も、お祝い用に飾られた食卓も、今のオソルには、目に入らない。

「別れたいって言ったんです。別れましょう」

「なんで、突然、そんなことを言うんだ?さっき、電話で話したときは、全然、平気そうだったじゃないか。俺がなにか悪いことでもしたのか?なにか怒ってるなら、いや、俺に腹を立ててるなら、言ってくれないか?そうすれば、なおしたり、できることはなんでもするから・・・。一体、なにが原因なんだ?」」

「代表様は何も悪くありません。私が・・・ただ、全部嫌になったんです。これ以上、代表様の側にいることができないんです。だから、ここまでにしましょう」

そう言うと、玄関をでていくオソル。

大混乱のなかでも、オソルの本気度だけは伝わったソンギョル。

 

~オソルの部屋~

びしょ濡れのまま、力なく戻ってきたオソル。

座り込むと、声を押さえて、泣き始める。。。

 

~社長室~

電話をかけても、「おつなぎできません」という非情なメッセージが流れるだけ。。

《このメッセージをみたら、電話してくれ》

既読にならないカトクの画面。

留守電にメッセージを残すオソル。

「キル・オソルさん、話をしよう。連絡をくれ、頼むから」


そのまま、床で眠ってしまったオソル。

「1件目、“キル・オソルさん、話をしよう。連絡をくれ、頼むから” ・・・このメッセージを削除しました」

震える手で削除すると、携帯を裏返し、身体を丸めるオソル。

 

~回想~

6年前、事故現場に作られた祭壇の前で、茫然と母の遺影を見つめているオソル。

弔問に訪れたチャ会長に詰め寄ろうとする被害者遺族や反対派を AGグループの関係者が押しとどめている。

「妻の命を返せ!」

その間をかいくぐり、チャ会長に駆け寄るアッパ。

「妻の命を返せ、この人殺し!」

抱えられ、引き離され、そのまま、道に投げ出されるアッパ。

「アッパ、アッパ、どうしたの?大丈夫?」

助け起こすオソル。

大混乱の中、戻っていく会長の後ろ姿をじっとにらみつけるオソル。

「出ていけ!」

「よくも、ここに顔をだすことができたもんだ」

人々の怒号。

 

目もうつろに、ベッドで横になっているオソル。

壁に貼られたオンマの写真を見て、辛そうに目を閉じると布団にしがみつく。

アッパ「じゃ、仕事に行ってくるからな。なにか、食べなきゃだめだぞ。お前まで、心配かけたらだめじゃないか・・・」

無言のオソルに、静かに、扉をしめるアッパ。

 

家から出てきたところで、待ち受けているソンギョル。

「お父様・・・」

深々とお辞儀をするソンギョル。

そんなソンギョルにかける言葉もなく、通り過ぎようとするアッパ。

「お父様、キル・オソルさんと連絡がつかないんです。もしかして、今、家にいますか?」

「誰が、“お父様”と呼んでもいいと言ったんだ?」

「え?」

アッパだって、わかってるんだよね。。。

この青年には、直接の非はないんだってこと。ただ、家族と言うだけで・・・敵対の対象になってしまうんだよね。

「もう、ここには二度と来ないでくれ。うちのオソルから、できるだけ遠くに離れてくれ」

そう言って、去っていくアッパ。

アッパの態度から、この状況が、単なるオソルと自分との行き違いなだけではないことを漠然と感じるソンギョル。

 

次に、門から出てきたのは、クンクン。。

家の近くの公園で、話をするソンギョル。

「俺が、キル・オソルさんに対して、なにか間違ったことをしたに違いないが、それが何か分からないんだ。彼女に直接会って、謝罪したいけど、正直なところ、一体、何を謝罪すべきかわからなくて・・・。電話をかけて、メッセージも送ったのに、返事もない。昨日からずっとだ。心配で、とても仕事が手に付かない。・・・キル・オソルさんは、今、家にいるのか? 病気じゃないだろ?」
「大丈夫だ、だけど、今、オソルはとても苦しんでいる。チョン・ソンギョル氏にとっても難しいことかもしれないが、彼女にしばらく時間を与えてやってくれないか?それが、オソルだけじゃなく、二人にとって、最善だと思う」

「だから、俺が言ってるのは、なぜそうしなければならないのか知りたいっていうことなんだ。いや、その理由を知らなきゃならないんだ。さっき、キル・オソルさんのお父さんに会った。今まで、あんな風に、俺に接したことなんてなかった。どういうわけか、俺にすごく腹を立てているように見えたが、俺には、その理由を理解することができないんだ」

なんと答えるべきか、自分の口で話せる限界を思うクンクン。

今、この状況が一番、見えているのは、誰よりも、クンクンだけど、これは、キル家の問題でもあるわけだしね・・・。

 

その時、ちょうどその場に、呆然と通りかかるオソル。

「キル・オソルさん」

ソンギョルの声に、わずかに反応し、その方向に顔を向けるオソル。

慌てて、オソルに駆け寄るソンギョル。

「キル・オソルさん」

見つめ合う二人。

そのまま、踵をかえすオソル。

 

★第15話(前半)に続く★

とうとう、発覚しちゃったね。

結構、ドラマ初期から、この問題に関する布石はあったので、ようやく、という気がしないでもありませんが、クンクンが再三、言っているとおり、ソンギョルさえ、諦めなければなんとかなる、の一言に尽きます。

そして、ソンギョルに諦めさせないためには、オソルの変わらぬ愛が必要で・・・。

メビウスの輪のようです。


ラップアップパーティーの映像が出始めてますね。


私の筋追いも、あと残すところ、2話まで来ました。。。


★『まず熱く掃除せよ』第15話(前半)に続く★