【西九州新幹線】未来のことを真剣に考えてみた。 | WALKING SHADOW

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全ての旅は一度きり。

西九州新幹線開業から一ヶ月が経ちました。

開業ブームで沸いていた地域もありましたね。

しかしそろそろ現実に目を向けなければなりません。

 

ヤフーニュースさんの記事を紹介します。

 

西九州新幹線沿線にとって最も都合の良いフル規格案は以前ブログで既に書きました。

一言で言うと博多直結ルートです。

 

 

当記事では「全線フル規格」は絶対に実現しないことを前提に話を進めます。

 

※長崎市街と佐世保駅の写真は2022年3月、他は2015年9月に撮影されたものです。

 

 

 

①整備方式は既存の施設を活用した「三線軌条」

 

現状、佐賀県は新たに新幹線の線路を引っ張る「フル規格」新幹線にあまり乗り気ではありませんが、最近は「考えてない訳ではありませんけどね(意訳)」的なスタンスです。

これまでの経緯を考えると長崎本線を新幹線・在来線の両方が走行可能なように工事し、新幹線・在来線を同じ空間で両立させるのが一番納得のいく結末だと筆者は思います。

新鳥栖~武雄温泉は新幹線のために犠牲になるのではなく、新幹線と在来線を共存共栄させる初のケースとして歴史に残しましょう。

新鳥栖駅から連絡線で長崎本線へ入り江北駅から専用線路を走行し武雄温泉に至るルートです。

 

 

以下は佐賀の2駅手前の神崎駅での特急待避の様子です。

長崎本線の鳥栖~江北(旧・肥前山口)間は全線複線でとにかく線形が良く、新たに線路を建設するのはあまりにコスパが悪いです。現行の最高時速は130キロですが約束を破ってフル規格をごり押しするほどの力があるのですから新幹線限定で更なるスピードアップも見込めるでしょう。160キロまでは国内で前例もありますし。

 

 

そして新幹線停車予定の佐賀駅

 

 

この時点では

 

日本初、フリーゲージトレインが佐賀を走る

2022年九州新幹線西九州ルート 完成予定

 

というバナーがありました。

まさかその後皮肉な運命に弄ばれるとは。

在来線特急がそのまま新幹線になるだけのはずが、一体何があったのでしょうかね。

 

②並行在来線(江北~諫早)と武雄温泉以西の現状

 

肥前鹿島駅については特急をほぼそのまま武雄温泉駅に横取りされた形です。長崎方面への移動は言うまでもなく、博多方面についても辛うじて「かささぎ」が新設されながらもあと数年で減便予定ですし、普通列車についても乗り換えの手間が増えたので不便になった駅の代表格といえます。

もちろん新幹線と引き替えに電車すら走らなくなった長崎本線の他の駅についてはここで述べるまでもありません。

 

佐世保やハウステンボスに代表される武雄温泉以西の地域は新幹線向けの整備の副産物として「所要時間の短縮」というメリットがもたらされましたが速くなった訳ではなくむしろ遅くなった列車もあり(JRは広報用に一番速い列車をそこそこ速くしただけ)、メリットは薄いです。「長崎」繋がりで知名度は上がったものの実際は便利になっていないので一時のブームが去れば元通りでしょう。新幹線沿線との相対評価を考えれば地盤沈下すら危ぶまれます。

 

 

③【筆者案】新幹線は博多~武雄温泉のみなら在来線特急扱い、残りの特急は快速に

 

新幹線は現行の特急リレーかもめと停車駅がほぼ変わらないですし特例でリレーかもめ区間(博多・新鳥栖~武雄温泉)については在来線特急扱いにするのはどうでしょう。もちろん九州新幹線である博多~新鳥栖のみ利用の場合は対象外にしますし、博多・新鳥栖以外の新幹線駅を発着している場合は全区間新幹線料金にします。

そして少しやりすぎ感はありますが、在来線特急「かささぎ」「みどり」「ハウステンボス」を車両そのままで普通車指定席と普通車自由席の快速列車に格下げします。確実に座りたい人のみが指定を取り、残りの人にとっては純粋な値下げです。新幹線の恩恵を受けない人への何よりのプレゼントだと思います。佐賀・江北・武雄温泉の利用者にとっては快速列車が輝いて見えるかもしれませんが、新幹線に乗っても以前の特急と同じ料金なのでそこまで抵抗はないはずです。新幹線との差別化および福岡近郊の混雑緩和を兼ねて鹿児島本線内は停車駅を増やすのもいいかもしれません。

 

 

さらに分割・併合・種別変更を活用して線路容量圧迫・減便対策とします。例えば「みどり」「ハウステンボス」には肥前鹿島方面の普通列車を、「かささぎ」には佐世保線普通列車を併結し江北で切り離すといった芸当が可能になります。原案はかつて京浜急行で運行されていた快特併結の逗子線直通列車です。そして技術的にどこまで可能かどうか分かりませんが、気動車と電車の協調運転を活用すればいわゆる並行在来線区間が孤立するのを食い止めることができると思います。

 

④今後~嬉野温泉を例に~

嬉野温泉駅は嬉野市にとっては久しぶりの鉄道駅ということで話題となりました。
知名度は上昇したかもしれませんが温泉街から遠く長期的に大きな観光需要が見込めるとはとても思えません。
そしてそんな西九州新幹線開業の割を最も食ったともいえる鹿島市がすぐ隣にあるのがなんとも皮肉です。
新幹線の駅はかっこいい電車が中を通るだけでお金が沸いてくるピカピカの玉手箱ではありません。
停車本数を増やす、周辺道路や駐車場を整備するなど多少工夫をすれば鹿島市をはじめ周辺地域にも恩恵をもたらすことができ、真の意味で地域の拠点になるのではないでしょうか。

これは何も嬉野温泉に限った話ではありません。

新幹線、在来線、バス、マイカーがお互いに連携し利便性を低下させないことこそが交通機関の真の使命であり、需要が見込めなくても一定の水準は確保する努力は今後も続けていくべきです。