まず報告
1日300〜400人の読者の皆様、先日当ブログの日間最高訪問者数を640名に更新しました。流石にここまで訪問者が増えるとヤバイ事や適当なことも書けなくなるので、若干キンチョーしております。色々騒がれている動画配信者もいる中、読者各位におかれましては、私がおかしな記事を上げたら直ちに批判コメントをくださる事お願い申し上げます。擁護コメは不要です。
この記事長いからパソコンで読んだ方が良いよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、ロード乗りの皆さんにとってはそれなりに大きいニュースです。もうご存知の方が大半かとは思いますが、sramのレッドがフルモデルチェンジし、sram e-tap axs になりました。こんなゴシップ記事のようなものをあげる気は余りありませんでしたが、カンパが12s化した時にあげたカンパの12sとデュラエースr9200という記事の閲覧者が、それなりに多い(ここ2日で280人以上 笑)ものですから今回も書く事にしました。
基本的にそうしているつもりですが、このブログではメーカーから発表された様々な製品の解説の裏に隠された、デメリットや不満点についてみていきます。良い点だけ見てメーカーに踊らされるお花畑な方はお引き取りくださった方が賢明かと思います。
って事で、実物を触るどころか見てもいませんが、今回もアメリカはsramから発表された大本営発表について考えていきます。実物を取材できない身としましては、大本営発表を絶対的な事実として捉える他ありませんが、カンパの12sはプーリーに偶数歯数を採用するなど、必ずしも各々大本営が正しいとも限りませんので マァその辺をチェックしていきます。
※本日の記事の写真は、各メディアに電話で問い合わせた結果どこからも写真の使用許可が下りませんでしたのでsramの本国YouTubeチャンネルと、海外メディアのGCNより(無断で)拝借しています。(スラムの正規代理店インターマックスのホームページ写真も本国の許可が無い為との理由で許可が下りませんでした。何のための代理店か聞きたくなりましたがやめておきました)
さて、まずは展開されるドライブトレイン/トランスミッションの形式ですが、、ナント、
電動変速のみ、のようです。
エェーマジかよ。。。
ふざけんな、と言いたいのは僕だけではないと思うのです。何日か前にあげたサイスポの記事で、機械式の素晴らしさを再認識した僕としてはとてもじゃありませんが看過できる問題ではありません。
電動変速に対して不満を持っているわけではありません(いえ、個人的には持ってますが)。性能に関しては問題ないとも思ってます。しかし、自転車ってのは趣味のものであって、機械をカチャカチャ愉しむゆとりがあって然るべきです。機械式にこそ その面白さが根強く残っており、磨きをかけるべきはその機械構造とそこから生み出される「操る楽しさ」だと思うのです。電波時計が普及し、時計において正確さを競うレースから機械式時計は退きました。しかし、GPSから送られてくる電波をいかに 素早く・広範囲で・誤差なく 受診するかに躍起になった時計からは、機械の精巧さ、緻密さや、腕を振るごとにシャカシャカと音のなるムーブメントを愉しむことはできなくなりました。
僕には、この楽しみ方の縮小は決して正常進化とは言えません。ここで、機械式も残し、その選択肢を残しつつ電動にシフトしていく様なら何ら問題はありません。機械式を切り捨てたことが、趣味性の高いトランスミッション周りでは問題と言っているのです。後に詳しく書きますが、名目上は、このグループセットは「多様化するロード乗りにマッチする様」に作られた様です。ギアレシオやその組み合わせにより、フィールドの多様化はしている様にも見えますが、その感覚の多様化には手が回らなかったようです。
そはともあれ、この割きりの良いスタイルが何ともアメリカらしく、またスラムらしいとも言えます。「俺たちは最高性能の変速機を作りたいんじゃ。そんためには電動になるのは当然で、ワイヤーなんて古いわ!!」なんて声が聞こえてきそうでもありません。彼らの性能に対する確固たる決意とも取れるこのグループセット、スラムらしいスラムです。むしろスラムばかりは、スラムらしさを楽しむのに機械式と電動とを選ばせるとは何事な!との勢いで、スラムがそれらしくあるためには1つに統一化するのは当然のことだったのかもしれません。そうなった時、スラムに対してナショナリズム的観点(スラム主義的 sramalism(※))で見たら、電動に絞るのが彼らなりの正当な感覚だったのかと、ふと思ってしまいました。
(※)sram-al-ismはsramを〜主義的に変化させた僕の造語です。sram-ismにしたい気持ちはわかりますが、-ismの形は一度 形容詞化しなければ付け加えられないため、(固有)名詞であるsramに形容詞化の-alをつけ結果的にsram-al-ismにしました。
と、変速形式に関しては、大概合点がいきました。そう捉えてからは、真のスラム好きが待ち望んでいたモノ そのものだったのかも知れぬと思うようになる始末。。。 そうなると機械式至上主義も丸め込まれます。
一般人にとり、今回のe-tapの最大の特徴は12s化したことでしょうか。僕としては、はっきり言ってリアの枚数が一枚増えた事に感動をほとんど覚えません。リアの枚数が何枚になろうと、問題になるのは自分の使うギア比と装着してあるスプロケットのレシオゾーンがあっているかどうかです。仮に、自分の使うギア比が限定的で、その範囲をカバーするのに不満がない段数が9sなら、それでも良いのです。そんなに高低差のない所を走る人が少ないので、ここまで多段化してきたわけですが、問題は近年の特徴として多段化する理由がクロスレシオ化ではなく、ワイドレシオ化の為一辺倒になっている所です。
このグループセットは、下画像の左側、xdrといういわゆるmtb系で使われているドライバー規格のフリーボディを採用しています。これにより最小10tまでのスプロケットに対応することができるそうです。
この写真は適当なブログより拝借
できるそうです、、なのは良いのですが、困った事にこれまでのスラム系と同様に、最小歯数は10tオンリーなのです。ラインナップされるギア関係は以下の通りです。
フロント
50-37
48-35
46-33
リア
10-26
10-28
10-33
ラインナップされる最小スプロケットが10-26なのですが、これは販売される50×37と組み合わせる事により、これまでの53×39–11-25に相当するようです。一般的なライダーは53×11などという高ギア比を踏むことはないでしょう。普通に考えて52-12があれば日本の峠のくだりで困ることはありません。この52-12のギア比というのは4.3333なのですが、これを今回のredでやろうとすると、フロントは最小の46-33を選ぶ必要がありますが、実は46-10でもギア比は4.6で、52-12のそれを上回ります。52×11はギア比4.727なのでこちらに近いです。しかし、これがラインナップされる最小なので、無駄を排除していくと仕方なく使う事になります。すると、今度はローギアの問題になります。最小歯数の46-33と組み合わせるリアスプロケットですが、なんと最小の10-26で最小ギア比1.269で、36×28に相当します。
個人的にはミッドノーマルクランクの場合リア28tは不要な人間で、多少の山岳までなら 23が最大が好ましいので、今回のレッドの場合1番クロスなスプロケットを選んでもまだワイド気味です。流石に23は言い過ぎの節もありますが、12-25くらい詰まった構成のものは望まれるところです。
12sとなったカンパニョーロは、最小ロースプロケットが29tですのでそれよりは幾分マシではありますが、少なくとも僕を含むクロスなスプロケを求める層には12s化されたとはいえ全く魅力的に感じません。red axsは、11sのスプロケに無駄なローギアが1枚追加されチェーンの汎用性も落ちた、しかも載せ替えにはホイールの交換が必須、、こうなると載せ替える必要性を感じません。
つまり、普段から52×36-11×28を使っていた人にとっては、12s化により、その中で使う歯の選択肢が増えたという事です。52×36-12×25ユーザーの方は、たとえ12sになっていたとしても、トップとローの二枚が不要になった分、実質10sという事です。12sになりどこの歯数が増えたかが問題ですが、歯数構成に関してのアナウンスは見当たりませんでしたのでわかりません。
購入を検討されている方は、12sになった事を喜んで買うのも良いのですが、自分の使うギアを考え自分がそれを使うかをよく考えてみる価値はあると思います。
先に述べたとおり、このグループセットのコンセプトは「多様化に対応する」らしいのです。多様化した結果でワイドレシオなスプロケット構成を求める人が出てきて、それに対応したものを作るのは理解できますが、クロスレシオなスプロケットを求める人を置いてきぼりにしてワイドを求める人と機材を共有するってのはどうかと思います。もし本当に「多様化」に対応する気があるのなら、多様なスプロケットのラインナップは必須といえます。ワイドレシオ化のみに対応して多様化した、、とは、確かにカバー範囲は広がりましたが、それはコンセプトに対して如何なものかと思います。「大きいサイズの服専門店」はあるのに小さい人の専門店はないのが不思議なのと同じ感覚でしょうか。
僕の目には多様化とは口ばかりで、ワイドレシオへの一本化のようにしか映りません。
しかし、このように書きましたが、近年増えてきましたリア30tなど やたらと大きいギアをつけている方にはロー側の選択肢が増え、喜ばしい事だと思います。僕が批判したいのは「ワイドレシオ化の充実」ではなく「ワイド充実によるクロスレシオの切り捨て」ですので、この製品自体の批判はしていません。ただ、僕の個人的なギア選択としては、レースをするならともかくどこでも高ケイデンスを意識して、20%もの坂を余裕で駆けあがれるギアを用意する必要はないと思っています。超低ケイデンスで踏ん張る事も楽しさの内、、と思えるくらいの余裕はあっても良いのではないでしょうか。不便を楽しむという訳ではありませんが、登れなかった坂が足付き無しで登れるようになるためには、それなりの努力は必要で、それを機材の交換で何とかしようとするのは趣味としては面白みに欠ける気がします。また、全体の数パーセントしかない激坂のために、重いローギアを積んで走るのもスマートではありません。
なぜここまでしてワイド化したいのか、考えてみるに、スプロケのラインナップ数削減によるコストダウンの他に、ここ数日で僕の中で にわかに浮上してきた理由があるのです。
まさかないとは思いますが、変速性能を誤魔化す為にワイド化している節も否めません。ご存知のように、変速性能はスプロケット同士の歯数差が大きいほど高くなる傾向にあります。これは事実な為、メーカー側としてはワイド化を謳い多様性を推進してるかの様に見せつつ、変速性能の向上への駒を一つ進められるわけです。
ところが実際は、クロスなギア構成を切り捨てているため多様化は実現しておらず、単純にワイドな傾向に移っただけで、変速性能だけ向上しているというマジックなのです。リアに10tを採用してフロントの歯数を少なくしたのも賢いポイントです。フロントのチエーンリングは歯数差が少ない程変速性能が上がりますが、歯数が少なくなればなるほど、2枚ある歯数の差の変化の割合が大きくなり、多い歯数程の歯数差がなくともギア比に変化を与えることができます。sramが苦手とするフロント変速(ヨーテクノロジーは個人的に好きです)ですが、技術でカバーするのではなくフロント変速が上手くいかない根本的原因を潰した今回のredは、技術的面白さは少なくとも目を見張れる点が多いです。面白い!!
ただ、e-tapが一般大衆に浸透する、というほどにまで普及するとは思えません。どう考えても価格帯的に不可能です(概ね20万後半〜)。
では誰がターゲットなのか。ワイドなギアを求める方々ですが、シクロやグラベルをする方は当然ですが、ヨーロッパ方面でのグランフォンドを楽しむ方がいます。ピナレロの主催するグランフォンドピナレロなんてのもありますが、思うに、このグループセットのターゲットから日本は全く外されており、欧米でグランフォンドなりグラベルなりでアクティブに活動する方向けだと思うのです。これは公式YouTubeチャンネルの取り付け動画にフランス語とドイツ語が出ている事からも考えられます。フランス語で解説が出てるのはフランス語が公用語の国の数から何となく理解できますが、英語の他にドイツ語が選ばれているのはドイツ人にターゲットがよほど多いという事でしょう。イタリア人の方がグランフォンドに積極的な気がしますが、人口がドイツの8000万に対して6000万なのでドイツが選ばれたのでしょう。ドイツに軽量マニアが多いと聞くのでsramファンが多いのも影響してんのかな。。
何にせよ、話者1億2.7千万で新製品への金払いもいい日本人へ向けて動画を出してないのは、ハナっから日本人が購入者リストから検討外されているからなように感じます。そもそもsram自体が日本であまり普及していませんしね。
ちなみに、フロンのシングルのチェーンリング及びクランクセットもラインナップされていますが、今回敢えて言及していないのはフロントシングルの場合リアが12sは少なすぎ、ロードでは使い物にならないと考えているからです。
僕の勝手な予想では、時期Dura-Aceであるr9200(仮)は13sか14sなので、フロントシングルが好きな方はそれまで待つ事をお勧めします。少なくとも、今焦って微妙に足りない12sを購入する必要は無いと思います。リアのダブって良いるギアを考え多としても、フロントシングル時 最低でも14sは欲しいところです。
シクロやmtbの場合は、クロスすぎるスプロケはむしろ使いにくいと感じるそうなので、現在の12sフロントシングルでも事足りる様です。しかし、向かい風が横風に変わった程度でこまめに変速を繰り返すロードバイク乗りには、12sは少なすぎます。12sって事は要するにフロントダブルの場合はリア6sです。考えられますか?リアが6枚になったときのことを。
個人的にフロントシングルに簡素化や軽量化以外にメリットを感じず、チェーンラインや各パーツの負荷、チェーンテンションの上昇による抵抗増加を勘案したとき、これらのデメリットをペイできる性能も魅力も感じせん。(好きな人が好きな理由は理解できます。スッキリしてるのは何とも心地よいものです)
さあ、気になるブレーキングシステムですが、ナントリムブレーキモデルも併売のようです。ここ(機械式廃止)まで来てそれはねえだろと思いますが、消費者の持つ自転車の圧倒的多数がリムブレーキということを考えると仕方がない事もわかります。axsを買いたいと思った時に、そのために新車を組んでくる人がどれだけいるかに賭けるのは流石に気が引けたのでしょう。しかし、どうせならsramの信念を貫いて、用途の多様化と、新たなるテクノロジーの融合を図って欲しかったです。
また、ブラケットは野暮ったい巨大アタマが健在です。正直、あのブラケットのミテクレと握った時のことを考えると、その時点で僕は却下です。ダサすぎます。リザーバータンクがデカくないと油圧ディスクに支障をきたすことは分かりますが、カンパのように縦に伸ばすという発想はなかったのでしょうか。ナゾです。
ちなみに、シマノの「R」番台ディスクはレバーの引きが微妙でした。エアを噛んでるようではないのに、期待するほど引きが軽くなかったです(実体験)。Dura-Aceのディスクが出る前のシマノの番外品のデッカいディスク用レバーは引きも制動力も最高でした。r番台は効きも微妙なようです。シマノサイドがロード用にわざとそうしている可能性は否めませんが、それは単純にディスクのメリットを喰っているだけなのでやめたほうがいいと思っています。ディスクは「引くだけ」で効くというのがいいので合って、力をかけて効かせるというのは違う気がします。
以前、mtb乗りの方と話した時に面白いことを聞きました。「リムブレーキは掛けた力の分だけ効く。ディスクは引いた量だけ効く。」と。そう、ディスクには力は不要で、動かした指の量だけで制動力が決まるそうです。たまに他の畑の人と話すと面白いことを聴けますね。
sram/カンパのは触ったことがないので知りませんが、現在の(シマノの)ディスクの欠点は上記の他に、ストロークの少なさがあります。僕としてはブラケット側の油圧シリンダーをもっと細く長くして欲しいです。指の動きに対してブレーキパッドの動きが過敏すぎる気がします。ディスクローターとパッドの差を詰めるにはローターの精度に依存されてしまいますが、そこはなんとかして(文系思考)、キャリパー側のシリンダに対してレバー側のシリンダを太くして欲しいのです。また、そのシリンダの多サイズ展開も期待ですね。ブレーキタッチと効きをローターの径だけで決めるのは少し違う気がします。効きは良いけどストローク大きめを求める人がいれば、カックンを求める人もいます。ブラケットからシリンダーを取り外して付け替え可能なようにするのはいかがでしょう。
あとは、リアメカに油圧ダンパーが付いたとかなんとかですが、公式(インタマ)の解説がテキトーすぎて構造を理解できず、効果も分かりませんので発言は控えます。fメカ/リムブレーキは進化なしです。チェーンはかっこよくなってますが、構造的優位性を見出すことは今の所できていません。チエンの価格が10000を超えてますが、それだけの何かはあるのでしょうか。
今回のredの最悪な点は、クランクのbb規格をまた変えたところですかね。bb規格に付いてが発端でアメリカかどこかでショップのデモが起きたらしいですが、もう呆れるしかありませんね。しかし、bb30レベルのシャフト径でネジ切りのbsaも使えるとの事なんで、bb30系の皆さんはサッサと消えてもらって、シマノ含む各社がそちらに統合するのはアリだと思います。まぁ、シマノのmtbでの新型グループセットm9200を見る限りそんなことは絶対にありませんが(新たなフリーの規格を採用しました)。規格に関する諸悪の根源は、類似する既存の規格を使いたがらないシマノのクソ殿様経営です。そんな自国第一主義のアメリカみたいな事やってるとそのうち滅びますよ。いや、こんな消費者にとってまるで利益にならないことを続けるならサッサと滅んでしまえとも思ってしまいます。
さて、僕の総評ですが、、、
まあまあ面白い。ってとこかな。
それなりに面白いです。彼ららしいテクノロジーの方向性です。僕の好みには合いませんが、その挑戦的な考え方は好きです。もし、このコンセプトに合った用途の方がいたら買う価値はあるように感じます。この性能を買うというよりは、この「心意気を買う」という感じでしょうか。僕は仮にできたものがゴミでも 面白ければokみたいな考え方を一部で持ち合わせていますが、これはその点でなかなか良いです。少なくともカンパの12sよりはよほど買い甲斐があります。カンパファンの僕が言うので間違いありません。
はっきり言って技術的進歩は少ないですが、sramの心を楽しみたいと思う方にはオススメです。(フロントシングルにしたい方には、余計なお世話かもしれないけど勧めないよ。1×(ワンバイ)は14sからかと、、。)
かなり長くなっちゃったけど、、まぁいっか。。。。