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『花遊記』第16話(1)は、こちらから。

『花遊記』第16話(2)は、こちらから。

 

■ 第16話(3)

~ルシファー会長室~

赤ちゃんをあやすことをやめられない魔王。

「アイゴー、どうした?」

「しかし、魔王がこんなにベビーシッターがうまいとはな。だが、俺はどうかと思うが・・・」

「もともと、お前が連れてきた赤ん坊だろう。どうしろって言うんだよ?白サギが置いて行ったとか言ってたが」

「お前、なにか知ってるか? ウリソンミを五行山に入れるとき、どうやって、あいつを見つけて、入れることにしたんだ?誰かが、魔王に手がかりでも与えたのか?」

「いや、そうじゃない。私は特別な人間を探している間に彼女を見つけたのだ。彼女は、すでにとても有名だったからな。」

「チン・ソンミが?」

初耳な悟空。

「それが、ジョナサンが彼女についての映画を作ろうとしている理由だ。お前は『Wooja(ウジャ)』に関するニュース記事を見たことないのか?」

 

ジョナサンに事情をきくことにした悟空。

「主人公のWoojaは、ソンミの人生がモデルです。ずっと昔、謎の疫病が村全体を一掃したことがあって、死亡した人の中には、妊娠中の女性がいました。死亡する直前に、健康な赤ん坊を産んだのです。

その女の子がソンミです。」

 

白鷺に導かれて、見た映像で、大勢の人が伝染病によって、なくなったり、苦しんだりしていたことを思い出す悟空。

 

「その後、彼女は呪われていると思われ、周囲の誰からも嘲笑され、ずっと無視されたり、続けたんです。しかし、私は彼女が、村の人すべてを救ったと信じています。」

「どうして、そう言い切れる?」

「彼女が生まれた後、伝染病は収束しました。実は、私は研究をしながら健康診療所で会った医師からすべてを聞いたんです」

「医者?」

 

《あなたが今見ているのは、三蔵の誕生です。》

《新しい三蔵の始まりを見せたかったんです》

 

「俺は医者にも会いに行くべきだな」

 

 [ヨンゴック(蓮)村保健センター]

蓮ねぇ・・・。

まるで、悟空がくるのを待ちわびているかのように、窓から外を眺めている白鷺女医。

 

マ秘書が驚くほど、片時も、赤ちゃんの側を離れない魔王。

無条件に、可愛い、可愛いと言って、あやし続ける。

「赤ん坊っていうのは、奇跡だな。何をしていても、愛らしいんだ」

 

「魔王様に子供がいたら、彼または彼女をとても可愛がったでしょう」

「私の子供・・・、アサニョが私を騙そうとして言っただけかもしれない。だが、しかし、子供が生きている可能性があると聞いた瞬間から、それが真実であることを切望しているのだ。」

「可能性は非常に低いです。魔王様は動揺されているだけです」

「わかってるよ。」

それでも、あやすのを止めない魔王。

「子供が生きているならば、たとえ彼らが私を1000年も騙していたとしても、彼らを許すことができそうだ。」

魔王の想いの深さに、言葉を失うマ秘書。

「べろべろば~」

そこへ、入ってくる悟空。

「魔王、少し話がある」

「ハァッ?お前、おむつを買ってこなかったのか?お前が家に連れてきても、責任を負わないからな。まったく!」

 そんな魔王の嫌みも一切無視し、赤ちゃんにまっすぐ向かう悟空。

着せられた衣服をめくると、刺しゅうされた [蓮村保険センター]の文字。

 

「思ったとおりだ、俺を呼び寄せるための餌だったんだな。こいつを連れていくぞ」

「え?今すぐか?ミルクを飲んで寝たばかりだぞ」

「とにかく、赤ん坊にお別れを言え。こいつには理解できないから、手短かにな」

「お別れ?ああ、まったく・・・勝手に連れてきたくせに、いきなり・・・」

「急げ!」

「わかったよ。まったく、どうしろって言うんだ」

渋々、おもちゃをまとめる魔王。

「急いで、そこに入れて」

 

「さっさと、連れていけ!」

別れがつらくて、直視できない魔王が背を向けているすきに、さくさく、運び出す悟空。

犬「行ってしまいました」

牛「ああ、なんて、無常な大馬鹿め。たった、一日の4分の1を過ごした子供でさえ、送るのがこんなに辛いのに、チャ・ウンは、どれほど辛かったのだろう。もし、天が救われた赤ん坊を奪い去ったのなら、私は決して、彼らを許さん」

 

結局、ス・ボリ師のところにやってきた魔王。

お菓子の箱を差し入れる。

「魔王、完全に回復したようだな。予想どおり、さすが強いな」

「私が強いとは、どういう意味かな?過去と比べて、はるかに弱くなってきたようだ。」

「それは本当かもな、以前の魔王は本当に怖かった。今のお前は随分、甘くなった」

「私は甘いな、ああ」

「魔王、菓子のお礼に、グッドニュースを教えよう。羅刹女の最後の生涯で、彼女を殺した人間に神の罰が与えられることになった」

【Official Report】

ファイルを手に取り、目を通す魔王。

「それは良かった」

 

「羅刹女は二度と再び、彼女の子供の損失に耐える必要はなくなった。彼女の最初の痛みであった子供は、どうやって死んだのですか?」

顔色が変わるス・ボリ師・・

「彼女と私に生まれた子供を救うために、餌になる人間を捕まえるという罪を犯した。その女性の刑罰を終わらせることだけを考えてきた私は、死んだ子供について考える機会がなかったのだ。ちゃんと教えてくれ。」

 

「羅刹女の罰は、今や終わった。これ以上何かをもっと知りたいというのだ?いままでどおりだ。ただ、神仙になることに集中しろ」

ス・ボリ師、魔王の目を見られません。

 

「子供は確かに死んだのか?」

更に、返答を迫る魔王。

「そうだ。確かに死んだ。」

 

「さて、これから緊急の会議があって忙しいんだ。この菓子は分けあって食べることにするよ」

唐突に立ち上がると、一瞬で、消えるス・ボリ師。

「当然、彼はしないだろうがな、本当のことを俺に言うなど・・・」

 

 

~雑貨店~

孫君相手に、マカロンをつまむス・ボリ師。

「女主人はまだ戻っていないのか?もう戻ってくる頃だろう。」

「メールで連絡してくるだけだもん。ハルモニをどこに行かせたの?剣を探すために外出しているとは言わなかったのですか?」

相変わらず、ゲームをしながら、会話してる孫君。

「お前、それを聞いたのか?」

「僕には、能力があるのを知ってるでしょ」

と、得意げに話す孫君。

 

「その能力を持ち腐れさせず、ちゃんと店の仕事をしろ」

「つまんないこと言わないでよ。客なんて一人もこないんだからさ」

まったく、誰に似たんだか?さ、食べてみろ」

え?まさか・・・この子が?ス・ボリ師と女主人が、ずっと隠し育ててきたとか?

こうやって、まんまとミスディレクションさせられるのかな(笑)

アサニョかなぁって思ってたけど、だんだん、彼女、エグくなっちゃたし、おそらく、魂の浄化は猪八戒がらみになりそうっていう予想外しながら見てますが、果たして・・・。

いや~、妖怪の性別とか年齢って、見た目関係ない(らしい)から、なんとも言えないけど、うわ~、気になる。

 

~銀行~

カウンターに座っているソンミ。

なにも嵌っていない指をみて、ちょっと溜息をつく。

 

そこへ、年配の女性が入ってくる。

なにかを感じるソンミ。

 フィッシング詐欺にあったお年寄りが、警察の人になぐさめられている予知映像が飛び込んでくる。

「なぜ、あなたはそれをチェックせずに送ったのですか?」

「もともと、それを送金する予定だったので・・・」

泣き崩れるハルモニ。

「あなたのために、犯人を見つけますよ。必ずね」

 

カウンターの行員に向かって、

「すみません。ちょっと奇妙に思われるかもしれませんけど、あのおばあちゃん、ボイスフィッシングの被害者じゃないかと思うんですけど・・・・」

「え?」

 

一応、ソンミの言葉で、対応してくれた銀行側。

「大変なことになるところでしたね。電話を受けた後、こういうお金を送ってはいけませんよ」

行員が振込先のメモを確認している。

 

その様子を隠れてみているソンミ。

「まだ、この能力も残ってるみたい・・・」

 

 

~ソンミのオフィス~

赤ちゃん連れで、ソンミを待っている悟空。

ハンジュに話しかけます。

「彼女はいつ来るんだ?」

「え?」

「いつ、戻って来る?」

「ああ、彼女は銀行に行っただけだから、すぐに戻ってくるはずです。でも、この子は何なんですか?」

じーっと悟空を見るハンジュの視線(笑)

「違う! そうじゃない!」

「“違う?” アイゴー、思ったとおりです。子供がいる既婚者だと見せるために連れてきたんですね?」

「何だと?」

「あなたの家族が結婚に反対したため、あなたと代表は別れることにしたんですか?」

「誰が、あんたにそんなことを言ったんだ?」

「じゃ、なぜ、彼女から、指輪を取り戻したのですか?」

「ああ、指輪か、再びそれを取り戻してこなきゃ」

「あなたは、それを取り戻すつもりですか?もちろん、あなたはそうすべきですよ!プレミアムコーヒーを入れてきましょうか?」

ソン室長と、ソンミの縁がつながりそうで、もちろん、心配もしてたけど、途端に現金なハンジュ(笑)

 

「ああ、結構だ。ちょっと赤ん坊を見ててくれ。もし、こいつが泣いたら、ちょっとあやしてやってくれ。泣いたらだぞ」

頷くハンジュ。

これでも二児のパパです(笑)

 

赤ちゃんを残し、出ていく悟空。

一瞬、消えようとして、ハンジュがいるからちゃんと玄関から出てった(笑)

 

~雑貨店~

「ああ、よかった」

アサニョの香炉の中から、指輪を取る悟空。

「僕が見つけてあげたんだから、報酬ちょうだいよ」

ちゃっかり孫くん。

「お前、なにもしてないだろうが!」

「ハルモニが戻ってくるんだ。ちょろまかしたお金を戻しておかないと・・・」

「彼女は、どこへ行ってたんだ?」

「知らない。剣を探すつもりだとか言ってた」

「剣?こんなに時間がかかるなんて、どんな剣なんだよ?」

「そうだよね。あれは・・・あのヌナ(ソンミのことね)がここに来て、ちょっと良くない予言の水がめが割れちゃった日以来だから・・・かなりたってる。それだけ、重要なアイテムだってことだよね」

 

「良くない予言の水がめ・・・」

 

《私、世界が破壊されているのを見たの》

 

彼女はここでそれを見たのか?

きんこじも、ここから来た。

そして、今度は、剣...?

 

「おい、おまえのハルモニが帰ってきたら、まず俺に連絡しろ。」

手で、「いくらくれる?」のサインをする孫くんと、同じように、「金か?」とジャスチャーで応える悟空。

「OK」

了承する悟空。

 

「本当に、私は、君のそのメンタル力と自分勝手さには、逆に俺の信用を与えたいな、連絡もせずにここに来るとは」

「あなたは、私の後援者ですから。」

「君が本当に私をあなたの後援者にしておきたいのであれば、私に言ったことが真実であるという証拠を見つけてきなさい」

「信じていただけないので、証拠を見つけてきましょう。私に少し時間をください。」

自信満々なアサニョ。

 

 

~ソンミのオフィス~

「誰の赤ちゃんなの?」

銀行から戻ってきたソンミが、じ~っと悟空を見つめる。

「違うって。そんなふうに俺を見るな。なんで、みんなして、誤解するんだ?」

日頃の行い?(笑)

 

「じゃ、なんで、この子と一緒にいるの?」

「俺は、この子を返しにいくつもりだ。一緒に行こう」

「どこへ?」

「お前が生まれたところだ」

「なぜ?」

「呼ばれたんだ。行ってから、お前がどうやって始まったのか、聞いてみよう。お前の運命は、俺たちが出会う前から、決められていたのかもしれない。お前が生まれた時から」

 突然の申し出に、ためらうソンミ。

「私は生まれてから、ずっと不運だったの。私の両親は、多くの村人と同様に亡くなりました。人々は私が不吉な子供で、私を好きではないと怖がっていた。私の叔父が私を避ける理由は、同じ理由からよ。」

「知っている。行って、もう一度調べてみよう。チン・ソンミが本当に不吉な子供であったのかどうか」

不安そうなソンミ。

 

保健センターに到着。

テレポートじゃなくて、車(オゴン号)でのプチドライブだった(笑)

「ここは・・・」

「そうだ、お前が生まれた場所だ」

「そして・・・私の両親だけでな、たくさんの村人が亡くなった場所ね」

ソンミにとっては、心の傷を深く負った場所でもあるのね。

「さ、入ろう」

 

ここが疫病で大変だったときの映像が浮かびあがる中、赤ちゃんを抱えて、少しずつ、一歩ずつ歩みを進める悟空。

白鷺女医が待ち受けている。

「赤ちゃんを無事に送り届けていただき、ありがとうございます。」

赤ちゃんを、白鷺女医に渡す悟空。

 

「大変だったわね、赤ちゃん。まだ、生まれる時期ではなかったのに、あなたを旅に出してしまったわ」

ん?どういう意味?

魔王が、この子のことを、悟空に似てるって言ってた言葉どおり、受け止めていいの?

 

 

「チン・ソンミさん、本当に大きくなったわね。あなたが生まれたとき、私もここにいたのよ」

「え?でも、あなたはとてもお若くみえるのに・・・あ、人間ではないのですか?」

「そうだ、俺に お前を連れてくるようにしたのは、彼女だ」

「私は白鷺です。」

「あなたは、私のことをご存知なんですか?」

「あなたのハルモニのこともよく知ってます。特別な孫娘のことをとても大切にしていらした」

「本当に?でも、私をここに呼ばれた理由は何ですか?」

「私は、あなたが不吉な子供ではないことを、人々に伝えたいと思っていました。」

 

《突然現れた感染症は、野火のように広がっていったの。》

《小さな村だったので、この場所には患者が溢れていました。》

《感染した人は、あっという間に亡くなり、ここではどうすることもできなかった》

《患者の中に、臨月の女性がいました。》

《私は、その人が来たとき、人々を救う赤ちゃんが生まれるだろうと感じたの。》

《母親は亡くなったけれど、赤ちゃんは無事に生まれました。》

 

「その赤ちゃんの血がみんなを救ったの。」

 

《疫病は瞬時に消えました。》

 

「誰もこのことを知らないけれど、でも、あなたは生まれた瞬間から人を救ったのです。三蔵」

「私が彼らを救った?」

「あなたが生まれたあと、あなたの運命は封印されました。もちろんあなたの血の蓮の香りが始まったのは・・・おそらく、あなたが守護者に会ったあとでしょう」

「でも、どうしてそこまでご存知なんですか?」

「長い間、私は三蔵が生まれ変わるのをずっと待っていたのです」

「教えてくださってありがとうございました。私は不吉な子供だったので、私の周りの誰もが害を受けるのではないかと、ずっと怖かったんです」

悟空を見て、微笑むソンミ。

「でも、あなたが、それが本当ではないと私に言ってくださったので、それは慰めです。」

「あなたが将来、何が起きても、おそらく助かり、傷つくことはありません。」

ずっと、複雑な表情を崩さない悟空が気になって気になって仕方がない。

「彼女をここに連れてきてくれてありがとう。」

 悟空を見る白鷺女医。

 

★第16話(4)に続く★